テーマ1:特定天井の鉄骨工事はむずかしい?
今回は、既存キャットウォークについて書いていきたいと思います。多くの物件では、少しでも費用を圧縮しようと残せる物は残したいと考え、設計図が出来上がっているかと感じます。その中でも、既存キャットウォークを残す設計図が、多いように感じます。
テーマの結論から言うと、残さない方がいいと思います。なぜかと言うと、物件の特性上、新規に吊り材を各所に設置しながら、準構造体を組み立てていきます。その吊り材の吊元が、既存キャットウォークの吊元にかぶったり、キャットウォークの歩廊を突き抜けたりしてしまう場合が、ほとんどです。しかも、既存のキャットウォークと新設する天井下地にレベル差が生じ、竣工以降のメンテナンス性が著しく悪くなると想像できます。おそらく、メンテナンス時にはキャットウォークから身を乗り出して、電球等の交換をしなければいけない状態になってしまうかと思います。
既存キャットウォークを残す設計図になっている場合のほとんどは、上記を説明して、結局、撤去・新設になっています。新設する場合には、新設準構造体に、キャットウォークを受けるためのガセットプレートが必要になってきますので、上記決定が遅れれば遅れるほど、鉄骨の納期も遅れてきますので、注意が必要です。
では、そんな中でも少しでもコストを下げて施工したいと思うと思います。コストが下がるかは別として、今までで一番、理にかなっていた施工はこれ!っていうのがあります。それは、全面キャットウォーク化です。なぜかと言うと、歩廊にすると、手摺が必要になってきます。全面にエキスパンドを敷き込めば、手摺は必要最小限の施工で済んでしまいますし、竣工後のメンテナンス等も、容易に施工できるかと思います。しかも、手摺を製作・設置する場合は、m単価になると思います。歩廊の場合は、両側に手摺が必要になるため、すぐに数百メートルの手摺の工事になるかと思います。ほぼ全面を床にする場合と、歩廊を設置する場合の費用の差はあるにしても、将来的なメンテナンスや、施工時の足場や資材置き場等にも兼用でき、多くのメリットがあったと感じています。
まとめると、既存キャットウォークを残そうとした場合に出る、問題。
・既存キャットウォークを残す設計の場合、現場が始まってから、残す残せないのやり取りで、多くの時間を無駄にします。
・残すにしても、どうやって残すのかの検討を、だれがするのか?残すために設計変更は出来るのか?解決する問題が多々出てきます。
以上より、劇場関係の特定天井の準構造化の工事に関して、既存キャットウォークは残せないと考えていた方が、工事がスムーズですし、竣工後にメンテナンスを行う劇場関係者の方の利便性を考えれば、基本撤去・新設で考えて頂いた方が、いいものが出来ると思います。



