リスニングの真実/苦手が満点に
当館に通う小学校5年生の生徒さんが英検2級、4年生の生徒さんが英検準2級の1次試験を突破されました。2級は高校終了程度(大学入試レベル)、準2級は高校1~2年程度です。
当館は中学生以上を対象年齢とさせて頂いております。
これまで中学入学前の小6生をお預かりすることはありましたが、4年生や5年生は初めての生徒さんです。
当館では「真の英語力は高度で豊かな日本語力をも必要とする」と考えております。
言語とは大きな意味では共通であり、各論・技術論の根底には総論としての「言語力」が存在します。
言い換えれば、母国語を豊かに操れない人間が他国語を使えようはずがありません。
そのため、「大人の会話と内容力」を期待できる中学生以上にさせて頂いてきたのです。
H22年3月に小学生の親御さんから入校の問い合わせを頂きました。
「今度小学校4年生(この時点では3年生)になるんですが、そちらで教えていただくことはできませんか?」
「すいません、こちらは中学生以上を対象にしておりまして・・」
「英検準2級に受かったんですが、そちらで2級のための勉強をさせて頂けないでしょうか?」
「えー、小3で準2級に受かられたんですか。それは素晴らしいですね。ただ、う~~ん、2級ですか。。。 2級ともなるとかなり踏み込んだ背景力が必要なんです。例えば環境問題がどうだとか貿易摩擦がどうみたいな大人の視点を求められるんですが、(新)小学4年生にはちょっと厳しいかもしれませんねぇ。」
「それが、社会的なことに興味を持っているんです。多分、根本的に勉強が好きなんじゃないかと思います。この前もdivorce(離婚)という単語を見つけて、「離婚て何?」と聞いてきて・・、以下略 」
「へー」と思いました。
そうした面の必要性を理解なさるお母さんにも共感しましたし、そのような内容力に関心を寄せる生徒さんにも興味が湧きました。
「分かりました。ただ、準2級と2級の間にはかなりの開きがあります。今まで3級から準2級にすんなり受かってきたような楽な展開にはならないと思います。一度や二度、いえ三度や四度落ちてもまた頑張る長い目が持つことが必要になります。」
「大丈夫です。決して焦っているわけではありません。」
こうして彼女との学習が始まることになりました。
最初の日に御本人とご一緒にお父さんがお出でになりました。
丁寧に優しい口調で英語やお子様への思いを語って下さいました。
「これまでは英語といえば外人と思ってきましたが、ある程度以上の内容を扱う時は日本語を母国語とする先生に教えてもらうべきだと思ったんです。何もいたずらに早く早くと思っているわけではありません。無理な早期教育をしたいわけではないんです。でも本人にやらせてみたら出来たので、本人もやりたがるので、可能性があるならそれを伸ばしてみたいという思いなんです。」
お言葉に胸打たれました。
初めてお会いしたご本人は実に素直で明るい、そして思った以上に優秀なお子さんです。
持って生まれた言語的資質には目を見張るものがありました。
丁寧な基礎作りから高度な実戦応用までをコツコツと積み上げた2年間。
満を持して受験した昨年秋の2級試験でいきなり合格点近くの43点を取った彼女は今月の試験で59点を取り、見事に難関を突破されました。
合格点は45点以上です。
彼女、そしてご家族との出会いや交流を通して考え方が変わりました。
特別に秀でた人材というものが存在すること、その場合には従来的な枠組みや線引きは意味を成さないことに気付かされたのです。
世間を見回せば小学生が卓球の全日本上位で活躍したり、ピアノコンクールで大人に混ざって入賞したりしています。
優秀な才能に早く気づくこと、それを適時適切に育むことは大人に課せられた責務なのかもしれませんね。
高岡市立美術館にて