ジュエリーコーディネートのプロ嶋直樹

ジュエリーコーディネートのプロ

嶋直樹

メモリアルアイテムとして、愛着をもって使い続けられるオリジナルジュエリーを提案

　富山市の中心市街地から南へのびる空港線。この沿線にあるモダンな一軒家のジュエリーサロン「J.C.バール」が、ジュエリーコーディネーター・嶋直樹さんの職場です。「J.C.バール」はオリジナルジュエリーやオーダーメイドジュエリーを主体とする宝飾専門店。ブランド品やメーカー品は扱わず、宝石の集散地であるタイ・バンコクから輸入したカット石（常時1000ピースほどストック）をもとに、社内で企画、デザインするため、低コストかつ、上質なジュエリーを提供することができます。

　サロンのコンセプトは「テーマ・イン・ジュエリー」。ジュエリーをお客様のメモリアルアイテムと位置づけ、例えば結婚、子どもの誕生、結婚周年、子どもの成人式などの記念日にふさわしいテーマを決め、そのテーマに沿ったデザインのジュエリーをコーディネート。後世まで語り継ぐことのできる品として、愛着をもって使い続けられるジュエリーを提案しています。

　お客様の想像を超える感動、あっと驚くサプライズを生み出すために、嶋さんはお客様とのコミュニケーションを重視しています。そのお客様だけがもつ“とっておきのストーリー”を引き出すことこそ最重要課題と考えているのだそうです。

　「お客様には、何の記念で作るのか、その記念日にはどんな喜びがあったのか、どんなことを乗り越えてきたのか、さらにはライフスタイル、大切にしている物まで徹底的にリサーチしながら、デザインのテーマを引き出していきます。テーマは例えばお子さんの誕生石の色だったり、周年の数だったり、ご夫婦の思い出の場所だったり…。そうやって世界にたった一つ、お客様の物語を込めたジュエリーを提案しています」

　嶋さんがこの業界に入ったのは1999年のこと。その2年前、宝飾店に勤務していた父が独立開業し、「J.C.バール」を設立したことから、一緒に宝飾の仕事をしないかという話が持ち上がったのだそうです。

　「その頃、僕は東京の専門学校を出てレストランサービスの仕事に就いていました。毎日、それなりに充実していましたが、このままこの仕事を続けるのか、少し迷いが出ていた時期でした。そんな時、実家の母が長期入院したこともあり、実家に戻ろう、宝飾の仕事をやってみようという気持ちが固まりました。で、当時つき合っていた彼女に“富山に戻ることにしたから、ついて来てほしい”とプロポーズしました。それが僕の妻。あの当時、見知らぬ富山に嫁ぐという不安、しかも結婚相手は転職したばかりという状況で、よくついてきてくれたと思いますね。感謝しています」

全国で16人目、ジュエリーコーディネーター1級の資格を取得

　富山に腰を据え、宝飾の世界に飛び込んだ嶋さんは、その基礎知識を学ぶため、ジュエリーコーディネーターの資格取得に取り組みます。2002年には3級、その翌年には2級を取得。そして1級へ…。

　1級は難易度が高く、1次の筆記試験では石の種類や産出国、歴史、加工法など専門的な知識が問われます。また2次試験ではダイヤモンドの品質を見極める実技やプレゼンテーション手法などが厳しく審査されます。3度目の挑戦となった2008年秋に見事1級合格。全国で16人、富山県で2人目という快挙となりました。

　「ジュエリーコーディネーター検定のテキストは、宝飾を学ぶ上で、僕の教科書になっています。1級を取得したことでコーディネートの幅、プレゼンテーションの柔軟性が広がったと思います」

高価なものでなくても、その人の思い、その人らしさを込めることは可能です。

　オリジナルジュエリーをつくるというと「高い」「贅沢（ぜいたく）」というイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし「J.C.バール」では、石の選択やデザインバリエーションなど柔軟な提案によって、限られた予算の中でも、家族の絆を形にしたオリジナルジュエリーを提案することができます。例えば、結婚指輪の裏側にお子さんの誕生石を埋めて刻印を施し、磨き直すというリメイクなら、1万円台でOK。それはどんな有名ブランドの指輪よりも、数倍価値のあるメモリアルリングになるはずです。

　「うちでエンゲージリングを作っていただいたお客様が、次に結婚指輪、お子さんの誕生記念リング、そしてお母様の還暦祝いの品と、家族の記念写真を残すように、メモリアルジュエリーを作ってくださるケースが増えてきました。ジュエリーは単なる装飾品ではなく、大切な家族の絆を刻むものという、開業当初からの思いが少しずつ浸透してきたことに喜びを感じています。愛着をもって使い続けられる逸品をしっかりと提案していきたいと思っています」

　大切な記念日を身につける喜び…。「J.C.バール」は、そんな温かい幸せをジュエリーにしてくれるお店です。何か記念に残るものがほしいと思ったら気軽に相談を。嶋さんが素敵なサプライズジュエリーを提案してくれることでしょう。

（取材年月:2010年11月）

家族の絆を刻み、後世に語り継ぐ品を提案するジュエリーコーディネーター。

メモリアルアイテムとして、愛着をもって使い続けられるオリジナルジュエリーを提案

全国で16人目、ジュエリーコーディネーター1級の資格を取得

高価なものでなくても、その人の思い、その人らしさを込めることは可能です。

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