方向転換は、敗北ではない 〜ピボットが開く、イノベーションの可能性〜

釜剛史

釜剛史

テーマ:壁を越えるイノベーション実践録

「最初のアイデアにこだわりすぎて、うまくいかなくなった」 「一度始めたことをやめるのは、負けた気がする」

イノベーションにおいて、こうした“こだわり”が大きな足かせになることがあります。

しかし、柔軟に方向転換する「ピボット(pivot)」こそ、 不確実性の高い領域ではむしろ戦略的な選択です。



ピボットとは?

ピボットとは、「軸足は残したまま、方向を変えること」。 つまり、アイデアの根本を否定するのではなく、 ユーザーや市場の反応を踏まえて“より価値が伝わる方向”へと転換することです。

どんなときにピボットすべきか?

以下のような兆候が見られたら、ピボットを検討するタイミングかもしれません:

  • 顧客が使ってくれない、続けてくれない
  • 価値を伝えるのに過度な説明が必要
  • 意外な用途で使われ始めている
  • 別のニーズやペインのほうが強く感じられる


ケース紹介:学習アプリの“想定外”の使われ方

教育系スタートアップが開発した「英語のリスニング強化アプリ」は、 高校生向けに開発されましたが、実際には“英会話講師の授業準備ツール”としての需要が急増。

当初のターゲットを「先生」に切り替え、教材編集機能を強化したところ、 講師間での口コミが広がり、有料化後も順調にユーザーが伸びました。

このように、顧客の“意外な使い方”に学ぶことこそ、ピボットの契機です。

ピボットに必要なマインドセット

  • 方向転換は“敗北”ではなく“進化”
  • ユーザーは想像以上にアイデアを変えてくれる存在
  • ピボットの余地を見越して、柔軟な企画設計を


まとめ:ピボットは、イノベーションの加速装置

  • 市場や顧客に応じて柔軟に変えることが成功の鍵
  • “意外な反応”は、次のヒントになる
  • MVPと組み合わせて使うことで、ピボットはより効果的に




壁を越えるイノベーション実践録(43/50)

次回予告:
「“どこでも通用する強み”は、実は幻想?」

〜コアコンピタンスを尖らせる思考法〜

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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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