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こんにちは、WealthLeadの濵島です。
今回は2022年の年末に「資産所得倍増プラン」に併せて発表された、NISAの大幅グレードアップについてお話していきたいと思います。
新NISAのここがすごい!
- 一般NISAとつみたてNISAの併用が可能に
- 生涯非課税限度額が最大1,800万円もある
- 非課税保有期間の無期限化
- 制度の恒久化
- 売却すると非課税枠が復活
コラムの最後にはよくある質問として既にNISAを利用している場合にはどうなってしまうのかというポイントも解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。
<一般NISAとつみたてNISAの併用が可能に>
現行のNISAは、年間の投資上限額が120万円で非課税で保有できる期間が5年間の「一般NISA」と、年間上限額が40万円で非課税期間が20年間の「つみたてNISA」の2種類の枠があり、どちらかを選択する方式でした。自分の投資スタイルによって選択できる一方、切替える場合は1年に1度、NISA口座での買付をしていない状態でしか変更できないといったデメリットがありました。
それが新NISAでは、一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」とそれぞれ名称を変え、併用が可能になります。対象となる商品は現行の一般NISA、つみたてNISAとそれぞれほぼ同じで、成長投資枠は一括投資と積立投資を選んで投資可能。つみたて投資枠は名前の通り積立投資のみになります。つみたて投資枠で着実に将来の資産形成する一方で、成長投資枠を使って有望な個別株で資産運用、あるいは積立投資を追加して行うことができることになり、NISAを利用した投資戦略がより柔軟になるということですね。
<生涯非課税限度額が最大1,800万円もある>
今回の新NISAで新たに「生涯非課税限度額」として、買付金額ベースで合計1,800万円が設定されました。そのうち成長投資枠は最大1,200万円までです。
現行のNISAには生涯限度額といった概念はありませんでしたが、一般NISAが120万円 × 5年間 = 600万円、つみたてNISAが40万円 × 20年間 = 800万円が実質的な上限額でしたので、今回の1,800万円というのがいかに大幅な増額というのが分かります。
新NISAでも、現行のNISAと同じように1年間に投資できる金額が決まっています。成長投資枠の年間投資上限が240万円、つみたて投資枠の年間投資上限は120万円と合計で360万円までです。従って、上限金額の1800万円までフルに投資するには、最短でも1800万÷360万で5年かかることになります。
これは後で説明する制度の恒久化に絡んでくることですが、
お金に余裕があり、年間360万円投資可能な人は5年で、月10万円投資できる人は年間120万円、上限の1,800万円までは15年かかります。
月5万円だと、年間60万円で30年かけて1,800万円になります。
2024年からの新NISAは、年齢や資産状況、投資に対する考え方など、人によって最適な使い方は変わってきます。ご自身のライフスタイル、マネープランに沿ったペースで自由に投資できるようになるのが新NISAのすごいところでもあります。
<非課税保有期間の無期限化>
現行のNISAでは、一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間と、非課税保有期間が限られており、期間の延長には、「ロールオーバー」という手続きをする必要がありました。
特に現行の一般NISAでは非課税保有期間が5年と短かったため、5年以内での売却を前提とした投資になり、期間を延長するにしても、新しい枠を使ってロールオーバーするのかどうか検討が必要、といった課題がありました。
新NISAでは、一切の手続きをすることなく、無期限で非課税での投資ができますので、より長期目線の投資戦略を練ることが可能になり、使い勝手がとてもよくなったのです。
<制度の恒久化>
これまで一般NISAは2023年まで、つみたてNISAは2042年までと投資できる期限が決まっていましたが、新NISAではそれが撤廃され、制度が恒久化されることになりました。
「生涯非課税限度額1,800万円」と「年間投資上限360万円」のルールのなかであれば、いつ投資を始めても、いつまででも非課税で運用することができるというわけです。
<売却すると非課税枠が復活>
現行のNISAでは、投資した商品を売却したとしても、その枠の再利用は出来ません。
しかし、新NISAでは商品を売却して「生涯投資枠」に空きが出た場合、その空いた枠を利用して新しく非課税の投資ができるようになりました。これはとても良い点です。
例えば、ある投資信託に100万円投資したとします。生涯非課税限度額の残りの枠は1,700万円になります。仮にその投資信託が150万円になったので売却をしたとすると、50万円の利益確定ができた上に、100万円の枠が復活し、上限金額は1,800万円に戻るのです。
枠は買付金額ベースで管理されますので、売却金額がいくらになろうとも投資元本ベースで1800万円までの非課税投資枠があるのです。
ただ、一つだけ注意が必要です。
もし年間上限の360万円を既に投資してしまっている場合に、同じ年にNISAで保有している商品を売ったとしても、生涯非課税枠はその分復活しますが、年間の投資上限は360万円のまま変わりません。あくまでその年に投資できる上限は合計360万円と決められていますので、復活した分を使えるのは翌年からになります。
この年間360万円の縛りがなければ、1,800万円の範囲内で自由に売ったり買ったりができるようになってしまいます。買って、利益が出たらすぐ売却。また、新しい商品買う。もちろん利益はすべて非課税。こんなことを繰返しされてしまうと、それこそ富裕層優遇といわれ兼ねませんし、短期回転売買を推奨しているかのような制度になってしまいます。
国民に長期的な資産形成を促し、多くの人にとって老後の資産形成に資する制度であることを知っておきましょう。
<既にNISAを利用している場合には>
最後に、現行のNISAの取り扱いについて解説しておきます。
今、既に利用している一般NISAとつみたてNISAは新NISAとは別の制度として、2024年以降も存在することになります。
2024年以降に新しく投資することはできなくなりますが、2023年までに投資した分は、それぞれの非課税期間が終了するまでそのまま非課税で運用を継続することが可能です。
しかも、現行NISAで保有している分については、新NISAの生涯投資上限にはカウントもされません。
つまり、2023年までの現行NISAで投資した分プラス来年からの新NISAの1800万円が非課税での投資が可能になるのです。2023年に初めてNISAを始める人でも、一般NISAなら120万円プラス1800万で1,920万円、つみたてNISAなら40万円プラス1800万で1,840万円が非課税です。動画をご覧の方の周りに「新NISAが開始になるのが2024年からだからその時に始めればいいや」と言ってる人がいたら、今すぐ始めた方がいいよ!って教えてあげてください
注意点も挙げておきます。
現行のNISAで保有している商品は新NISAへの移管はできない。ということと、2024年以降、現行のNISAの非課税期間が終了する際にロールオーバーはできないということです。頭に入れておいてください。
それでは今日のまとめです。
2024年から始まる新NISAのここがすごい!
- 一般NISAとつみたてNISAの併用が可能に
- 生涯非課税限度額が最大1,800万円もある
- 非課税保有期間の無期限化
- 制度の恒久化
- 売却すると非課税枠が復活
ちなみに、英国にはISA(アイサ)と呼ばれる日本のNISAのモデルになっている制度があります。英国が1999年に導入したNISAと同様の非課税投資制度です。導入から20年を経て、ISAの資産残高は約7,000億ポンド、日本円にして約111兆円まで拡大し、英国の家計金融資産の約1割を占めるに至っています。2022年に行った統計ではISAの資産残高が100万ポンド(約1.6億円)を超える「ISAミリオネア」と呼ばれる人たちが注目を浴びました。
ISAの年間投資上限は2万ポンド。日本円にして約317万円です。新NISAの年間360万円より少ないことが分かります。英国最大手のオンライン証券会社が「ISAミリオネア」たちにインタビューを行ったところ、いずれも長期投資を前提に入念に銘柄を選定していたそうです。
ISAも導入当初は投資枠も小さく、口座開設に期限がある制度でしたが、広く英国民に普及したことと、特に低所得者層や若年層に対しても普及していることを高く評価され、のちに制度の恒久化がされた制度です。
日本も遅れているとはいえ2024年からの新NISAの開始も同じ流れのように思いませんか?資産所得を倍増させるのは並大抵のことではないですが、夢のある話です。英国の「ISAミリオネア」はそれを実現した1つの具体例といえますね。「NISA億り人」とまではいかないかもしれませんが、長い期間を経て「ISAミリオネア」が誕生したように、NISA制度も長期利用で大きな資産を築ける非常に有効なツールとなっています。
この機会を逃すことなく、NISAを利用して、豊かな老後、素敵な人生を歩んでいきましょう!
今回のコラムは以上となります。
それではまた次回のコラムでお会いしましょう。さようなら。