「ストーリーテリング」が、共感を呼び込む 〜語られた“想い”が、アイデアを動かす〜
「●●さんは、ちょっと浮いていて扱いづらい」
「アイツの言ってることは理屈っぽくて…」
「また勝手なことを…チームの和を乱すなよ」
これらの言葉が、組織からイノベーションの芽を摘み取っているかもしれません。
イノベーションが生まれる組織には、共通点があります。
それは、「異質な存在を力に変える文化」があること。
「出る杭は打たれる」のではなく――
「出すぎた杭こそ育てる」ことが、組織の進化を加速させるのです。
なぜ“異端”がイノベーションを生むのか?
イノベーションとは、既存の枠組みを越えた新しい価値の創出です。
つまり、“これまで通り”を崩す存在が必要。
その役割を担うのが、個性的で異質な人材=異端の存在です。
- 誰も考えなかった視点を提示する
- 常識に疑問を持つ
- 違和感を言語化する
こうした力こそが、イノベーションの突破口となります。
異端を潰す組織の特徴
- 暗黙のルールが強く、挑戦や反論が歓迎されない
- 空気を読むことが「協調性」とされる
- 目立つ人が疎まれる
- 「和を乱すな」が合言葉になっている
このような組織では、“無難な人”ばかりが評価され、
変化の芽は芽吹く前に摘まれてしまいます。
異端を育てる3つのマネジメント視点
1. ラベルではなく「行動」に注目する
「変わり者」「クセ者」など、人物に対してラベルを貼るのではなく、
その人の“言動の背景”に関心を向けましょう。
「なぜその行動をするのか?」と問いかけることで、
驚くほど深い洞察や問題意識が見えてくることがあります。
2. 上司が“翻訳者”になる
異端の意見は、しばしば過激に聞こえたり、伝わりにくかったりします。
そこで必要なのが、上司による“翻訳”。
「つまりこういうことだよね」と言い換えたり、
「この視点はチームにとって重要だ」と価値を示すことで、チームに橋をかけます。
3. “チームの財産”として扱う
「ちょっと変わった人」がひとりいるチームは、実はとても貴重です。
均質なメンバー構成よりも、多様性がある方がイノベーション確率は上がるという研究もあります。
あえて少数派の存在に意見を求めたり、
「面白い意見だね!」と場を和ませたりすることで、組織に余白と柔軟性が生まれます。
ケース紹介:「出る杭」が事業を変えた
ある製造業での出来事。
品質管理部門の若手社員が、会議中に突然、
「そもそもこの仕様って、お客様に本当に必要ですか?」と発言。
空気が一瞬凍りました。
しかし、上司が「その問い、もっと聞かせて」と促し、対話を深めた結果、
その製品の仕様が抜本的に見直され、コスト削減と顧客満足度向上を同時に実現しました。
もしこの若手が「黙ってろ」と一蹴されていたら…変化は起きなかったでしょう。
まとめ:出る杭を活かせる組織が、未来を拓く
- 異端や少数派は、変化のカギを握る存在
- ラベル貼りではなく、背景への理解と翻訳が求められる
- 多様性を“面倒”ではなく“資産”として捉える文化が、イノベーションを加速させる

壁を越えるイノベーション実践録(22/50)
次回予告:
「“古参”と“若手”の断絶を越えるには?」 〜世代間ギャップをイノベーションの力に変える〜



