リスニングの真実/苦手が満点に
秋の英検の結果が出揃いました。
当館からも多くの方が合格なさいましたが、そのお一人お一人にとって大切な思いや歴史があります。
今般はそうしたお一人であるAさんについて申し述べてみたいと思います。
Aさんは今年の春から当館にお出でになった高校2年生の女子生徒さんです。
自ら書かれた入校希望のメールには「英語がどうにも苦手」「勉強の仕方もわからず悩んでいる」などの思いが記されています。
何気ない文面のようですが「道を切り拓かんとする姿勢」やしっかりした文脈力が心に残りました。
彼女との学習が始まりました。
お伺いしてみますと中学時代の点数はあまり良くありませんし、それが原因なのか志望校には受からなかった
そうです。
進んだ私立高校でも特進ではなく一般クラスに在籍なさっているとのことです。
さらに中学時代に英検は受けたことがない、3級も4級も受かっていないそうです。
ここまでだけを切り取ると、かなりの苦手人の方のように思えます。
しかし、実際に学習を始めてみますと、確かに現状のレベルは「苦手」なのですが、持っている才能も取り組む姿勢も
素晴らしいものをお持ちです。
理解力も応用力も記憶力も大変に豊かです。
低迷なさっていたのが信じられない思いです。
その時に私が送ったメールの一節です。
「苦手意識を持っていることで自己の可能性を狭めておられた面もあると思います。これからはきっと変わります。
何より自信を持って頑張って下さい。」
彼女とは基礎の基礎からやり直しました。
入校時点で新高校2年生でしたが、中1の一番最初、be動詞からやり直しました。
その時申し上げたのは「英語は積み上げ科目。基礎に穴が開いていてはいくらうわべを繕っても結局は
崩れてしまう。焦ったら負け。覚悟を決めて1からやり直そう。でも、今は知能も体も中学生の時より数段大きく
なっている。あの時に難しい・出来ないと思ったことでも今ならストンと仕上がるよ。それに、そんなに時間は
掛からない。中学レベルは数か月で通過できる」ということでした。
こうしてやり直しが始まったのですが、彼女の真摯な取り組みと埋もれていた豊かな才能が相まって、あれよあれよ
という間に仕上がっていきます。
途中から高校レベルも同時並行で織り込んでいきました。
普通は中学レベルが仕上がってから高校レベルに進むのですが彼女の豊かな才能が有ればこなすことができますし、
その達成感が更なる意欲を涵養すると判断しました。
半年ほどが過ぎました。
「英検の準2級受けよう。願書、出して」と告げました。
ちょっとポカンとしておられます。
「受かる。もう受かるレベルに来ている。Aさん無茶苦茶、賢い。その才能と取り組みがあれば受かるよ」
3級までは中学レベルですが準2級からは高校レベルになります。一気に難しくなりますので合格率もガクンと
落ちるのが準2級です。
ちなみに4級の合格率は70%、3級は55%ほどですが、準2級は35%ほどです。
その難関にAさんは合格されました。
中学で3級にも4級にも受かったことのない方が見事に難関を突破したのです。
そうそう、当館に通い出した頃の彼女は暗かったです(笑)。
今は溌剌となさっておられます。
最初はトボトボとお出でになったのが、今はルンルンとお出でになっています。
よかったね!
光 射す !