海洋代理散骨葬 お骨の洗浄と乾燥作業
先日、お電話でマンション孤独死現場の整理清掃見積りのご相談を頂きました。
県外在住ご遺族の代理とのことでマンションオーナー事務方からのお電話でした。
急を要する案件と判断し翌日には現場訪問させて頂き見積り提示致しましたが、残念ながらその日の夕刻に先方よりキャンセルのご連絡がありました。
「私共の想像以上の金額で今回の御社への整理作業依頼はキャンセルさせて下さい」
と、早々とお断りの電話を頂きました。
訪問時の雰囲気で何となく予想はしておりましたが非常に残念です。
現場は連日の猛暑の中での孤独死。死後50日位経過してからの発見とか・・・。亡くなられた方はフローリングの上に布団を引き寝起きをされていたとの事、独身男性で部屋には家電品、生活雑貨、ゴミで溢れております。お布団も遺体から染み出た体液や排泄物で染み汚れ重さを増しフローリングにもドス黒く染み跡が見えます。ハエ、ギンバエなどの死骸が部屋中に散在しており足の踏み場もありません。
県内の建設会社兼マンションオーナー事業所からのご相談でしたが、ご遺族とその後の現場の回復交渉がマンションオーナー様は控えているものと考えられます。
自社社員による清掃作業計画もあったのか定かでは御座いませんし、実際に特殊清掃士の手法や見積金額が必要だったのかも分かりません。その時は受注頂けない雰囲気はあるものの不思議と作業手順や手法などについて多くの質問があり「興味があるのかな・・・」と感じつつ、簡素にではありましたが回答させて頂きました。
しかしながら、結局は当日夕方のキャンセルの電話を頂く事となりました。
契約に至らなかったのは仕方のない事ですが、私共が心配するのは「では誰が清掃するの?」という事です。
先にも言いましたがこの猛暑続きの中死後50日放置されたご遺体、室内の壁や床、全ての動産に病原菌が鼠やゴキブリ、ハエなどによる拡散、細菌が付着していると言っても過言ではありません。そのような現場で知識のない方が清掃作業する事を非常に心配しているのです。
【特殊清掃時の専門的な基礎知識】
特殊清掃士は確りとした殺菌消毒や消臭作業を実施しないと実作業は絶対行いません。
また、専用化学防護服や専用保護メガネ・マスク等着用作業でどんなに暑い過酷な環境でも肌は一切露出しません。
■初期的な変化
死体が腐敗を始めますと死臭が漂い始めます、夏場は3日程で腐敗。
■死臭とは
死臭の原因は何百種類もの揮発性脂肪酸、窒素化合物、有機物が混ざり合った臭い。
強烈な腐敗臭(ハエが好む臭い)
体内のあらゆる組織をガスと塩分に分解するバクテリアにより発生します。
■感染症初期
ウイルスや細菌の病原体が作業員の体内に侵入増殖する事。
病状としては 発熱(高熱)や下痢や嘔吐、咳などが出始める。
(市販のマスクや軍手作業では防ぎようが無く絶対禁物です)
■あらゆる家財や動産品、衣類
主の死後も動き続けている冷蔵庫やテレビ、ストーブやエアコン、
などには腐敗臭や汚染した埃、細菌が詰まり込んでおります。
ご遺体から体液や血液などが滲み出ている過酷な作業現場では特に注意が必要です。
専門の知識もなく軽率な行動や安易な思い込み、普通の作業着で事に当たると危険な恐ろしい感染症にかかる可能性が高くなります。
人間の細胞は人が亡くなると少しずつ死んでいき半日もすれば全ての細胞は死にます。ウイルスも同じで人間の細胞が生き続ける限り生き続け、死後数時間でウイルスも死んでいきます。但し細菌やカビの微生物だけはそこに栄養物(遺体)があれば活発に活動し、増殖し続けます。また室内では遺体から染み出た血液や体液、排泄物等に接触したであろう鼠やハエなどにより室内の隅々に拡散されます。
この様な現場で作業を行う者は確りとした知識や危険性を理解し、特別な専用防護服など着用して作業に当たらないと取り返しの付かない事になりかねません。
ご依頼主様が今回の現場を通常の家財搬出清掃作業と同等と思ってられたのかは定かでありませんが、使い捨てとなる備品や薬代、経費や時間、作業技術対価の理解が得られなかったようで大変残念に思います。
孤独死、腐敗遺体現場は細菌やカビの塊など必ずあるものと考え、専門家による殺菌や消毒作業後に入室し整理作業を始めるよう留意ください。ご遺族も含め安易な考えでの入室、お急ぎとは思いますが探し物作業などは控えるように願いたいものです。・・・特殊現場清掃士の独り言
【正しい知識を習得しないで特殊清掃を行うのは*自殺行為*に等しい】
北里大学看護学部 基礎看護学領域 感染看護学 教授 堀 良子先生 推薦の言葉
※当社には事件現場特殊清掃士の有資格者がいます・・・こちら
四代続く実家の整理と解体作業
7月末頃、連日の猛暑の中での作業となりましたが、家1軒丸ごと遺品整理作業を受注致しました。
高校で教壇を執る方からのお問い合わせで早々現場でのご相談、お見積り作業とご要望をお伺致しました。
お話の内容では家財動産処分と合わせて自宅や倉庫の解体と、庭木の伐採作業のご相談でした。
ご相談者はこの家の次男50代の方、兄弟やご両親に先立たれ巡り巡ってきた相続話。
ご自身が高校生まで親や兄弟と生活をした実家です。
一見すると築50~60年程、水回りなどはリフォームされておりますがいたる所、屋根の水漏れや外壁なども朽ちており傷みも見えます。
室内を見ますと、先祖の質素な生活ぶりが垣間見えるそんな家財道具、生活道具が山積みです。
「子供達を大学まで・・・」自身の生活を抑えて子供達への投資、働き者で子供想いのご両親だったようで最後まで働き詰め、子供や孫達の成長だけが生きがい、そんなようにも見えてきます。
親類縁者も多かったのか時代を感じるドッシリと構えるお仏壇に神棚。寝具類や昔の重箱、お椀、お膳に小皿、箪笥の中の着物類、衣類に生活道具。廃棄や入れ替えも出来ず只溜め込んだ贈答品や生活雑貨。全てが取り置きされ屋根裏の倉庫まで全てが埋め尽くされております。その物量をざっと見積もってもトラックで7~8台で済むのかどうか・・・。作業期間も毎日4人体制でも1週間から必要と見積りました。
ご相談者も改めてその物量に驚きながらも今となってはご両親には感謝するのみ。
温厚で家族想いの方、私にはその様に感じ取れました。
数日後には契約を済ませ自宅の鍵をお預かり、ご依頼主の不在のなか早速作業となります。作業中は風も無く、立っているだけでも汗が噴き出て来るそんな毎日でした。
屋根裏などは既に蒸し風呂状態、窓も無く熱中症に皆注意をしながら只黙々と作業に従事します。
作業が進むにつれ色々な物も発見されます。ご両親の結婚写真とその時の結婚指輪、縦爪のプラチナダイヤモンドリングと男性用コンビのリング。それぞれの保証書と宝石鑑定書、裏面にもそれぞれイニシャルと記念日が刻まれております。
ご両親が結婚の際に互いに贈られた物。大事にされ亡きお母さんの箪笥の奥深くから出て来ました。本当に大事にされていたことが分かるように風呂敷に包み込まれており、傍らには記念日の写真が添えられておりました。作業現場の完成時にそのありのままを説明しながら、ご依頼主にお渡し致しました。
アルバムもミカン箱に2箱程、子供の成長時の写真、それぞれの結婚式風景。どのご家庭からも多数出て来ますがセピア色に変色した戦前からの写真まで多数出て来ます。
気になったのは便箋の種類の多さ、それぞれに可愛い絵が画かれてた子供宛の便箋の山は全部で12~13冊ほど、勿論どれも途中まで使用されておりますが、お孫さんにでもお手紙を書いていたのでしょうか? 一般のご家庭では余り見かけない物、孫想いで筆まめなお婆ちゃんだったのでしょう。
先日来あの大変だった作業もおおよそ計画通り進み、ガランとなった現場のお引き渡しを終えました。ご依頼者様も広々とした空間を静かに眺めながら、懐かしそうに笑顔でお話しされておりました。
「正月やお盆時期はこの二間続きの座敷に溢れる程親戚が枕を並べ寝たもんです」
これから母屋と蔵の解体、庭木の伐採作業が始まります。
秋先の消費税UPもあり作業が集中、どこの解体業者も猫の手も借りたいほど大忙しです。この現場もグループ協力会社で受ける事となります。
現場が大がかりな為、急ぎ仕事ですがお盆明けから9月初め頃の着工予定です。
全ての作業をご依頼頂き有り難う御座いました。
遺品整理後の自宅解体作業
先月、猛暑の中での遺品整理、過酷な孤独死現場でしたがそれも無事に終了。
ご遺族からの追加作業で家の解体作業も追加で受注致しました。
何処の工務店も初冬まで仕事がいっぱいで予定が詰まっていると嬉しい悲鳴が聞こえてきます。ご依頼を受けながらも協力業者と作業日程を詰めますが、そこは長年のお付き合いで工務店社長に直談判、無理矢理に作業をはさませて頂き、先日めでたく解体作業の着工となりました。
今時、普通であれば9月初めから冬前あたりの着工と聞いておりましたが現場監督も笑いながら、「社長には、かなわね~」現場の皆さんもその辺は分かっているようで笑顔で迎えてくれました。差し入れの冷たいドリンク片手に笑顔で答えてくれます。
猛暑の中、大変ありがたいこと、急ピッチで工事も進んでおります。
事故無く無事に終えます様願うばかりです。