鉄・ステンレス・アルミなどを溶接・加工するプロ
佐野智一
Mybestpro Interview
鉄・ステンレス・アルミなどを溶接・加工するプロ
佐野智一
#chapter1
1989年に創業した、鉄を使ったものづくりを行う「伸和鉄工」。住宅や工場などの鉄骨建築から、階段や手すりなどの住宅設備、金物まで、鉄を扱うスペシャリストです。
「当社が製作した鉄骨が使われている企業の社屋や工場は、山梨を中心に数多くあります」と、代表取締役の佐野智一さん。最近は、既存の建物を耐震補強する鉄骨製作の依頼も増えているそう。JR甲府駅近くにある、地元でよく知られる近代建築・山梨文化会館の免震工事もその一つ。2016年に完成した大規模な改修プロジェクトに携わりました。
2021年には、新たな事業展開を見据え、国際規格であるISO9001(品質管理マネジメントシステム)とISO14001(環境マネジメントシステム)を取得。少子高齢化や新型コロナウイルスなどの影響で、建造物を新設する公共事業は減少傾向にあります。一方、全国的に老朽化が問題になっている橋梁の修繕・補強などは、今後も需要が見込まれると言います。「構造物の製作から施工まで一貫して行える強みをもとに、土木工事にも事業を広げたい」と佐野さん。
「鉄と聞くと、大規模な構造物をイメージする人が多いかもしれませんが、身近な製品にも鉄が使われています。カンカンと鉄を打ち成形する、いわゆる〝鍛冶屋さん〟のような、ちょっとした加工・溶接も行っています」
地元の農家から農機具の修理を頼まれたり、庭のフェンスを修繕したり、個人客からの依頼にも対応しています。壊れ・さびなどで使えなくなった工具など、身近な鉄製品についても気軽に相談してほしいと話します。
#chapter2
先代社長である父が伸和鉄工を創業したのは、佐野さんが中学生の頃。後を継ぐことに迷いはなく、高校卒業後すぐに家業を手伝います。父から鉄の溶接・加工などの技術を一から教わり、工場でものづくりの魅力に触れます。「まず依頼主からの設計図をもとに、鉄骨を製作するための工作図を作ります。工作図を見ながら、鋼材を切断したり、穴をあけたり、溶接したり、だんだん形になっていくことが楽しかったですね」
「いい製品を作ってお客さまに喜んでいただくことが何よりもやりがい」と話す佐野さん。「最高の品質で社会に貢献する」という企業使命には、ものづくりに一切の妥協を許さないという思いが込められています。
これまでで印象に残っている仕事を聞くと、「どれも印象深くて」と佐野さん。一つ一つの案件に真摯に向き合ってきた姿勢がうかがえます。「鉄という素材は共通でも、まったく同じものを製作することはまずありません。毎回、設計図を見て、これからどうやって作っていこうと考えるときは、挑むような気持ちになります」
経営者となり、ものづくりの現場から離れた今でも、自ら従業員に指導。溶接技術の勉強会を開いたり、CADを使った工作図の製図方法などを教えたりしています。コロナ以前は、毎年インドネシアから実習生を迎え、技術者らの資格取得もサポート。また、溶接ロボットなども積極的に導入し、技術の向上にも力を入れています。
#chapter3
同社は、バイオトイレの製作を通じて、SDGs(持続可能な開発目標)の一つ「安全な水とトイレを世界中に」の実現に向けた取り組みも行っています。バイオトイレとは、水を使わず、微生物の働きによって排せつ物を分解・処理するトイレのこと。環境汚染や水不足に悩む地域でも設置できることから、世界で注目されています。
きっかけは、ネパールの世界文化遺産パシュパティナート寺院に、バイオトイレを寄付する計画を支援していた大手ゼネコンからの依頼でした。現地ではトイレ整備が進まず、周辺を流れる川の汚染が問題となっています。2018年頃から、地元の大学教授と連携しながら、バイオトイレの処理槽の製作を開始しました。
「それまでバイオトイレでよく用いられていた〝おがくず〟の代わりに、木のチップで排泄物を分解・処理する構造です。当社にとってまったく新たな分野となるため、トイレの仕組みを一から学ぶところから取りかかりました。鉄とステンレスの素材を使い分けるなど、さびないように工夫しています」
新型コロナウイルスの影響で、ネパールへの設置時期は未定ですが、バイオトイレはすでに完成。2021年には、鹿児島県のスポーツ施設での実証試験がスタートしています。
「当社の技術を生かし、社会の役に立てることはうれしいことです。今後も当社のバイオトイレが役立つ機会が増えることを期待しています」と佐野さん。新たな分野でも技術力を発揮し、世界の環境問題に貢献することを目指しています。
(取材年月:2021年5月)
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Profile
鉄・ステンレス・アルミなどを溶接・加工するプロ
佐野智一プロ
鉄工・鉄鋼業
株式会社伸和鉄工
鉄骨建築や耐震工事、免震工事、住宅の階段、金物まで、高品質な鉄製品を生み出す技術力に定評あり。SDGsに取り組み、バイオトイレの製作を通して環境問題に貢献。地域密着で個人から法人まで幅広く対応します。
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