“変革する組織”から“創造する組織”へ 〜イノベーションの土壌が整ったら、何を生み出すか?〜

釜剛史

釜剛史

テーマ:壁を越えるイノベーション実践録

これまで25回にわたり、「イノベーションが生まれる組織とは何か?」をテーマに、
風土、構造、心理的安全性、対話、マネジメントなど、組織の“内側”に焦点を当ててきました。

今回はその折り返し地点。
ここからは、“何をどう生み出すか”という、創造のステージに踏み込んでいきます。



組織改革は“手段”にすぎない


「心理的安全性を高めよう」
「ボトムアップの風土を育てよう」
「縦割りを越えて対話を生もう」

これらはすべて、“イノベーションを可能にするための土壌づくり”です。

いわば畑を耕し、雑草を抜き、水はけをよくし、日当たりを整えるようなもの。

しかし、そのままでは実りは生まれません。
次に求められるのは、「どんな種をまき、どう育て、どんな実を刈り取るか」という創造の営みです。

なぜ「創造のステージ」がうまくいかないのか?


変化に前向きな組織をつくったはずなのに、
いざ新事業や新商品を企画しようとすると、こうした壁にぶつかることがあります。

  • 「何をつくればいいか分からない」
  • 「そもそもアイデアが出てこない」
  • 「机上の空論になり、実行に移せない」
  • 「いい線いっても、途中で頓挫する」


これは、組織の“創造力”が十分に育っていないサインです。
人が安心して働けることと、新しい価値を生み出せることは、似て非なるスキルセットを要します。

次なるステージ:「創造する力」の再構築


これからのコラムでは、以下の5つのプロセスに沿って、
創造の現場で本当に使える考え方・スキル・仕組みを具体的に紹介していきます。

1)機会発見:どこにニーズや変化の兆しがあるか?
例:行動観察、インサイト、フェルミ推定

2)アイデア創出:どうやって新しい発想を出すか?
例:壁打ち、ラテラルシンキング、思考のブレーキ

3)コンセプト設計:どのように価値を形にするか?
例:ペルソナ設計、バリュープロポジションキャンパス、ストーリーテリング

4)仮説検証と開発:どこまで検証し、どう形にするか?
例:リーンスタートアップ、MVP、プロトタイピング

5)実装と展開:どう現場に根づかせるか?
例:社内巻き込み、共創、マネジメントとの連携

変化に耐えられる土壌に、創造の種をまこう


イノベーションとは、「組織の変革」と「価値の創造」が噛み合ったときに生まれます。
このどちらが欠けても、「変わったけど何も生まれない」「いいアイデアがあっても進まない」といった事態に陥ります。

ここからの25回は、「創造の営み」そのものに光を当てていく時間です。
抽象論ではなく、現場で使える実践知をお届けします。

まとめ:変革は終わりではなく、創造の始まり


  • 組織を耕し、風通しを良くしたら、次は「何を生み出すか」が問われる
  • 創造は“才能”ではなく、“スキル”である
  • 創造プロセスを分解・理解することで、誰でもイノベーションの担い手になれる




壁を越えるイノベーション実践録(26/50)

次回予告:
「ストーリーテリング」が、共感を呼び込む 〜語られた“想い”が、アイデアを動かす〜

変革を推進するワークショップや対話の場づくり支援も行っております。
「現状維持を崩したい」とお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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