「“当たり前”を疑う力が、未来を変える」 〜視点を変えることでイノベーションが動き出す〜

釜剛史

釜剛史

テーマ:壁を越えるイノベーション実践録

この連載もいよいよ終盤に入りました。
最終回に向けての総まとめとして、これから3回にわたり「イノベーションの3つのポイント」をお届けしていきます。

第1のポイントは、視点を変える力
つまり、「ものの見方」をずらすことから、すべてが始まるということです。



なぜ視点の転換が必要なのか?

新しいアイデアや商品を考えるとき、私たちはつい、「今ある枠組みの中」で最適解を探すことに集中してしまいがちです。

「もっと便利にするには?」「今の強みをどう活かすか?」「競合より少し良いものをどう作るか?」

もちろんそれも大切ですが、そうした問いの立て方では、既存の延長線上にとどまりがちです。
本質的なイノベーションを生み出すには、見方そのものを変える必要があります。

何をどう“ずらす”のか?

視点のずらし方には、いくつかの方法があります。

  • 「顧客の目」で見る:

 作り手視点ではなく、“使われる現場”から見直す。

  • 「ゼロから考える」:

 「当たり前」「業界の常識」を一度捨ててみる。

  • 「逆転してみる」:

 例えば「売るために作る」ではなく、「使われなくても価値があるもの」を想像してみる。

こうした視点の転換によって、それまで見えていなかった課題やニーズが浮かび上がってきます。

ケース紹介:廃棄物処理会社の“見方の転換”

ある中堅の廃棄物処理会社では、業界内での価格競争が激化し、利益が圧迫されていました。
これまでは「より安く・効率的に処理する」ことを追求してきましたが、差別化に限界を感じていたのです。

そこでプロジェクトチームは、「廃棄物=コスト」という発想を見直し、“資源化”という逆の見方に着目。

特定の廃棄物(たとえば食品残渣)が、バイオマス燃料や飼料として再利用できることに気づき、処理事業からリサイクル素材の販売事業へと一部ピボットしました。

結果、処理依頼元の企業にとっても「廃棄コストの削減+環境価値の向上」というメリットがあり、事業は成長軌道に。

「処理」から「価値化」へ。まさに視点を変えたことが突破口になった例です。

「なぜそれをやるのか?」から始める

視点を変えるためには、「なぜそれをやるのか?」というWhy型の問いを立てることが不可欠です。

  • なぜこの商品をつくるのか?
  • なぜお客様はそれを必要とするのか?
  • なぜ自社がやるべきなのか?

こうした問いを深く掘ることで、課題の定義そのものが変わってきます。

まとめ:視点を変えるという選択

  • イノベーションの出発点は、「当たり前」を疑うことから
  • “枠の中の工夫”より、“枠そのものを変える”発想を
  • 視点の転換は、新しい問いを立てることから始まる




壁を越えるイノベーション実践録(47/50)

次回予告:
「“正解探し”より、“試しながら進む”がカギ」

〜イノベーションに必要なのは「試行する力」〜

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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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