【コラム】データ偏重の罠―AIでも「現地現物」が必要な理由

釜剛史

釜剛史

テーマ:AI時代の問題解決メソッド

「データは揃っているのに、なぜか問題解決につながらない」
「AIに分析させても、現場感覚とズレがある」

最近、こうした声を耳にすることが増えました。
背景にあるのは、データやAIに頼りすぎて“現地現物”を軽視する姿勢です。



データ偏重の罠とは?

データやAIの出力は確かに強力です。
売上や生産数、品質データを整理すれば、全体像をすばやく把握できます。

しかし、そこに依存しすぎると危険です。

  • 数値に出てこない「人の行動の癖」を見落とす
  • データ化されていない「顧客の声」を軽視してしまう
  • AIが導き出した仮説を“正解”と誤解する

つまり、データはあくまで「問題を映す鏡」にすぎず、現実そのものではないのです。

現地現物が欠かせない理由

トヨタ流の問題解決では「現地現物」が徹底されています。
現場に足を運び、自分の目で事実を確認する。
これが、データには映らない真因を見つけるための第一歩です。

たとえば「不良率が高い」という数値データがあったとします。
AIに分析させれば、どの工程で不良が多いかはすぐに出ます。
しかし現場を見に行くと、実は「作業者がマニュアル通りに作業しにくい配置になっている」ことが原因だった…ということもあります。

数値が示すのは“現象”であり、真因は現場にしかない。
これが「現地現物」の本質です。

ケース紹介:物流倉庫での気づき

ある物流企業で「出荷ミスが多い」という課題がありました。
AI分析では「特定のシフトでのエラー率が高い」と出ました。
そこで現場を見に行ったところ、夜間シフトでは照明が暗く、ラベルの読み取りミスが起きやすい環境だったのです。

AIは“どこで問題が多いか”を示しましたが、“なぜ起きているのか”は現場に行かなければ見えなかったのです。

実践の第一歩:AIと現地現物の両輪で進める

  • データやAIで「どこに異常があるか」を特定する
  • 現場に足を運び「なぜ起きているか」を自分の目で確かめる
  • データと現場の両面から真因を突き止める

AIは顕微鏡のように詳細を映し出しますが、それを実際に観察するのは人間自身です。

まとめ:AI時代だからこそ「現地現物」

  • データやAIは“現象”を映す鏡にすぎない
  • 真因は現場でしか見つからない
  • AIと現地現物の両輪で進めることが、問題解決の質を高める




AI時代の問題解決メソッド(8/50)

次回予告
STEP1 問題を明確にする【基本①】「真の目的」を考える力


どうすれば“正しい問題定義”にたどり着けるのか。具体的に解説します。
問題が堂々巡りしている、と感じる方はぜひご相談ください。

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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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