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徘徊事故の妻の責任について考える
国賓として来日中のオバマ大統領の華々しいニュースの陰で、とても悲しいニュースが報道された。
夫を介護中の妻がうたた寝している間に、夫は自宅から外出して徘徊し、施錠されていないフェンス扉から線路に入り死亡した。
遺族の妻に対し、JRは列車の遅延損害などの賠償約720万円を求めた。
一審判決では、夫と同居の妻と別居の長男に対し賠償責任を認め全額賠償を命じた。二審判決では、妻のみに賠償責任があるとして約360万円の賠償を命じた。
まだ、この判決が確定したわけではないが、遺族であり被告である奥様のお気持ちを察すると胸が締め付けられる。
どちらの当事者側に立つかによって、この事故での賠償責任についての考え方は違うだろうが、あまりにも非情な悲しい判決だと私個人は考える。
遅延損害が生ずれば、自動的に損害額を算出して請求を行わざるを得ない企業側の論理も理解した上で、あえてこの判決はこのまま確定しなければいいなと考えてしまう。
これまで、何度も「介護力」の中で書いてきたが、国の政策は施設介護から在宅介護に向かって突進している。しかし、なかなか個人で在宅介護を担うだけの介護力は備わっていない。そんな中での本件判決である。
本件でも、老々介護の実態、奥様も「要介護1」、JRは事故防止のため万全の義務を果たしているのかなど様々な問題がある。
是非とも、法治国家の良識の府が国民の身近な問題に目を向けた政策の充実と不備の解消を図り、司法は超高齢社会の中で、一方にえこひいきしろというのではなく、高齢者に寄り添った温かみのある判決を下してほしいと思うのである。