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英語が苦手な人に共通する特徴

上野伸彦

上野伸彦

     
富山大学の学生さんだったAさんは北海道大学の大学院入試に2年続けて落第されたそうです。学問への強い熱意はお持ちなのですが、いかんせん大事な英語力が壊滅的レベルでした。2回目に落ちたとき担当の北大教授から「バカヤロウ」というメールが来たそうです。あまりに悲惨な英語を2年も続けて書いたため、学問を冒涜しているのかという怒り心頭に達したのでしょう。

その後彼は一念発起で当館の門を叩き、数年に渡って研鑽を積み、晴れて国立先端科学技術大学院大学に合格され、さらに、九州大学での研究メンバーに選ばれご栄転なさいました。なんという素晴しいご出世でしょうか。

ところで、以下の英文は何と解釈すればいいのでしょうか。
Nothing is as dangerous as to make him appear what he is not.

英語で苦労されている方々に共通なのは「知らない」ことです。言い換えれば「教えてもらっていない」ことです。知らないまま無理やり我流に陥って苦しんでおられます。

上の英文ですが、
1. makeは 「作る」ではありません。
2. heは「彼」ではありません。
3. appearは「現れる」ではありません。
4. whatは「なに」ではありません。
5. isは「~です」ではありません。
6. not as ~ asは「・・と同じではない」ではありません。

苦手度が増すほど上の6つの間違いの罹患率が上昇します。「彼が何ではないと現れる彼を作るため同じだけ危険ではない」みたいな感じの解釈をなさる方は珍しくありません。しかし「バカヤロウ」とまで言われたAさんの当初の解釈はそんなものではありませんでした。「この世に存在する危険の出現には彼を用いて対処する事しかない」

たまげました。彼の苦労が分かりました。分からないながらも「それらしい」訳文を書かざるを得ないので「単語の意味を自分流にこじつけて空想文をでっちあげる」習慣に陥っておられたのです。苦手な方によく見られる特徴です。こんな無茶苦茶を2年続けて書かれたら大学院の先生が「バカヤロウ」と言いたくなるのも無理からぬことかもしれません。

正しい解釈は
「ありのままの自分を偽ることほど危ういものはない」
「ことさらに背伸びをしようとすることが人生という急坂から転げ落ちる最たる要因である」(意訳)

ちなみにこの訳を暗記することが英語力ではありません。なぜそうなるかの理由と過程を身につけることが真の英語力です。そうすれば覚えていない初めての英文に出会ったとき自力で完全な理解や表現ができるのです。

それから数年、当館で研鑽を積んだ後、彼が扱った教材です。
「文明は誰もが参加できる普遍的な物、合理的な物、機能的なものを指すのに対し、文化はむしろ不合理なものであり、特定の集団(例えば民族)においてのみ通用する特殊なもので他に及ぼし難い。」
「かつては機械は考え得るかという問いは意味を成さないと考えられたが、最近の工学の発展はめざましく、例えばチェスをする機械も作られている。もはや人間の行動に関する多くの記述を非生物である機械に適用しても不自然ではないし、天候について筋の通った会話をする機械もできたそうだ。しかし、もっと中身の濃い会話ができる機械が作れる可能性はあるか、というのが問題である」
これらの日本語を見た瞬間にスラスラと正確な英語にしておられました。これがあの同じAさんでしょうか~

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