「問い」が変われば、未来が変わる 〜イノベーションを導く“問い”の力〜
この連載もいよいよ終盤。
前回から最終回に向けて、「イノベーションの3つのポイント」をお届けしています。
第1回は、「視点を変える力」でした。
今回はその第2のポイント、「試す力」です。
なぜ“試す”ことが重要なのか?
多くの企業で新規事業や新商品の検討が止まってしまう背景には、
「完璧なプランを作ろうとする」傾向があります。
「市場調査がまだ不十分ではないか」
「もう少し社内調整をしてからにしよう」
「失敗したら責任を問われるかもしれない」
…そうして、検討は続いているけれど、一歩が踏み出せないまま。
けれど、イノベーションとは「やってみないとわからない」世界です。
“やってみて学ぶ”ことこそが、最短の道なのです。
小さく試す、すばやく学ぶ
シリコンバレーではおなじみの言葉があります。
「Build – Measure – Learn(作る → 測る → 学ぶ)」。
つまり、完璧な計画よりも、まず小さく作って試す、
その反応から学んで、また次を考える。
この“反復のサイクル”が、アイデアを育てていくのです。
これが、いわゆる MVP(Minimum Viable Product)の考え方。
最小限の機能・コスト・時間で「仮説検証」する、という方法です。
ケース紹介:老舗メーカーの“紙模型”から始めた挑戦
ある文具メーカーでは、新しい収納用品の開発で行き詰まっていました。
ターゲットは「片づけが苦手な子ども」向け。
最初は3D CADを使って試作していましたが、反応がいまひとつ。
そこで、発想を転換し「紙で作ったプロトタイプ」を使って、
親子に実際に“遊んでもらう”ワークショップを実施。
すると、「見た目が楽しいと、子どもが自然に片づけたくなる」
「仕切りが多すぎると逆に面倒」など、現場ならではの声が次々と出てきました。
結果、デザインも構造も大胆に見直され、
まったく新しいコンセプトの商品が完成。
発売初年度で、計画比180%の販売実績に。
小さな失敗が、大きな成功を呼ぶ
「試す」という行為は、ときに失敗も伴います。
でも、その失敗は「貴重なデータ」です。
大きな失敗を避けるために、小さなうちに気づくことができるのです。
大切なのは、「正解を探す」ことではなく、
「仮説を立てて、試しながら学ぶ」というマインド。
まとめ:試すという文化を育てる
- イノベーションは「検討」ではなく「実験」から生まれる
- 完璧さよりも、小さなMVPからの学びを重視
- 失敗はデータ。試すことが、最大の武器になる

壁を越えるイノベーション実践録(48/50)
次回予告:
「“巻き込む力”が、可能性をひらく」
〜共創の場がイノベーションの土壌になる〜
※新商品企画やMVPプロトタイピングの社内研修も承っています。
ご関心ある方は、お気軽にお問い合わせください。



