展示会ブース、店舗内装デザイン等の企画・設営・管理のプロ岩谷鷹義

展示会ブース、店舗内装デザイン等の企画・設営・管理のプロ

岩谷鷹義

来場者に印象づけるためにもブランディングを重視した展示ブースを提案

　「展示会にイベント、ホテルやデパートで開かれる催事などのブース企画とデザインから設営、管理までトータルで行います」と話すのは、「クリスタル企画」代表の岩谷鷹義さん。1989年の創業当時から、山梨県の地場産業である宝飾に強く、これまでアイメッセ山梨、東京ビックサイト、パシフィコ横浜、神戸国際展示場などでの国際的な宝飾展のブースを数多く手がけてきました。リピーターも多く、同一の宝飾展において、120社のブースを担当した実績もあります。

　同社の信頼を支えるのは、岩谷さんのブランディングを重視したブースづくりです。
　「展示会には継続して出展することが前提で、来場者に印象づけるためにも一貫したブランドイメージを打ち出したほうがいい、というのが私の考えです。コーポレートカラーを決めるなど、来場者が一目で認識できるようなブースをご提案しています。商品構成をうかがい、商品の特性を生かしたライティング、ディスプレーも心がけています」

　ただし、「お客さまのご要望にお応えすることが一番大切」と岩谷さん。「難しい課題に直面したときでも、与えられたテーマを実現できるように、時代のトレンド、デザイン、素材などについて勉強したり情報収集をしたり、日々、研鑽に努めています」と話します。

　ブースの企画・製作は、宝飾展示会にとどまらず、ギフトショー、ファッションEXPO、オートサロン、健康博覧会など幅広い分野に及びます。岩谷さんがさまざまな業種の展示を横断的にみていることで、「相乗効果が生まれ、多様な提案が可能」といいます。

高校生の時に感銘を受けたブースづくり。職人の熱気に包まれる現場が好き

　建材の運搬、壁の建て付け、クロス張り、床張り、什器や備品の搬入と、ブース製作のすべての工程に関わる岩谷さん。初めて展示会場でブース設営に立ち会った高校生のとき、職人の仕事ぶりに深い感銘を受けたそうです。

　「展示会の開催3カ月前から準備を始めて、作業は1～2日間です。その短時間で、住宅の内装に匹敵するクオリティーのブースをつくり、展示会が終わったら、4時間ぐらいであっという間に撤去して、会場を更地に戻します。職人さんの技ってすごいなと思いましたね」

　当時の感動を変わらず持ち続ける岩谷さん。「今も現場が大好き」と話します。「大規模な展示会では、当社が依頼する施工業者さんだけでも200～400人にのぼり、総勢1000人以上の職人さんが集まります。会場内は、汗と熱気でムンムンです。職人さんたちがみんな、この展示会を成功させようと動いてくれることに胸が熱くなります」

　設営時には、急な変更やトラブルも発生します。120社のブースを施工した国際宝飾展では、岩谷さんのスマホは鳴りっぱなしだったそうです。
　「東京ビックサイト内をブースからブースへの移動で4万歩を歩き、靴下に穴が空きました。時には無理難題が降りかかりますが、それを解決するのがまた楽しい。現場でできることで、いかに納得していただくか、その創意工夫にわくわくします」と笑顔をみせます。

　クリスタル企画という社名には、「各分野のプロが集合した結晶」という意味が込められていますが、この言葉を体現する技が繰り広げられているようです。

展示会を待っている人がいる。来場者の姿を目にして仕事の意義を再確認

　岩谷さんのもとで製作するブースは出展者からの評判もよく、特に宝飾展においては「クリスタル企画さんに任せれば間違いない、というお声をいただくことも多い」といいます。でも、「そうした評価も、腕のある施工業者さんがいてこそ」と岩谷さん。近年は、展示会専門の施工業者も高齢化が進み、将来の人材不足が懸念されるそうです。

　「業界全体を盛り立てていくためにも、ブース設営の素晴らしい技術を若い人たちに、ぜひ継承してもらいたい。この業界に少しでも興味を持つ人が増えたらうれしいです」と、若い世代にメッセージを送ります。

　コロナ禍で展示会が中止になるなど、同社も大きな影響を受けています。それだけに、賛否はあったものの、2021年5月に神戸宝飾展が無事に開催され、多くの来場者を目の当たりにした時には、「展示会を待っていた人がいる。自分のやってきたことに意味はあった、と思ったらジーンときました」と話します。

　最近は、店舗の内装デザインやオリジナル什器製作にも注力。感染対策商品の企画・販売や、顧客向けにホームページ制作やSNS活用法を提案するなど、新たな業務もスタートしました。
　「利益にならないことでも、お客さまの役に立てることは何でもしたい。多方面にアンテナを張って引き出しを多くして、『クリスタル企画さんに頼めばなんとかしてくれる』と、言ってもらえるような存在になりたいですね」

　廃業を余儀なくされる同業他社もある中で、今後も岩谷さんの活躍が期待されます。

（取材年月：2021年7月）

国際的な宝飾展をはじめ、大規模な展示会のブースを製作

来場者に印象づけるためにもブランディングを重視した展示ブースを提案

高校生の時に感銘を受けたブースづくり。職人の熱気に包まれる現場が好き

展示会を待っている人がいる。来場者の姿を目にして仕事の意義を再確認

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