テーマ6:既存シーリングスポット室を残す。

田中慎一

田中慎一

テーマ:特定天井

 ここでは、既存シーリングスポット室を残すについて、書いていきたいと思います。ほとんどの設計図書では、こちらは残す設計が多いかと思います。実際に、残すことは可能です。しかしながら、残しながらの施工では何点か難しい箇所があります。
 まず、シーリングスポット室部分の天井の仕上げを撤去すると、図面と違う場合が多いです。なので、懐の深さが違ったり、ついている部材が違う場合があります。その場合でも、残す計画は残す計画なので、どうやって施工するかの検討する必要が出てくる場合が多いです。それと、出入り口部分にも問題がありがちです。当初は、出入り口の高さに合わせて、現地で施工した形跡が良くあります。なので、設計前に現地確認した場合には、当初設計図が正しいと思われがちなのかもしれません。しかしながら、めくってみると、現場合わせにしている場合がある。と、いうことは、改修設計図では合わないとなってしまいます。

 じゃあ、上記の場合はどうするのか?と、いうと、懐深さが違っていた場合は、GPLの長さで調整します。既存部材が違う場合や、位置が違う場合は、新たに部材を追加しながら施工していきます。出入り口部分の調整は、現場確認・実測を行い、必要に応じて施工図で調整していきます。この場合、新設天井下地の部材と、出入り口高さの調整のために、必要に応じてステップを設けたりして施工する必要が出てきます。
 この、シーリングスポット室の出入り口部分、シーリングスポット室の舞台側形状が傾斜しているため、キャットウォークと出入り口高さ、舞台側形状の傾斜を通過するための階段等、いろいろな要素が混みあうカ所になってくるため、難しいポイントのひとつです。

 シーリングスポット室ごと解体して、新設する場合の費用と、残して施工する場合では、やはり残したほうが安価なのかと思います。残す施工は不可能ではないのですが、大変な施工部分のひとつということは、知っておいて貰えると助かります。
 
 

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田中慎一
専門家

田中慎一(鍛冶工事業)

田中工業株式会社

30~200t規模の建屋を新築・増築・改修する際の現場鍛冶工事を請け負う。特に、劇場やホールといった特定天井の建造物の耐震化工事を得意とし、日本国内にとどまらず、海外での施工実績も持つ。

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