「問い」が変われば、未来が変わる 〜イノベーションを導く“問い”の力〜

釜剛史

釜剛史

テーマ:壁を越えるイノベーション実践録

あなたの職場で、こんな会話はありませんか?

「もっと良くしていきたいんです」
「でも、何から始めればいいか分からなくて…」

そんな時、私はこう返します。
「では、“どんな未来をつくりたいのか”から考えてみましょう。」



イノベーションは“問い”から始まる


技術やスキルは、すでにある“答え”を導き出すためのもの。
一方、イノベーションは、“まだ誰も見たことのない答え”を生み出す営みです。
だからこそ、そこに至る「問い」の質が、未来の質を左右します。

「正解を探す問い」と「可能性を拓く問い」


たとえば、次の2つの問いを比べてみてください。

「この企画、本当に失敗しないかな?」
「この企画、もし大成功するとしたら、どんな未来が見えるだろう?」
前者はリスクを回避する問い。
後者は未来を想像する問い。
どちらが創造的な行動を引き出すかは、明らかです。

私が大切にしている“3つの問い”


現場でイノベーションの種を見つけたい時、私は次の3つの問いを投げかけます。

1. 「なぜ今、これに取り組むのか?」
目的や意義を明確にすることで、当事者意識が生まれます。

2. 「もし制約がなければ、何をしたいか?」
既成概念を一度手放し、真にやりたいことに光を当てます。

3. 「この取り組みがうまくいったら、誰が喜ぶか?」
価値を届ける“相手”を具体化することで、共感と行動が加速します。

“問い”はチームの温度を変える


ある企業の新規事業プロジェクトで、「競合に勝つにはどうするか?」という議論が堂々巡りになっていました。

そこで私は、問いを変えてみました。
「この事業で、どんな社会課題を解決したいですか?」

その瞬間、議論の空気が変わりました。
数字や機能から離れ、一人ひとりが語り始めたのは、個人の想いや価値観。
そこからプロジェクトは一気に推進力を増し、社内評価も高まったのです。

まとめ:良い問いは、人を動かし、未来を拓く


“問い”は、単なる会話のきっかけではありません。
それは、人の視点を変え、想像力を刺激し、行動のエネルギーを引き出す「未来をつくる装置」です。

イノベーションに行き詰まりを感じたときこそ、
「どんな問いを立てているか?」を問い直してみてください。



壁を越えるイノベーション実践録(4/50)

次回予告:
「技術」と「人」のあいだに扉を 〜魔の川を越える“共創”のしかけ〜

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釜剛史
専門家

釜剛史(イノベーションコンサルタント)

株式会社あくるひ

企業研修、コーチング、技術経営コンサルティングの三つのアプローチでイノベーションを実践的に支援。富士写真フイルムやトヨタ自動車での実体験を基に、「横から目線」でクライアントの愉快創造を活性化します。

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