家づくりで迷う人へ。まずは「自分を設計する」ことから始めよう
はじめに
「住宅ローンは、うちはいくら借りたらいいんでしょうか?」「金利は変動?固定?どこの銀行がいい?」
そんな相談は、いろいろな場所で交わされています。そして、さまざまな専門家が、さまざまな意見を言っています。
だからこそ、ズバリ正解がない。それが住宅ローンを難しくしている理由です。
正直な話をすると、私はファイナンシャルプランナー(FP)さんに対して、少し複雑な思いを持っています。
なぜなら、**「住宅ローン」とは、本来「不動産を購入するためのお金」**なのに、不動産の価値について一切触れず、「あなたの年収と家族構成から言うと、月々の支払いはこのくらいですね。だから借り入れもこのくらい。」とだけアドバイスするケースが多いからです。
確かに、住宅ローンの審査は、年収、職種、家族構成、年齢、総合的なリスクヘッジで判断されています。でも日本では、不動産の価値そのものはほとんど審査対象にならないという不思議な現実があります。
海外では、まず「不動産の担保価値」が最重要です。価値のある不動産には、100%借り入れも当たり前。しかも、あの低金利で。
世界的に見れば、日本の住宅ローンは「びっくり仰天」な状況なのです。これは日本人の「借金は絶対返す」という真面目な国民性のおかげかもしれません。
では、借入限度額がわかったとして、本当にその額を借りてもいいのでしょうか?
ここでやっと、「ライフプラン」という話になります。
住宅ローン以外にも、子どもの教育資金、老後資金、日々の生活費、今後の収入の上がり幅――将来にかかるお金をざっと見積もってみると、「ああ、こんなにかかるんだ」「給料もそう簡単に上がらないしなあ」と現実を突きつけられます。
すると自然に、「ローンは控えめにしておこうかな…」
という方向に意識が向かうわけです。
ただ、ここからまた新たな問題が生まれます。
控えめなローン → 総予算が減る → 建物のグレードを下げる?土地を安くする?
最近では、住宅会社から「断熱性が高くないとエネルギーコストが上がるから、高性能住宅にしましょう!」と提案されるため、どうしても建物にお金をかけざるを得ない流れになっています。
すると、建物に予算を取られ、土地にかけられるお金が減り――「じゃあ、安い土地を探すしかない?」「でも安い土地は立地が悪くて不便……」
そしてまた迷う。永遠のループです。
ここで、私は声を大にして伝えたい。
住宅ローンの支払いだけを見ないでください。不動産の価値も見てください。
土地は資産です。しかし今、地方の土地は「負動産」とも言われる時代。
いくら月々の支払いがラクでも、価値の下がる場所、ワクワクしない場所に家を建てるのは、本当に幸せでしょうか?
確かに、これから住宅ローン金利は上がるかもしれません。でも、それでもまだ歴史的には十分に低い水準です。
もし価値の下がらない不動産を選び、将来、ローンを完済できれば――そこには**「売れる資産」**が残ります。
一方、賃貸でずっと家賃を払い続ければ、最後には何も残りません。
だからこそ、「どこで暮らすか」「どんな場所を選ぶか」これを真剣に考えてほしいのです。
暮らしやすい場所に住めば、気持ちも上がるし、収入を伸ばすチャンスも広がるかもしれない。
家を買うことは、単なる「支出」ではありません。**自分たちの未来への「投資」**でもあるのです。
家族で話し合うための「テーマ」と「問いかけ」
ここで紹介するのは、住宅予算やローンを考えるときに、家族で話し合ってほしい【テーマと問いかけ】の一例です。これも10個だけではありません。
大事なのは、テーマごとに「自分たちはどう考えるか」を言葉にして整理することです。そうすれば、お金に振り回されずに、自分たちの未来を描けるようになります。
1. 家を買う目的は何か?
「家を買って、どんな暮らしを実現したい?」
「単なる『家』ではなく、ライフスタイルを考えましょう。」
2. どこに住みたいか?
「便利さと価格、どちらを優先する?」
「妥協するならどちらか?最初に線引きをしておくと迷いにくいです。」
3. 月々の支払いはいくらなら安心か?
「今の生活を続けながら、無理なく払える金額は?」
「借りられる金額ではなく、返していける金額を基準にしましょう。」
4. 教育資金や老後資金はどう考える?
「この家を持ったあと、どんな出費が予想される?」
「未来のライフイベントも含めてシミュレーションを。」
5. ライフスタイルはどう変わる可能性がある?
「転職、独立、引っ越し、将来ありえる?」
「変化に強い立地選び・資産性重視も考えましょう。」
6. ローンの金利タイプはどう選ぶ?
「変動?固定?リスク許容度は?」
「正解はありません。自分たちの性格と将来設計に合わせて選びましょう。」
7. 銀行や金融機関はどこにする?
「金利だけで選んでいない?」
「審査条件、団信の内容、手数料も含めて総合的に比較しましょう。」
8. 資産価値はどのくらい意識している?
「この家、10年後にどうなると思う?」
「出口戦略を考えると、買う物件の見え方が変わります。」
9. 家族全員が納得しているか?
「誰かだけが我慢してない?」
「お金の話ほど、オープンに、正直に話すことが大切です。」
10. 最後は、心からワクワクできるか?
「この家での暮らし、想像するとワクワクする?」
「未来への楽しみを持てるかどうかが、正しい選択のサインです。」
おわりに
住宅ローンは単なる「借金」ではありません。未来をつくるための、人生の一つの選択です。
だからこそ、目の前の支払い金額だけで判断せず、自分たちの未来を思い描きながら、楽しく、しなやかに選んでいきましょう。
もし、住宅ローンや予算決めについて、もっと具体的なアドバイスがほしい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
一緒に、あなたたちらしい「未来への一歩」を考えていきましょう。




