~ 士衛塾空手を通して、伝えたいこと 56 ~
士衛塾山梨の門下生に向けた、私からのメッセージを転載します。
2021年 11月号 士衛塾山梨ニュースより
この間感じたことなどを、こちらに書いています。ぜひ、皆さまご一読いただければ幸いです。
■ いつものことを変わりなく ■
私が、自分自身も含めて大切にしていることのひとつに「試合翌日の練習に出る」ことです。普段は月曜日も練習していますが、「日曜日試合だったから月曜日は休もう」は、私的にはダメです。それは、自分自身に負けるからです。いったん負けたら「負け癖がつき」、次からは当たり前のように試合翌日は休むようになってしまうでしょう。試合翌日はダメージや疲れているから、せめて休もうという考え方もありますが、「だからこそ」休まないという意地というかです。
いつも普通に行っていることを「何かあったから変えてしまう」のではなく、何があっても普段通りに淡々と行うことは大切です。痛くてできなかったら「見学(見て学ぶこと)」でも良いのです。
9/20(月・祝)に行われた全日本大会、大阪での開催、大会終了後19時過ぎに出発し山梨についたのは夜中の2時過ぎ。ほとんどの参加者はその日は学校か仕事でした。ほぼ寝ていない状況で学校や仕事へ。翌日の火曜日の選手クラス練習には、なんと、みんな来ました。すごいですね。やっぱり全日本・世界大会クラスの人は違います。痛くても、疲れていても、眠くても、練習に来ます。彼女たちへの私からの信頼もいっそう増しました。
何かあったら休むという姿勢ではなく、何があっても来るという姿勢が大事です。
■ 「壁」と戦う ■
今回は「壁」と言ってもいつも私が表現している困難という例えの「壁」ではありません。まさに「壁」です。そう、例えは悪いですが、妖怪ぬりかべのような「かべ」です。20日の全日本大会で、金丸優奈は一回戦を勝利し二回戦は優奈よりも一回り年上の幾度もチャンピオンとして君臨している「女王」でした。その女王までたどり着き何を得るかが今回の優奈の課題でした。そして得たものは・・・「まるで壁と戦っているよう( ;∀;)」でした。
何をしても下がらない効かない。バンチ痛い。勝ち目はありません。優奈はよく2分間戦いました。素晴らしい!私も以前、外人と戦った時の経験を思い出しました。何をやってもビクともしない、足は崩され何度も転ばされ。もうこの実力差に笑うしかない。
上には上がいます。では、そこに自分はたどり着けないのか?いや、同じ人間。そんなことはない。自分もたどり着いてみせましょう!よし、練習!練習!
■ 最大の敵は自分自身だった ■
涼しい日々から一転、全国一暑かった9月20日の大阪。JKJO全日本大会の私の最大の敵は自分自身でした。午前中はジュニアの大会を行っていたため、一般とシニアの会場は13時から。開場を前に並んでいたところから汗が滝のよう。その後も暑い暑い。汗が止まらず、飲み物を大量に飲む。試合前のアップをしたいが、すでに暑さでバテバテのためやる気も起こらず。準々決勝の前に試合前にセコンドについてくれた先生が「打っていいよ」と言ってくれましたが体力がそこまでなく「いえ、試合に体力をとっておきます」。こんな状態。幾度となく試合を経験していますが、こんなことは初めてです。気持ちの切り替えもなかなかできない。暑さに負けた自分との戦いでした。こんな状態は二度と御免です。しっかりと対策をとならければ。
■ 佐藤くん、ありがとう ■
今回のJKJOシニア全日本大会にあたって、組手の練習はほとんどと言っても良いほど佐藤佑星に付き合ってもらいました。年齢は53歳と高校2年生でずいぶんと違いますが、重量級は一緒。動画にも撮りながら楽しく組手を行いつつ、しっかりと動画をチェックし、自分自身の動きや技の出し方などを客観的に見て研究しました。佐藤くんには毎回お付き合いいただき感謝です!
以前は佑星と同じ学年の茶帯が多くいました。その中で佑星は決して強くはなかったです。佑星以外は、勉強が…部活が…家庭が…で辞めていき、黒帯まであと一歩の茶帯止まり。ただ一人続けていた佑星だけが黒帯となりました。
その当時強くても、結果、辞めてしまえば弱かったということです。同級生の中で一番泣き虫でビビりだった子が残りました。いつも私が言っているように「続けている人が一番の強い人」です。「あの泣き虫で(今も)ビビり」の佑星が私のスパーリングパートナーとなって一緒に練習をするなんて、なんだか感慨深いです。「決して諦めない」という強い心の持ち主です。
もちろん、これは今士衛塾山梨にいる黒帯全員に共通することです。里紗も帆南も美琴も明日香も優奈も、みんな泣き虫で弱かった子たちが「いま」残って、頼りになる存在になっています。
■ 動画に撮る ■ ※以前書いたものを加筆・再掲
私は、自分自身の試合の動画は必ず撮ります。それを見返して、評価をします。過去のものも見返します。練習も時々動画を撮り、現状を把握します。
動画は、自分自身を客観的に見るための非常に優れたツールとなります。自分ではできていると思ったことができていないことも、わかります。よく型の練習で、1人で型を演武してもらい、周りのみんなで指摘しあう。これが自分自身で出来ます。これを新潟のご父兄(特に選手クラス)は毎回の練習で撮影し、帰りの車で見返したり、家に帰って見返したりして、動きをチェックしています。今日の動き、教わったことの到達点を、ずっと後の試合の動画でチェックするより、その日にチェックした方が、良いに決まっています。その成長の差は歴然としてきます。
山梨の練習の現状を鑑み、毎回とまではいかないにしろ、たまに動画を撮影することをお勧めします。基本でも、型でも組手でも何でも、いつでもOKです。選手クラスなら、組手は終了30分前くらいから始めます。お迎えを早く来ていただき、ぜひ道場内で撮影してください。型も撮影することはとても大事です。大変でしたら、ビデオを三脚に立てての撮影も良いです。お願いいたします。
■ 試合に出る選手は練習しないと勝てません ■
当たり前のことですが、試合に勝つためにやるべきことは「練習」です。いきなり強くなる秘訣はありません。コツコツと基本の積み重ね以外にありません。ルールのある試合ですから勝つための「コツ」はありますが、基礎的な練習が習得できていない人には役に立ちません。
一生懸命に練習しても勝てないことがあるのですから、練習していない人、練習量が足りない人は勝負の世界では勝つのは厳しいです。対戦相手は必死で練習してきているかもしれません。
武道では、試合に勝つことだけが全てではありませんが、やはり選手も指導者も出場するには「勝利」が欲しいところです。しかし、それに見合った練習量がないと勝利は難しいです。
初歩的な対策としては、試合に出て勝つという目標を決めたら、そのために一生懸命に練習に取り組むということがとても大切です。ですから常に目標を繰り返し決め一生懸命に練習することが大事です。例えば、学校でいうとテストがあるから勉強をするという具合に、目標を立てて取り組む方がやりやすいですね。
しかし、本当は「そのために」練習や勉強に取り組むのではなく日常的に一生懸命に取り組むことが大切ですが、なかなか凡人にはそれができないので、私は常に目標を立てて練習しています。試合という目標を立てないと私自身、組手をしなくなる、つまり楽な方へと転んで行ってしまうタイプなので、無理やり目標を作って練習をしなければならないように仕向けています。試合があるから、その前にちょっとだけ頑張るのも良いけれど、日常的にできると、なお良いですね。
私の知り合いの医師の話です。75歳になり病院勤務も週二日に減らしました。今は終活のため書籍等の紙類をスキャナーで取り込みデータ化している毎日です。最近は自身の専門でもある糖尿病について改めて学んでいます。資本論についても再度学んでいます。私が「まだ勉強するのですか?」と聞いたところ、「小学校中学年くらいから、毎日勉強をするのが当たり前だからね。今更勉強をするなと言われても…」。私も空手の稽古ができないと何だか気持ち悪いというところはこの医師に少し近づいているのかもしれませんが、まだまだ足元にも及びません。
■ 練習のレベルアップを ■ ※以前書いたものを加筆・再掲
試合に勝ったり、上手になるためには、練習量とともに内容のレベルアップも必要となっています。幸いなことに士衛塾山梨では、通常の練習以外だけではなく、それを補う「フリークラス」、「上級・選手クラス」を現在設けています。それぞれの目的に合わせて本部登録者は自由にご参加ください。全ての練習で初心者から参加可能です。
「一般部・シニア フリークラス(月20:30-21:30、水21:00-22:00)」一般部・シニア向けに各自個別ないし集団で練習を行います。仕事で遅い方もご利用できます。ジュニアでも参加できます。私はここでは指導の他に普段の練習で行わないサンドバッグや部位鍛錬を行っています。
「上級・選手クラス(火・金19:30-21:30)」基本や型、移動組手等すべてにおいて士衛塾山梨最高峰の練習を行います。「最もおすすめ」のクラスです。現状のステップアップのためにもぜひご利用ください。審査会の前や、試合の前だけにスポットで参加することも構いません。上級・選手クラスとなっていますが、白帯や初心者からでも参加できます。いま参加している子たちも白帯から参加しています。このクラスは、紫帯からは必須となります。黒帯を目指すためには参加をお願いします。
◆昇級にこだわることなく、健康維持等で続けたい方は、支部や本部の通常練習で十分です。
◆黒帯を目指したい方は、全日本チャンピオン、世界大会出場を狙う方は、通常の支部や本部練習に加え、上級選手クラスが必要です。
ぜひ各指導員にご相談ください。カッコいい黒帯を目指そう!
■ 素晴らしかった「創作型」 ■
士衛塾山梨 第1回「創作型」動画コンテストへの応募、ありがとうございました。「素晴らしい型」「面白い型」のそれぞれ1位には5千円を超える甲州ワインビーフの美味しいお肉を送らせていただきました。また、今回特別に応募していただいた方全員に先代の書いた「毘沙門天」の手ぬぐいを送らせていただきました。
両部門とも多彩なアイデアと独創的な動きなどなど、目を見張るものがありました。想像力を働かせ、それを体現するという、とても大事なことができたはずです。
様々な情報が氾濫し、考えたり想像したりしなくても、ネットで調べれば、正しいか正しくないかは別として、答えが見つかる世の中です。だから想像力が乏しい人が多くなってきています。
私は練習で生徒に問いかけることが多いです。例えば「内受けのポイントは?」。これの答えは一つではありません。幾つもあります。答える本人がそう思って答えるならばそれが正解です。ポイントを想像し、声に出す。結構大切です。その先には「想像した夢を目標に変え、実現するための行動をする」こと。そして、こういうことをすると人は嫌がるかな?喜ぶかな?という「人に対する優しさ」へとつながります。
■ 師として ■
勉強やスポーツは、「先生と生徒」という関係です。古臭いかもしれませんが、武道は「師匠と弟子」の関係です。
ある先生の言葉を拝借します。
師の問題は、弟子の問題である。教わる姿勢ができていない者を指導することはできない。師の教えを心の底から受け入れようとするから、師の教えを理解することができて身につくのである。
何事もいい加減な気持ちでは身につかないのである。克己復礼「己(の身勝手)に打ち克って礼にかえることが人徳につながる」と、孔子は論語の中で説いている。すべての向上心の源泉は、謙虚にして積極的に生きるこの姿勢にある。学ぶということは、先ず自分に克たなければならない。素直にならなければ、相手を受け容れることはできない。謙虚になることは、人に言われてできるようなものではない。自ら進んで、学ぶ心がなければ稽古に絶えられない。
武道とは志すものである。教えてくれないと不平不満を言うようであれば、教えようがないのである。かつては、門前で師の許しを得てから学んだのである。師弟関係で最も問われるのは「人格」である。教えるのに値する人か。教わるのに値する人か。師から学ぶのは「全人格的なもの」「生きることそのもの」である。
師とは「人生の師」である。「人生をいかに生きるべきか」を教えてくれるが師である。人としての「生き方」「出処進退」を指導してくれるのが師である。
師から学ぶものは、単なる「知識」や「技術」「処世術」ではない。現世利益を求めても、師からは何も受けられない。学ぶことは、命懸けなことである。本来は修業なのである。師たる者は、自分が人生を賭けて体得したものを弟子に与えなければならない。教える者も、教わる者も中途半端な気持ちではできない。今でも禅寺では、「三日間門前で試される」のである。教えてくれないと恨み言を言うようでは、学ぶ姿勢そのものができていないのである。
師は針、弟子は糸。武道は体得すること以外に、学ぶことができないことが数多くある。師は全身全霊をかけて教える。弟子は全身全霊をとして学ぶ。師は自分の全てを弟子に与える。弟子は師の全てを学ぶ。師弟愛は、親子愛に勝るとも劣らないくらい深い絆がある。
師弟愛ほど深いものはないのである。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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