家を探す前に、家族で話してほしい10のこと〜不動産探し編〜

藤木賀子

藤木賀子

テーマ:住宅



はじめに


「土地は早く買わないと無くなる」
「でも、いざとなると決められない」
そんなふうに迷い続けるご家族に、私は何度も出会ってきました。

土地探しが難航する一番の理由は、
条件が揃わないことではありません。

“家族の中で考えがまとまっていない”ことが原因です。


昨日も、こんな相談を受けました。
「注文住宅を建てたい」というご夫婦。
工務店に相談したところ、希望エリアでは土地代が高く、
駅からかなり離れた場所でなければ予算に合わないと言われ、迷っているとのことでした。

まず私はこう説明しました。
「このエリアでは建築基準法により、建てられる家の1階の面積は敷地面積の40%まで。
つまり、家以外の60%分の土地も購入しなければならず、
駐車場や庭として維持管理する手間とコストがかかります。」

そして問いかけました。
「庭がほしくて家を買うのですか?」


ご夫婦は少し考え、「いえ、そういうわけではないんです」と答えました。
「マンションは管理費や修繕費がかかるから戸建がいいと思っていました」
と。

確かに、マンションには毎月の管理費や修繕積立金がかかります。
しかし、戸建も同様に修繕やメンテナンスは必要です。
初期コストをかけてメンテナンス性の高い素材を選んだとしても、
日々の掃除、地域のゴミ置き場の管理、町内会活動などは自分たちで担わなければなりません。

戸建には戸建の、マンションにはマンションのバランスがある。
今は注文住宅の価格が高騰しており、
住宅会社も土地代を抑えた提案をしがちですが、
将来的な資産価値も含めて、総合的に考えることが必要だと私はお話ししました。

その場でご夫婦は「マンションにします」と決断されました。
1年以上、YouTubeやネットで情報収集を続けてモヤモヤしていたものが、
ようやく晴れた、と笑顔でおっしゃいました。

なぜ短い対話で迷いが晴れたのか?


それは、正しい情報と知識に触れ、自分たちの本音に気づいたからです。

家探しに正解はありません。
だからこそ、まず自分たちの価値観を言葉にしていくことが大切です。

家族で話し合うための「テーマ」と「問いかけ」
ここで紹介するのは、不動産探しにおいて家族で話し合っておきたい【テーマと問いかけ】の一例です。
テーマは10個だけではありません。
実際にはもっとたくさんの視点があり、
家族構成や暮らし方によっても優先順位は変わってきます。

大事なのは、テーマごとに「自分たちはどう考えるのか?」を言葉にして整理することです。
それによって、初めて“選べる自分たち”になります。


1. 静かな環境で暮らしたいか?


「静かだと落ち着く時間って、いつ?どこで感じたい?」

エージェントからのアドバイス
→ 「現地の昼と夜の雰囲気を体験してみると、自分に合う静けさが見えてきますよ。」

2. 職場・学校からのアクセスはどこまで重視する?


「遠すぎるとつらいって、どのくらいの距離感?時間や手段も含めて話してみようか」

エージェントからのアドバイス
→ 「毎日の小さなストレスは大きな後悔につながります。“無理なく続けられる距離”を基準に。」

3. どんな道路に面している土地なら安心できる?


「どんな道路が近くにあると安心?逆に不安になるポイントってある?」

エージェントからのアドバイス
→ 「交通量・道幅・騒音。現地で体感するのが一番確実です。」

4. 車なしで生活できる環境がいい?


「車がなくても大丈夫って、どんな状態だと思う?」

エージェントからのアドバイス
→ 「“生活が徒歩圏で完結するか”をシミュレーションしてみましょう。」

5. 実家との距離感はどれくらいが理想?


「実家との距離、どのくらいだと“助かる”し、“気を使いすぎない”?」

エージェントからのアドバイス
→ 「無理のない関係性をつくるために、物理的な距離は重要な要素です。」

6. 子どもにとっての環境はどうありたい?


「子どもにどんな環境を用意してあげたい?」

エージェントからのアドバイス
→ 「学校・遊び場・地域コミュニティの充実度も見ていきましょう。」

7. 資産価値を重視するか、住み心地を重視するか?


「10年後、20年後、この家をどうしたい?」

エージェントからのアドバイス
→ 「今の満足と将来の売却リスク、どちらを優先するか整理しましょう。」

8. 駐車場や自転車置き場は必要か?


「車は何台?自転車は何台?将来どうなりそう?」

エージェントからのアドバイス
→ 「今だけでなく、未来のライフスタイルも想定して考えましょう。」

9. 隣家との距離感やプライバシーは気にする?


「隣の家との距離、どれくらい気になる?窓の位置、音の聞こえ方は?」

エージェントからのアドバイス
→ 「設計図だけでなく、現地で目線や音環境も確認しましょう。」

10. 災害リスクをどう考える?


「ここで災害が起きたら、どうやって逃げる?どんな備えが必要?」

エージェントからのアドバイス
→ 「ハザードマップだけでなく、過去の災害履歴にも目を向けましょう。」

おわりに


家探しに、完璧な答えはありません。
ですが、家族でテーマごとに整理していけば、
迷いや後悔を減らすことはできます。

まずは自分たちの本音に耳を傾けること。
そこから、あなたたちの未来が始まります。

もし、不動産探しや家づくりについて、
もっと具体的なアドバイスがほしい方は、
ぜひお気軽にご相談ください。

一緒に、あなたたちらしい未来を探しましょう。

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