組織や経営の再建で大事なこと
言葉の危うさ
今も昔も、言葉で失敗する者は後を絶ちません。身内や関係者しかいないからと油断したり、調子に乗って余計なことまで口にして顰蹙をかったり―人を元気づける力もあることを踏まえるならば、言葉ほどやっかいなものはないでしょう。
強く戒められてきた言葉
リーダーにとって、言葉は慎重に選ばなければなりません。見聞きしている人も多くなりますので、語ること以上に、より一層注意することが求められます。故に、沈黙は金・雄弁は銀と言われるわけです。
また、人口に膾炙するするものとしては、「口は禍の元」があります。似た意味のことわざとして、「口は災いの門」がありますが、違いはありません。正確に言いますと、「口は是れ災いの門、舌は是れ身を切るの刀なり」です。タイトルの「言葉の魔剣」とは、他人を害するだけを言うのではありません。自身を真っ二つにするたいへん恐ろしいものなのです。
故に、このことわざは「自分の身を切る舌刀は深くしまい込み、それが出て来る口という門は固く閉ざして」、とにかく口数は少なくすべきであるという教えになります。
先人たちが如何に数多くの失敗をしてきたか―これらのことわざや慣用句は、その証左と言えましょう。
言葉の観点からの帝王学
リーダーたるものは、兎角発言には注意してし過ぎることはありません。簡単にではありますが、ここまでお話してきました。
では、これを踏まえて、大事な心掛けを1つ。リーダーでなくとも、火の粉をかぶりたいと思う者はいないでしょう。つまり、人がだんまりを決め込んでしまうと、諫言や進言まで閉ざされてしまいます。それを敢えて言ってもらえるように、身を修め研鑽すること。これがリーダーにとって服膺すべき指針となることでしょう。今回はここまでといたします。
新釈漢文大系より リーダーの指針を示す『貞観政要』



