テーマ1:特定天井の鉄骨工事はむずかしい?
特定天井の施工図を描くには、鉄骨専用CADソフトの「リアル4」というCADで描くのがおすすめです。こちらのコラムを見つけた、リアル4使いの方のために、少し読み込めば、さわりが分かるように書ければと思います。
まず、この手の工事で施工前に施工図を仕上げて承認を取ることは、不可能と思っていただいて結構かと思います。なぜかと言うと、既存鉄骨の形状や、ダクトや電気の位置関係など、全てを網羅し施工図に落とし込むことは、現場をよく確認し実測等を行わないと、図にならないからです。
じゃあ、どうやって施工図の承認を取るのかというと、まず1回目の施工図は、設計図より起こします。設計図のCAD図があれば、CAD図をリアル4のレイヤーで吸い取り、それをなぞる形で図にしていきます。PDFしかないようであれば、CADに変換できるか?トライしてみます。ダメなら、いちから手書きになります。
ここでは、CADデータがあった場合の描き方を書いていきたいと思います。上記の要領で、軸図と伏図をレイヤーに読み込み、継手は設計図に詳細があれば入力し、無ければ基本的な継ぎ手でOKとして、作図してみます。できた施工図をそれなりに図としてまとめ、同時に出来る3次元データをお持ちし、設計者と打合せの機会を設けて頂き、視覚的に設計意図に沿っているようであれば、不明点を確認し、図面修正と詳細をまとめていきます。
その後、再提出の準備が出来たら、再度の面談で上記を同様に確認していただき、施工図に「現場状況に応じて、鉄骨の配置は変更していくものとする」等の記載を入れて、承認してもらいます。
ここまでの流れで進んだとしても、この施工図からでは工場加工に耐えうる図面は出てこない状況かと思います。現場実測をしていないからです。ここでできた図面は、施工図という名の、現場実測用の図面の状況です。既存本体解体前でも、なるべく早い段階で現場確認と可能な範囲で実測することが重要です。この手の作図には、ものすごい時間が掛かります。簡単な物でも2カ月程度、難しい物だと6カ月程度かかるかと思います。
しかも、解体しながら実測し、施工しながらも実測が絡む状況が現場で続くと思います。よって、鉄骨工事の完了直前までCADオペレータが現場と連携しながら進めていくことになります。
工事完了時点で出来た図を、最終施工図(竣工図)として、施工図の提出として取り扱っていただきます。この流れは、早い段階で質疑書等で、設計者の了解を得ていた方が良いかと思います。了解を得られないのであれば、施工図が描ける設計図をお願いすることになりますが。
こちらの施工図は、上記にも記載した通り、長い作図期間が必要となります。部材1本ずつ、GPL形状1枚づつコツコツと修正する必要があるからです。数キロしかない部材を1本入力するために、わざわざ通りや階高を設定したり、通常では入力できない部材では、ダミーデータを駆使したりする必要があります。部材も普通に入力出来たり出来なかったり、さわり方の順番を変えると入力出来たりしたり、部品数の数だけ手間が掛かるのが、特定天井の作図となります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。特定天井の作図に関して、質問等がありましたら、お気軽にメールを頂ければと思います。正直ここでは書ききれません。
次回は、「仮設計画はどれがいい?」を書いてみたいと思います。



