絆をつなぐジュエラー
朝のワイドショー『スッキリ!』でGoogleのAR機能が話題になっていました。
内容はスマートフォンのGoogleアプリで[カバ]と検索をすると、検索結果に「実物大のカバを近くで見る。3D表示」と表示され、それをタップすると自分の部屋や、庭など好きなところにカバが現れるというもの。
加藤浩次さんやキャストの皆さんもリアルで、大きな動物たちに大盛り上がりでした。
私も早速我が家の庭でカバを降臨させてみました。
なかなかの迫力です…
楽しいので皆さんも是非試してみてください。
AR表現とジュエリーの今
これは今後オンラインショッピングにもどんどん活用されるようになり、お客様へのメリットは勿論私たちのようなジュエリーの魅力をオンラインで伝える側にとってもとても便利なものになりそうです。
実は既にARでの試着のアプリなども発表されており、ブランドによっては実際に取り入れている企業も見かけます。
しかし、まだまだ開発に期待される事も多く最後は販売者の責任と信頼がとても大切であると言う事も感じます。
そこで、今回はジュエラーの視点からAR機能のメリットと限界をまとめてみようと思います。
オンラインのAR表現のメリット
- 実際にそこにあるように感じることが出来ること。
- 様々な角度から見ることが出来ること。
- 気になる箇所は更に拡大して見ることが出来ること。
- 試着しているような写真が撮れること。
- 試着写真を誰かとシェア出来ること。
まず、実際にそこにあるように見えるというのは一番の利点です。
普通のオンラインショップの画像のように白などの背景のある写真で見ているのと違って急に現実的に感じられるので「こんなの欲しいな」という気持ちは更に高まると思います。
テーブルやデスクの上にAR表示させれば購入してそこにある状態を想像出来るので小さなアイテムであるジュエリーの場合はかなりリアル。
また、様々な角度から見ることが出来るという利点もあり、これもオンラインショッピングにおいては安心感につながります。
私はテレビ通販に出演しているのですが、その際に一緒にお話をするナビゲーターさんが様々な角度やジュエリーの裏側まで画面にアップにした状態で見せて下さいます。
それに合わせて映っている映像に合わせてリングのアームの厚みや、肌に当たる際の質感などを言葉で説明を加えることでお客様の想像を更にリアルなものにします。
宝石の大きさや、美しさだけでなく、それを手にした時にどんな装着感なのかも購入する際に大切なポイントなのでこれは欠かせません。
実際に使用する際にはそんな風に色んな角度から見ることはないのですが、テレビ通販での購入の際には、実物をみれないため本当にそれが価値あるものなのか、自分の理想通りであるかを吟味するためとても大切なプレゼンテーションです。
ARの進歩はこれらをご自身で体感出来るようにしてくれました。
前出のカバのAR画像は音楽が加わっているので、自分の部屋にカバとサファリがやってきたように感じることが出来るのですが、同じように必要な方にはジュエリーのAR画像を見ながら音声解説を出来る様にもなるでしょう。
優雅に宝石選びをしたい方にはジャズやクラシックなどを追加なども素敵な使い方のように思います。
それは、まるで店頭で接客を受けているかのような感覚。
しかも店員さんのプレッシャーも感じず何日でも吟味出来るというのもお客様にとってはメリットですね。
更に、それを彼氏やご主人又やお友達とシェアすることが出来るというのも便利です。
スクリーンショットを撮れば自宅に居ながらにして気になるジュエリーを身につけ、客観的にもチェック出来て、誰かに似合うかどうか相談出来たりします。
オンラインのAR表現の課題
一方、課題も大いにあります。
まず試着についてですが、身につけた感じには見せられますが、片手操作は難しく、更には時々画面がカクカクしたり、急にあるべきものが透けて見えたりもするようです。これは技術的なものなので比較的早い段階で解消されるかもしれません。
そして、宝石の輝きや質感、高級感は表現出来ません。
アプリなどでキラキラさせる表現はありますが、肉眼で見ている時とは程遠く、宝石を見た時の感動はほぼ伝わっていないと私は感じています。
それだけ視覚というのは人間の心にも訴えかけるものです。
また色もそれぞれの端末の特性や品質によって千差万別であり本物の宝石の色を100%伝えることは不可能です。
私は自分でジュエリーの写真や動画の撮影をしているのでその難しさと大切さを人一倍感じています。
自分で撮影編集をするようになったのは、どれだけでも噓の表現が出来る画像加工の世界だからこそ、プロの眼から見たリアリティある美しさを表現したかったからです。
店頭でガラスのショーケースから取り出した時や、宝石ルースを箱から飛び出してお見せした瞬間にお客様の感嘆の声をお聞き出来る事がありますが、それは現実に見ている状態でもガラス一枚で美しさの伝わり方が行ってくるほど違う事を表しています。
繊細な質感の表現が出来ない
特に感じているのが真珠です。
真珠は基本的に白と表現されることが多いのですが、実際には白の中にもクリーム系やピンク系があり、更には干渉色という光の色(オーロラやシャボン玉をイメージして下さい。)が重なり、更に珠の表面はガラスのように平滑ではなく、微細な凸凹があるものです。
それらはルーペや、顕微鏡で見ていなくても何となく質の良さや品を感じさせる大切な要素です。
今回このコラムを書くきっかけとなったカバにしても、まるで部屋にカバがいるような面白さはあっても、カバの匂いや吐く息の熱、身体全体に響き渡るような鳴き声、そして肌の質感がどのようなものかは全く伝わってきません。
同じように、ジュエリーも昔と比較するとかなり、伝わりやすくはなっているものの、私の感覚では大切な要素の半分程は伝わっていないように思います。
そして、これらが総合しての高級感であり、高級かどうかは感覚の事なのでこれもまた手軽さと相反するもので難しさを感じます。
私たちジュエラーは宝石という素材だけでなく高級も大切しています。
この分野の発展には大きく期待をしながらも、それらを正確に伝えるために私たちジュエラーは更に表現力を高め、現代技術を活用しながらも、足りない部分をどう補っていくかがお客様の信頼を高めるための創意工夫が必要です。
新型コロナウィルスの登場以降、非接触型のビジネスにも注目が集まっています。
私の友人も含めてそういった分野のプロの方達とジュエリーのプロとしての視点や感覚を話すことによって、将来的に今までジュエリーに触れて来なかった方にも、素晴らしい魅力を伝える事が出来るのではないかと夢見て、本日のコラムをまとめさせていただきました。
◇ジェイシーバールの真珠の世界
様々な真珠をご紹介しています。
『Pearlas パーラス』真珠専門ホームページ
撮影&文:
(一社)日本真珠振興会 認定 スペシャリスト
(一社)日本ジュエリー協会 1級 ジュエリーコーディネータ― 嶋直樹
◆掲載写真について
私のコラムでご紹介する真珠は全て私が撮影しています。理由は真珠の事を知り尽くしていないと、それを表現することは出来ないと考えているからです。
オンラインで真珠をご検討下さる方の為に「ご自身の眼でご覧になり、手を伸ばせばそこにあるような感覚」を大切にしています。
もし、他にも黒の洋服の上に乗せて欲しい、外で撮影して欲しいなどご検討のためになるようであればご対応致しますので何なりとお申し付けください。
◇オートクチュール宝飾サロンJ.C.BAR
東京オフィス 〒105-0013 東京都港区浜松町1-10-13 福岡ビル3階
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