最近、企業の人事担当者の方からこのようなご相談を受けました。
「メンタル不調の社員がいて、体調も優れない様子だったため、産業医の受診を勧めました。
その後、休職することになり、しばらく休ませていたのですが…結果的にそのまま退職してしまいました。」
一見すると、企業として適切な対応をしているように見えます。
しかし、退職の際にその社員からこう言われたそうです。
「実は、親の介護をしていて仕事が続けられませんでした」
さらに詳しく話を聞くと、
- 介護サービスは利用していない
- ほぼ一人で介護を担っている
- 仕事と介護の両立が限界だった
という状況でした。
さらに印象的だったのは、
その社員がなぜ会社に介護のことを言わなかったのかという点です。
本人は、
- 「迷惑をかけてしまうのではないか」
- 「部署を外されるのではないか」
- 「評価が下がるのではないか」
といった不安を感じていたそうです。
その結果、
介護を抱えたまま、誰にも言えずに働き続ける
という状態になっていました。
■ なぜ企業は気づけなかったのか
このケースの本質は、
「介護の問題が“メンタル不調”として現れていた」
という点です。
- 体調不良
- メンタル不調
として対応し、
「休ませる」という判断をしました。
問題の根本は「介護との両立」
でした。
■ 「言えない」ことが最大のリスク
企業側からすると
「相談してくれれば対応できたのに」
と思うかもしれません。
しかし実際には
そもそも“言えない状態”が起きている
ことが問題です。
- 制度があっても使われない
- 相談窓口があっても来ない
- 問題が表面化しない
そのまま進むと
ある日突然、退職という形で顕在化する
これが「隠れ介護」です。
■ 「休ませる」が解決にならない理由
多くの企業がやってしまうのが
「とりあえず休ませる」
という対応です。
しかし、介護の場合
- 休めば休むほど介護に専念する状態になる
- 仕事から離れることで復帰のハードルが上がる
- 結果的に「退職」が最も楽な選択になる
今回のケースも
「休んだことで楽になり、そのまま退職」
という流れでした。
■ 企業が取るべき“初動対応”
重要なのは、
「何に困っているのか」を正しく把握すること
です。
具体的には
- 背景に介護の可能性がないか確認する
- 外部サービスの利用という選択肢を提示する
- 「両立」という視点で支援を考える
ここで必要なのは
「介護の知識」ではなく「両立支援の視点」
です。
■ 40代・50代の離職は、企業にとって致命的
この世代は
- 現場の中核
- マネジメント層
- 技術・ノウハウの蓄積者
であることが多く、
1人辞めるだけで組織への影響が大きい
にもかかわらず
「見えないまま失われる」
のが介護離職の怖さです。
このようなケースは、企業側が気づかないまま進行し、
ある日突然、退職という形で表面化することが少なくありません。
■ 同じことが起きないために
もし
- 最近元気がない社員がいる
- 休みが増えている
- メンタル不調とされている
そんなケースがあれば
その背景に「介護」がないか
一度立ち止まって考えてみてください。
■ ご相談について
介護離職は、気づいたときにはすでに退職という形で表面化するケースが多く、
初動対応の遅れが企業に大きな損失をもたらします。
- 社員の状況をどう把握すべきか
- どのタイミングでどんな支援をすべきか
- 制度ではなく“運用”としてどう設計するか
個別の状況に応じてご相談をお受けしています。
※研修のみのご依頼だけでなく、
制度設計・運用支援・個別ケース対応まで一貫してご相談いただけます。
「何から手をつければよいか分からない」といった段階からでも、
お気軽にご相談ください。



