【ウクライナ侵攻】SWIFTは劇薬!?ロシア排除で何が起きる?
みなさん、こんにちは。WealthLeadの薄井です。
今回は、日本の非課税投資制度についての総まとめしていきます。
今日のポイントはこの2つです
- 非課税投資制度を使うと、効率的な資産形成ができる
- 非課税投資制度には「NISA」と「確定拠出年金」の2つがある
最近では政府の掲げる資産所得倍増プランで、NISAと確定拠出年金がさらにパワーアップするという話も出ています。こう聞くと前向きなイメージを持たれるかもしれません。でもこれは、国からの「将来の資産形成は自助努力で頑張ってね」というメッセージです。コラムをご覧の皆さんの周りにも最近投資を始めた方がいらっしゃったり、自分もそろそろ投資はじめないとなと思ってる方も多いと思います。
このコラムにはこれから投資を始める人が真っ先にすべき非課税投資制度のすべてが詰まっています。ぜひ最後までご覧ください。
< 非課税制度を活用した効率的な資産形成>
始めにポイントの1つ目です。
投資をする際に重視する点として、コストを見ることはとても大切です。投資信託を例に挙げると、投資信託を購入する時には購入時手数料がかかり、さらに投資信託を保有している間は信託報酬がかかります。それだけでコスト負担になります。
さらに、運用成果に大きな影響を及ぼすのが「税金」です。投資信託の分配金や売却益には、約20%の税金がかかっていますので、税金をひとつのコストと考えると、これはかなりの負担です。だからこそ、確定拠出年金やNISAなどの非課税制度を積極的に活用したいところです。
では、NISAや確定拠出年金を通じて購入した場合、どれほどの効果があるのでしょうか。
通常、100万円を1年間運用して、110万円に増えたとします。1年の運用期間で10万円の利益が発生したことになるので、本来であれば、この10万円に対して約20%の税金が譲渡益税としてかかりますから、税額は約2万円。最終的な利益は約8万円となりますので税金の影響はとても大きいです。
一方の非課税投資制度を通じて同じように利益が発生した場合には、この20%の税金は引かれることはありません。10万円利益が出たら、10万円がそのまま受け取れるということになります。
つまり、できる限り購入時手数料や信託報酬といった投資信託にかかるコストが低い商品や、証券会社を選んだとしても、特定口座や一般口座などの課税口座で運用している限り、税金面でかなりの負担を強いられてしまっています。ですから、NISAや確定拠出年金といった非課税投資制度を上手に活用して、効率的に資産を増やすことを考える必要があります。
<NISA、確定拠出年金とは>
次にポイント2つ目。非課税投資制度である「NISA」と「確定拠出年金」に制度を簡単に説明すると、
NISA 「個人のための税制優遇制度」
確定拠出年金 「老後の資産形成にフォーカスした制度」
NISAはもともと個人の資産運用を促進することが目的で導入された制度なので、投資に回せるお金がある人なら積極的に活用するのがよいでしょう。資金の目的は人によって様々です。将来のための子どもの教育資金や住宅購入資金の為に中期的に余裕資金を増やそうといったケースが多く当てはまります。
確定拠出年金はNISAとは資金の目的が異なります。その名の通り年金制度ですので、老後資金を長期で準備していきたい、退職金の代わりが欲しいという方に適した制度になっています。
このようにNISAと確定拠出年金とでは資金の目的が異なります。大事なのはNISAと確定拠出年金は目的の違いだけあって、どっちにしたからとか、どっちの方が儲かるといったものではないのでこの点はよく理解しておきましょう。
そして、それぞれの制度を有効活用するためにはどちらの制度もしっかりと理解することが必要不可欠です。ここからじっくりと見ていきましょう。
<NISA>
まず、NISA。現行のNISAには一般NISAとつみたてNISA、それからジュニアNISAというものがあります。今回は一般NISAとつみたてNISAに絞って表にまとめてみました。
一般NISAは年間120万円まで投資することができます。120万円の枠の中で投資した分が、値上がりしたとしてもその値上がり益には税金がかからない。そういった制度です。対象となる商品は幅が広く、株式、投資信託、ETFなど様々です。日本の商品だけでなく米国に上場する会社にも投資することができます。
つみたてNISAは名前の通り積立投資が前提の制度です。年間40万円が上限となっているので毎月積み立てるとすると40万円÷12カ月。割り切れないのが少しもどかしいですが、毎月33,333円の積立投資をしていくことになります。対象商品は狭く、国が選んだ一部の投資信託に限ります。
どちらも共通しているのは、1月1日に18歳以上であることと、受け取りはいつでも可能。好きなときに売却して受け取ることができるところです。
留意点は、一般NISAとつみたてNISAの併用はできません。ご注意下さい。
さらに、冒頭でお伝えした資産所得倍増プランでは、今まではどちらも期限付きの限定制度だったのが恒久化に向けて議論されています。加えて、年間120万円と40万円だった上限金額の拡大も同時進行で行われています。まだ正式に発表されてはいないので、発表され次第、制度の改正についてはまとめていきたいと思います。
<確定拠出年金>
続いて、確定拠出年金も見ていきましょう。
確定拠出年金にはiDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金と、企業型DCと呼ばれる企業型確定拠出年金の2つがあります。どちらの制度も毎月の積立投資が前提になっており、表にまとめるとこのようになっています。
一番の違いは目的です。iDeCoが自助努力の制度であるのに対し、企業型DCは会社が定める福利厚生の制度です。
iDeCoは対象年齢内であれば国民誰しもが加入することができますが、企業型DCはお勤めの会社に企業型DCの制度がないと加入することができません。
その他にも例えば、手数料負担も、iDeCoでは加入者個人が負担し、企業型DCでは会社が負担をすることになります。
さらに、iDeCoも企業型DCも投資できる額についてはその人の働き方によって異なります。会社員だったり、自営業、専業主婦などで投資可能な金額が異なりますので、ご自身がどれに当てはまるのかはよく確認するようにして下さい。
確定拠出年金のNISAとの税制上の大きな違いとして、掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税の節税効果が得られる点が特徴です。また、資産を受け取る際にも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」の対象となります。非課税優遇が運用益だけじゃないっていうのはすごく大きい魅力だと思います。
加えて、確定拠出年金が老後の資産形成に向いていると考えられる最大の理由は、加入者が原則60歳になるまで原則として解約が認められないという点です。「いつでも自由に解約できる」という利便性がない反面、原則60歳まで積立をし続けることになるわけですから、お金が貯まりやすい制度と考えることもできます。
つみたてNISAと一般NISAは併用ができませんでしたが、iDeCoと企業型DCは条件次第で併用することが可能ですので、より効率よく老後資産の形成をすることも可能です。
<どう活用する?>
ここまで、NISAと確定拠出年金の2つの非課税投資制度を説明してきました。それぞれの非課税投資制度の目的の違いや、似ているところもご理解いただけたかと思います。
ただ、それでもどっちにすればいいかわからない。制度の目的は分かったけど、数年後のお金も老後のお金もどっちも心配だって方は大勢いらっしゃると思います。このコラムの最後に、そのような方がどうすればよいかをお伝えします。NISAと確定拠出年金を効率よく使うための答えは、「どっちも使う」です。
NISAと確定拠出年金は別々の制度なので、併用することが可能です。事実、私も両方の制度を使って将来の資産形成をしています。
先ほども述べたようにどっちが良くて、どっちが悪いなんてことは全くありません。目的に違いがある分、それぞれに特有のメリットが存在します。もちろん、資産形成に向けて毎月積み立てていける予算もありますので、すべての方に当てはまるわけではありませんが、せっかくある非課税投資制度を使わない手はないと思っています。
NISAと確定拠出年金を目的に応じて、バランスよく利用していくことで、豊かな人生、あるいはセカンドライフが切り開いていけるのではないでしょうか。
今回のコラムは以上です。また次回のコラムでお会いしましょう。
2022/11/30 株式会社WealthLead 薄井光蔵