【返済原資の考え方】

中野裕哲

中野裕哲

テーマ:起業

今回のテーマは、【返済原資の考え方】です。融資の種類によって返済原資の考え方は異なります。また、融資審査で回覧される稟議書に書かれるので、明確であるかないかは審査に影響してきます。

1. 事業で利益を上げることで生まれるキャッシュフローが返済原資

資金使途→設備資金、長期運転資金
返済方法→長期での定期的な分割返済
融資の返済原資を事業活動により得られる利益から生み出される現金(キャッシュフロー)を、簡易的に計算式「当期純利益+減価償却費」で計算します。キャッシュフローを返済原資とする融資の資金使途は、設備資金、長期運転資金(1年を超える返済期間の運転資金)です。年間返済額がキャッシュフローを上回ってしまうのであれば、理論上は融資を行っても返済が難しい企業であると銀行は見ます。

2. 後日まとまって予定されている入金が返済原資

資金使途→つなぎ資金
返済方法→入金タイミングでの一括返済もしくは分割返済
売上代金などのまとまった入金があるが、先行して材料費や外注費などの支払いが発生する場合。この場合、入金予定日を返済日として融資が行われます。このような融資の資金使途をつなぎ資金と言います。

3. 短期間で見込まれている入金が返済原資

資金使途→季節資金、賞与資金、納税資金
返済方法→短期での定期的な分割返済
業界によって繁忙期は異なりますが、例えば、衣類製造業の場合は「冬物」の製造は6月~9月頃にかけて大量生産し、10月以降に販売11月~1月で資金を回収します。資金が必要となる時期に融資を受け、資金を回収できる時期に返済していけば資金繰りはなだらかになります。そのような資金を季節資金と言います。この場合、入金日や入金金額は確定していないので見込みでしかないが、確度の高い見込みであり、これを返済原資として銀行融資を行います。

4. 返済原資はなし(事業が続く以上は常に資金需要が発生し続ける)

資金使途→経常運転資金
返済方法→返済なし(6ヶ月や1年で期日を区切りいったん全額返済しすぐに同条件で融資を行うことを繰り返す)
【(売掛金+受取手形+在庫)ー(買掛金+支払手形)】で計算される金額が、事業が続く限り現金化できずに立替え続ける金額として必要になる運転資金です。事業が継続するかぎり、常に経常運転資金の需要が発生し続けるものであり、返済原資はないものと考えます。経常運転資金を資金使途として融資を受ける場合、短期継続融資という方法をとる事が多いです。

以上4つがあります。いろいろなケースを組み合わせる事により資金繰りが安定していきます。

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