トヨタ流8ステップの全体像―AIが加える新たな視点

釜剛史

釜剛史

テーマ:AI時代の問題解決メソッド

「取り組んでも取り組んでも、同じ問題が繰り返し出てくる」
「会議で議論しても、どうも“場当たり的な対策”に終わってしまう」

これは多くの企業が抱える典型的な課題です。
では、なぜこうしたことが起きるのでしょうか。
その背景には、問題解決のプロセスが曖昧で、型として定着していないことがあります。

この“型”を明確に示したものが、トヨタ流問題解決の8ステップです。



トヨタ流8ステップとは?

  1. 問題を明確にする
  2. 問題をブレイクダウンする
  3. 達成目標を決める
  4. 真因を考えぬく
  5. 対策を立てる
  6. 対策をやりぬく
  7. 結果とプロセスを評価する
  8. 成果を定着させる

一見シンプルですが、この順番を踏むことで「表面的な対処」から「恒久的な解決」へと進むことができます。
まさに、問題解決の地図のような存在です。

人間中心で磨かれてきた伝統的な進め方

従来は「現地現物」を大切にし、現場で事実を徹底的に確認するのが基本でした。
ホワイトボードに図を描き、仲間と膝を突き合わせて議論する。
そのプロセス自体が人材育成の機会にもなり、組織文化をつくってきたのです。

しかし同時に、

  • データ収集に時間がかかる
  • 解決策が担当者の経験や勘に左右される
  • 議論が長引き、結論が出ない

といった弱点もありました。

AIが加える新たな視点

AIを伴走者として活用すると、この8ステップはさらに強力になります。

  • スピード:大量のデータを瞬時に整理し、仮説を素早く立てられる
  • 多様性:人間が思いつかない視点を補い、新たな可能性を示してくれる
  • 再現性:過去の知見を学習し、同じ失敗を繰り返さない仕組みを持てる


例えばSTEP4「真因を考えぬく」では、人間が「なぜを5回」繰り返すのに加え、AIがWHYツリーを提示してくれます。
STEP5「対策を立てる」では、AIが数十パターンの代替案を一瞬で出し、その中から人間が取捨選択することが可能です。

重要なのは、AIが決めるのではなく、人間が決めること。
AIは選択肢を広げ、スピードを上げる“加速装置”なのです。

ケース紹介:顧客クレームの再発防止

あるサービス業では「顧客クレームの再発」が大きな悩みでした。
従来は「スタッフ教育を徹底する」といった対策を繰り返してきましたが、効果は一時的。

そこでAIを導入し、数千件のクレーム内容をテキスト解析したところ、実は「顧客への説明不足」が根本要因だとわかりました。
「教育強化」ではなく「説明の仕組みづくり」に発想を転換したことで、クレームは半減し、スタッフの負担も軽減されたのです。

AIが見せてくれたのは“真因”を探る新しい視点でした。

実践の第一歩:8ステップを会議に持ち込む

  • 会議冒頭で「今日はSTEP1をやりきる」と宣言する
  • AIに「過去の類似事例」を調べさせ、議論の材料を用意する
  • その結果を基に、人間が優先順位を判断する

“8ステップを意識するだけ”でも議論の質は大きく変わります。

まとめ:AIで磨き直す「型」

  • トヨタ流8ステップは「普遍的な問題解決の地図」
  • AIはその地図を広げ、スピードと多様性を加える伴走者
  • 最終判断は人間が行うことで、組織に納得感と学びが残る




AI時代の問題解決メソッド(2/50)

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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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