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虐待対応チーム

加藤武範

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テーマ:虐待(高齢者)

認知症の妻と二人暮らしの夫が介護しつつも、妻を殴ってしまうケースです。こうした虐待ケースは市役所と地域包括支援センター、居宅介護支援事業所(ケアマネ)がチームを組んで対処します。今回もチームで連携しながら1年あまり支援してきましたが、いよいよ本人の認知機能低下も顕著で夫の暴力も目に余る状況になってきました。

夫が殴ってしまう気持ちも多少理解できます。殴ってしまうのは「うんこ」問題です。この方の場合、排泄した便をどうしたら良いのか?本人が分からない?のが問題です。排便した便を手に持っている・・・その手でトイレの壁を触っている。便器や床に便が付着しているので、夫が屈んで掃除している時に便で汚れた手で夫の頭を触ってくる・・・。逆上した夫は、妻を張り倒す・・・。
その前の日は、冷蔵庫に「うんこ」がはいっていたそうです・・・。

市の判断で強制的にショートステイ(ロング利用)→特別養護老人ホーム入所する方向性が決まったのですが、夫はロングショートや特養入居に同意したくないと頑なです。「施設に入れるのはかわいそう・・・施設で殴られる事も最近は多いだろう?」どの口が言ってるのか・・・(笑)金銭的な問題もあります。子供達の世話になるつもりはありません。子供も「父が怖いので、父の意に反して手助けはできません」との事です。当然、本人は認知症で何も判断できません。

今回の虐待ケースで困っている事は、市、包括、ケアマネの役割分担が不明瞭で、ケアマネの立ち位置が微妙という点です。さらに、市の虐待担当の方が、「介護保険の事は分かりませんので・・・」と連呼される事に担当ケアマネは相当不安を感じています。「ショートステイの利用に契約が必要なんですか?」って、市の職員に聞かれたら、こちらも脱力する気持ち・・・よく分かります。(介護保険のサービスを利用する場合は、必ず本人と介護事業所の契約が必要です)

当初、市の方は「ケアマネさんは家族側についてもらって、汚れ役は市が引き受けますので・・・」と言って頂いたまでは良かったです。いざ、強制分離を実行すれば、夫から「帰ってこないぞ」とケアマネに連絡あり、「詳しいことは知らないです。市に聞いて下さい」と返事すると「そんな訳あるか!」と電話切られる・・・。正直、担当ケアマネは身の危険まで感じています。

せめて、「この先こういう事が考えられ、市としてはこう動きます」とか、「ケアマネさん的にどんなところに不安ありますか?」など虐待対応チーム内の連携を密にすべきです。役割分担を明確にするミーティングは必須です。また、今回のケースで言えば、居宅のケアマネ、ショートステイ先の事業所スタッフの心のケアも必要だと感じています。虐待を行う家族が、ケアマネやショートステイ先の職員に危害を加えない保証はどこにもありません。

そして、市役所の虐待担当者は、相応の介護保険の知識を持つことが必要だと思います。

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加藤武範
専門家

加藤武範(ケアマネジャー)

合同会社福寿想

リハビリ病院で医療ソーシャルワーカーをしていた経験から、地域のネットワークとも連携。従来の福祉的な視点に捕らわれない柔軟な発想で、介護を必要としている方やその家族にとって本当に必要な介護を提案します。

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