組織として動いた時の日本人が強い理由
これの有無は、人生を分け得る力をもつ
このタイトルを見て、皆様はどんなものが思い浮かびますか?「有形」財産ならば、多くの候補が挙がることでしょう。土地家屋・家族・子供・金銭・車―相対的ではありますが、あれば幸福であり、大切なものに違いありません。
種々様々なものが挙げられるかと思いますが、タイトルに掲げる「人生最良の無形財産」とは、ズバリ「信用」です。どれほど重要かと言いますと、例えば「信用」を演題に講演を頼まれたら、これだけで60分を切ることはありません。
- 学問的根拠
- それを裏付ける先人たちの言葉
- 実際の事例
という構成で、ここでも同様にお話したいところではありますが、簡単に述べたいと思います。
中国古典における「信用」
さて、中国古典を代表する『論語』に絞って、直接「信」について触れている箇所をいくつか挙げてみましょう。
子曰く、人にして信無くんば、其の可なるを知らざるなり。(吉田賢抗・著『論語』)58頁
子曰く、忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること毋れ。(前掲『論語』)212頁
民信無くんば立たずと。(前掲『論語』)265頁
信用・信頼につながるところまで含めると、孔子はまだまだ多く言及しています。なぜそこまで信用を強調するのか―孔子は「其の可なるを知らざるなり」と説いていますね。「人間としてどうしようもない」という意味で、信用がない者はそもそも「論の外」であると厳しく切り捨てた言葉です。
我が国の先人の言葉
孔子は言い過ぎだと思う方もいるかもしれませんね。しかし、実業家・大倉喜八郎はさらに恐るべき表現でこのことを述べています。大倉は自身の90年の生涯の結論として、最も大切なのは信用であると指摘し、
- 信用無き人間は首の無い人間の様なもの
- 人間として少しの値打ちもない
とまで断言しています。余談ですが、画像はこの部分の板書です。大倉に限りませんが、実業家としても「信用」が如何に大事であるか―成功者たちは語っています。
帝王学においても肝要な信用
まだまだお話したいところではありますが、今回はこのあたりでまとめたいと思います。
『貞観政要』や『孫子』といった帝王学の教科書においても、信頼は筆頭にくる極めて大事な要素です。組織力を引き出す際にも、これがなければまず不可能でしょう。信用を築くには、日々の言動が肝になります。では、具体的にどのようなことを心掛けるべきなのか―また機会がありましたら。



