リスニングの真実/苦手が満点に
中3生である御子息様の英語不振に悩んでいるとのメールを頂きましたのがA君との出会いでした。興味深いことにお母様は英語がお好きだそうです。英検の上級資格を取得していらっしゃるほどハイレベルな方です。ところが御子息は英語嫌いなのです。「かなり点数が悪いです。英語に対して劣等感が強いです。私が英語だけは好きだったので自然に息子も好きになるものだと思っていたのが大きな間違いでした。」親御さんが英語好きだからといって自動的に子供さんも英語好きにならないところが難しいところです。世の中、思い通りにはいかないものですね。
御本人様の答案を確認しますと悲惨な単語間違いをして大幅に失点しています。中1配当の基礎単語のテストをしてみました。以下はA君が実際に書かれた綴りです。( )内が正しい綴りです。
fow (four)
eit (eight)
ereven (eleven)
succer (soccer)
bard (bird)
Tesrsday (Tuesday)
Thersday (Thursday)
Flyday (Friday)
Sutawday (Saturday)
月名は一個も書けませんでした。
お母様は「単語の書き取りが苦手な様子には気がついておりましたが月名が1つも書けないとは。1年生の時に一緒に練習した覚えがありますが、もうすっかり忘れているのですね。」と落胆なさっておられました。英語の上級資格を持つお母様としてはショックだったと思います。
語彙力には正しい覚え方があります。ノートに10回書いて覚えるというような前時代的で非科学的やり方をするのではありません。正しい方策をお教えし、あるべき順番と道のりを辿りながら語彙増強に努めました。
入校から4カ月経った11月のことです。「今日は嬉しいご報告があります」とのメールが飛び込んできました。中教研で94点を取られたそうです。花が開き始めました。しかしその後にまたスランプがやってきます。模試の結果が大変に悪かったとのことで心配なさっておられます。その時にお送りしましたメールです。
「物事には掛けるべき時間と踏むべき手順があります。目先に一喜一憂しないこと、いちいちビックリしないことが大切です。A君は確かな才能があります。克己心も向上心も持っておられます。才能にやる気が加わった今、何も恐れるものはありません。大船に乗ったつもりで優しく励まし続けて下さい。ご安心下さい。」
いよいよ受験が始まりました。まず私立の受験です。英語は36/40点(100点換算で90点)でした。見事なスコアです。そして迎えた県立難関校T究科の入試。英語は39点でした。100点換算で97.5点です。なんと全ての科目で1番良いスコアでした。
中3の夏にfow (four)、eit (eight)、ereven (eleven)、succer (soccer)、bard (bird)と綴っていた生徒さんがよくぞここまで来たものだと思わずにはいられません。お母様にお送りしたメールです。「御本人の努力も素晴らしかったですが、親御さんが送り継いだDNAが優秀だったのも事実です。(今般の壮挙は)お母様の優秀さでもあります。」
おめでとうございました!