【実例】集客は「施策」より先に「設計」から。住宅街のゴルフ施設で考えた3つの問い

上原翔

上原翔

テーマ:実例マーケティング

株式会社ワールドリンク代表の上原です。弊社は東京・南青山を拠点に、Webを使った集客の設計から実行までを支援しています。

この記事は、ゴルフ施設やパーソナルジム、教室、サロンなどの店舗ビジネスを営む方で、「集客のために何から手をつければいいか分からない」「チラシやMEOに取り組んでいるが、思うような成果が出ない」とお悩みの方に向けて書いています。

実際の支援事例をもとに、施策を選ぶ前に考えておきたい「集客の設計」についてご紹介します。

「何をやればいいですか?」の前に

集客の設計図とゴルフボールが置かれたデスク
店舗ビジネスの方から集客のご相談をいただくと、よく聞かれるのが「何をやればいいですか?」という質問です。

この問いを安直に考えると、店舗ビジネスの場合はたいてい「チラシのポスティング」や「MEO(Googleマップ対策)」、あるいは地域を絞ったリスティング広告やMeta広告に行き着きます。近くの人に知ってもらうなら、まずはそこだろう、と。

もちろん、それを否定するつもりはありません。いずれも店舗ビジネスにとって重要な施策です。

ただ、設計から考えずに安直に選ぶと、届けられる相手は「近くに住む人」に限られます。商圏の中で取れる見込み客の数には、どうしても上限があります。

その上限から逆算すると、目標とする売上や、しっかり利益が出るところまで届かない可能性があるのです。

地域を絞った広告も同じです。打ち手としては十分あり得ますが、業種や状況によっては、予算が見合わなかったり、広告から申し込みに至る率(CVR)や一件あたりの獲得コスト(CPA)が合わなかったりすることもあります。すべての店舗ビジネスに、同じ施策がそのまま当てはまるわけではありません。

だから私たちは、すぐに施策を答えるのではなく、必ず一段上の話から始めます。マーケティングでは、この部分を「上流設計」と呼んでいます。

施策は、いわば道具です。何を、誰に、どの順番で届けるのかが決まっていないまま道具だけそろえても、思ったほど成果につながりません。逆に、ここが決まると、やるべき施策は自然と絞られていきます。

上流設計で考える3つの問い

集客施策に悩みながらタブレットを見る店舗オーナー
上流設計といっても、難しいことではありません。私たちが最初に整理するのは、次の3つの問いです。

  1. 誰に届けるのか:近くに住む人か、それとも特定の目的を持った人か。そして、その相手はどれくらいの数いるのか
  2. なぜ選ばれるのか:お客様が「わざわざ来る理由」は何か
  3. どの順番でやるのか:どの施策を土台にして、どれを後から重ねるか


特に見落とされやすいのが1つ目です。地域の店舗はつい「近くの人」を前提にしがちですが、近くの人だけを相手にすると、同じエリアの競合と横並びで比べられます。そうなると、立地や価格、知名度で勝る大手が有利になり、価格競争に巻き込まれやすくなります。


もう一つ、私たちが上流設計の中でも特に重視しているのが、届けられる相手の「数」を計算することです。

目標の売上を出すには、月に何人の新規のお客様が必要か。そのためには、何人に情報を届ける必要があるのか。狙うターゲットの母数がそもそも足りていなければ、どれだけ施策に力を入れても、一部は効果があっても、目標の売上には届きません。

だからこそ、施策を選ぶ前にターゲットの数を把握し、目標から逆算して足りるかどうかを確かめます。足りなければ、届ける相手そのものを見直す。この計算が、その後のすべての施策の前提になります。

ここからは、実際にこの3つの問いで設計を考えたゴルフ施設の例をご紹介します。

例:駅から徒歩15分、住宅街のゴルフ施設の場合

にぎわう駅前と、少し離れた静かな住宅街の対比
首都圏郊外にある、あるインドアゴルフ施設のケースです。最寄り駅は大きな駅ですが、施設は歩いて15分近くかかる住宅街の中にあります。駅前には、24時間営業で手軽に通える大手チェーンのインドアゴルフが複数並んでいます。

この条件で「近くの人」に向けてチラシとMEOだけで戦うと、利便性や価格で比べられ、駅前の大手に流れてしまいます。そこで、3つの問いを順に考えました。

問い1 誰に届けるのか


近所で手軽に打てる場所を探している人ではなく、「本格的な練習環境を求めている人」に絞りました。こうした方は、目的に合う場所であれば、多少遠くても足を運びます。

問い2 なぜ選ばれるのか


この施設には、プロゴルファーも練習に使う高性能な弾道測定器がありました。手軽さでは駅前に及びませんが、「あの機材で練習できる」ことは、本格派にとってわざわざ来る理由になります。

ただし、ここには落とし穴があります。良い設備や技術を持つお店ほど、「これだけの機材があれば、自然とお客様は来るはず」と考えがちです。

実際には、強みは知られて、理解されて、はじめて選ばれる理由になります。どれだけ優れた機材でも、その価値が伝わらなければ、探している人から見れば駅前の店と同じ「インドアゴルフの一つ」に過ぎません。

だからこそ、強みを「伝わる形」にすることに力を注ぎました。機材の仕組みや数値の見方、ほかの機材との違い、練習場での使い方といった、その機材を調べる人が知りたいことをブログで丁寧に積み上げていく方針です。

問い3 どの順番でやるのか


ここで大切にしたのが順番です。MEOやチラシをやめたわけではありません。先に「選ばれる理由」を伝える土台をつくり、その上に重ねる順番にしました。

MEOは口コミに大きく左右されます。強みに惹かれて来店し、満足したお客様が増えれば、口コミは自然と集まります。土台が先にあれば、MEOは後から上がりやすくなります。

チラシは、気軽に始めたい近隣の方など、ブログとは届く層が違います。ただ、チラシを見た方の多くは、申し込む前にWebで施設を調べます。そこに機材についての詳しい記事が並んでいれば、「ここはしっかりしている」と感じてもらえます。Webがチラシの受け皿になり、申し込みを後押ししてくれるのです。

結果として起きたこと

インドアゴルフ施設でスイングをスマートフォンで撮影するゴルファー
いまでは集客の大半をブログが担い、毎月60〜70人前後の方が無料体験のページへ進んでいます。機材名で調べる人の検索結果に、地元の施設として顔を出しているのは、ほぼこの施設だけという状態です。目的を持って来る方が多いため、比較的遠方からの来店も増えました。

さらに、プロが練習場所に選ぶようになり、その様子がInstagramで発信され、本格派のお客様も自ら投稿してくれるようになりました。メディアからの依頼も届いています。施設が自分で語るだけでなく、利用する人が語ってくれる循環が生まれたことが、何よりの変化だと感じています。

これは特別な裏技ではなく、3つの問いに順番に答えていった結果です。

あなたのお店に置き換えると


この考え方は、ゴルフ施設に限らず、パーソナルジムや教室、サロンなど、多くの店舗ビジネスに当てはまります。よろしければ、次の問いについて少し考えてみてください。

  • いまの集客は、「近くに住む人」だけを相手にしていないか
  • お客様が、近くの競合ではなくあなたのお店を選ぶ理由を、一言で言えるか
  • その理由を探している人は、どんな言葉で検索しているか
  • いまやっている施策は、どれが土台で、どれが上に重ねるものか


すぐに答えが出なくても大丈夫です。実は、強みはご本人にとって当たり前すぎて、自分では気づきにくいことがほとんどです。外から見ると、お店の中にすでに「わざわざ来る理由」が眠っていることも少なくありません。

まとめ:施策を選ぶ前に、一緒に設計図を描くところから

マーケティング担当者と店舗オーナーが集客の設計を話し合う様子
集客の成果を左右するのは、どの施策を選ぶかより、その前の設計です。誰に届けるのか、なぜ選ばれるのか、どの順番でやるのか。この3つが決まると、チラシもMEOもSNSも、同じ方向を向いて働き始めます。

弊社では、いきなり施策をご提案するのではなく、まずお話を伺いながら、お店の強みと届けるべき相手を一緒に整理するところから始めています。

「何から手をつければいいか分からない」「いろいろ試したけれど手応えがない」という段階でも構いません。設計図を描くお手伝いから、お気軽にご相談ください。

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上原翔
専門家

上原翔(マーケティングコンサルタント)

株式会社ワールドリンク

企業の目的や予算に合わせ、オンライン・オフラインの販促を一体で設計。制作・運用から効果検証まで担います。ホームページを中心とした集客の課題と改善点が分かる無料診断「WebDock」も提供しています。

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