丁寧な整備と迅速なレスポンスを大切にする自動車整備のプロ久保田純

丁寧な整備と迅速なレスポンスを大切にする自動車整備のプロ

久保田純

車検や修理、板金塗装を手掛け、車の状態を身近なものにたとえて分かりやすく説明

　「ブレーキがかかりにくい、エアコンがきかないなど、マイカーに不具合があるときや、車体に傷がついてしまったときは当方にお声掛けください」。

　こう話すのは、山梨県笛吹市の「純自動車整備工場」代表、久保田純さん。車検や修理、板金塗装を手掛け、個人だけでなくカーリース会社や中古車販売店からも依頼を請け負ています。

　「車に関する困り事を幅広く受け付けておりますので、電話やメールでお問い合わせください。3日前までに連絡をもらえればスムーズに対応できますし、ご相談やお見積もりは無料です。また事前にご予約をいただいた場合は、代車料金と使用されたガソリン代も頂戴しておりません」。

　買い物や家族の送迎、通勤など、日常に欠かせない移動の足である車を預かるにあたって、顧客の負担や不便を少しでも和らげたいと、細やかに配慮。作業内容や車の状態を説明する際も、できるだけ専門用語を使わず身近なものに置き換えています。
　「知識があまりない方は、例えばエンジンオイル添加剤と言われても、それが何かをイメージするのは難しいでしょう。そこで、私は『エンジンをきれいに保つ洗剤です』とお伝えするようにしています」

　久保田さんには、持ち主と一緒に自動車を守っていきたいという思いがあります。
　「体調が悪いときだけ病院に行くのではなく、自分自身で体に関する理解を深めれば健康につながる生活習慣が身に付きます。車も同じです。われわれプロに全てお任せいただくのもよいのですが、お客さまが詳しくなれば、快適なカーライフを送ることができます」

整備士、自動車メーカーの製造工、部品商社の営業などを経験し独立

　久保田さんは1982年に笛吹市で生まれました。自動車整備の専門学校を経て、カーディーラーに整備士として入社。以来、大手自動車メーカーの製造工や自動車部品専門商社の営業など、車に関するさまざまな分野に携わりました。

　独立をしたのは2021年6月です。当時勤めていた部品商社の主要取引先は町工場でしたが、代表の高齢化と跡取りの不在を理由に次々と事業を畳んでいました。
　「『ディーラーや大手の整備業者があれば問題ないのでは』と考える向きがあるかもしれませんが、町工場がなくなるということは、業界全体として手が足りなくなるということ。故障が発生した際、迅速に対処してもらえないようでは、お客さまが困ってしまうので、自分でやろうと決心しました」。

　久保田さんは、いくつかの会社に勤める中で培った知見やネットワークを強みとして創業。顧客開拓に乗り出しました。
　「レンタカー会社やリース会社が、整備や車検を任せるところを探しあぐねているという話を聞いていましたので、まずはこうした会社にアプローチしていくことにしました」と久保田さん。

　実際、この戦略は的中します。法人顧客との関係構築に成功し、基盤を安定させることで徐々に個人客も獲得していくことができました。

　事業戦略のヒントは趣味の読書から得ていて、愛読書は「孫子」だとか。「多くの著名な経営者が薦める名著です。読み始める前は自分の業務に役立つか疑問でしたが、ビジネスを戦いと捉えると理解できる部分が多々ありました」。

整備士が減っていくのを防ぐため、従業員の雇用・育成にも力を入れていきたい

　日々の暮らしを支える便利な道具であるのはもとより、こだわりをもって長く乗りつなぐ愛好家もいるほど魅力的な車。安全性や走行性を左右する多くの消耗品が使われているため、久保田さんは点検や整備の際にそれら一つ一つに目を凝らし、慎重に交換時期を見極めています。
　「今すぐ交換すべきか、今回は不要か。すぐに変える必要はないが、この機会に済ませてしまった方が結果的に費用の負担が減るのか。的確な状況判断のもと選択肢を提示し、その上でお客さまの意思を尊重するようにしています」

　会社を立ち上げてから現在まで順調に案件数が増えていることから、今後は従業員を雇って会社の規模を大きくしていく方針です。久保田さんには、「自動車整備士の数が減少している」という危機感があり、雇用を通じて後進の育成に貢献していきたいと考えています。

　「事故が起きないように隅々まで神経を行き渡らせるので、決して楽な仕事ではなく、つらいと感じる日もあります。しかし、真面目に打ち込んでいれば評価してくださるお客さまは必ずいます。それがうれしくてやめられません。要するに本人次第なのです。職務に対する姿勢や考え方も含めて、私の経験や技術を惜しみなく伝えていきたいですね」。

　忙しい毎日を過ごす久保田さん。家庭では2人の息子がいて、時々、工場に父親の姿を見にくるそうです。「同じ道に進むかどうかはそれぞれに委ねますが、私の働く姿を見て何かを感じ取ってほしいなと思っています」

（取材年月：2023年8月）

快適なカーライフを送れるよう、車の困り事に幅広く対応

車検や修理、板金塗装を手掛け、車の状態を身近なものにたとえて分かりやすく説明

整備士、自動車メーカーの製造工、部品商社の営業などを経験し独立

整備士が減っていくのを防ぐため、従業員の雇用・育成にも力を入れていきたい

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