「住宅業界の2025年問題」は購入者に影響を与えるか。

住宅づくりのプロは「ものづくり」の専門家です。特にこだわりを持って家づくりをする工務店や設計士ほど、いつも忙しく働きながらも、お客様の要望を可能な限り取り入れようと頑張っています。
しかし、実はここに落とし穴があります。
お客様の要望をすべて聞き入れ、時間をじっくりかけることが良い家づくりだと考えがちですが、本当にそれだけが正しいでしょうか?プロはお客様の希望に振り回されてはいけないのですし、お客様自身も本音では迷いたくないものです。
初めてアメリカへ行ったときのこと。ハンバーガーショップやサブウェイなどのファーストフードで、あまりにも多くのトッピングを選ばされることに驚きました。昨年訪れたアメリカのメキシコ料理店でも同じことを感じました。30年経っても同じです、アメリカは選択肢が多すぎる。どこの店に行っても細かく聞かれますが、日本はお決まりのパターンが多く、それに慣れているので、細かく選ぶのは疲れてしまいますよね。
家づくりでも同じことが言えます。ひとつひとつ細かく選択するのは、思った以上に大変な作業です。一方で、すべてが決まりきった規格住宅ではつまらないと感じる方も多いでしょう。最近ではスーツのイージーオーダーのような、住宅もそんな家もありますね。それでもせっかくの自分の家!自分たちが暮らしたい家にしたいと考える人も少なくはないと思います。
理想はワインのソムリエのように、今日の料理や好みの味わい、予算を踏まえて、プロの視点で厳選した選択肢を提案してくれることですよね。
残念ながら、多くの工務店の設計士や担当者は「ワインのソムリエ」というよりも、まるで「酒屋さん」のように『色々なワインありますよ~自由に選んでください』という感じで接してきます。これではお客様は迷ってしまいますよね。
では、住まいづくりに「ワインのソムリエのような人」がいない場合どうすればよいでしょう?
それは、あなた自身が「ソムリエ」になることです。
住宅会社とのコミュニケーションで迷わないために、あなたが知っておくべきポイント、聞いておくべき質問をまとめました。ぜひこちらを参考にして、より良いコミュニケーションで理想の家づくりを進めてください。
【住宅の性能と仕様に関する質問】
- 耐震性能や構造の特徴を教えてください。
- 断熱・気密性能の具体的な数値や基準は?
- 使用している主な建材の特徴やメリットは?
- 設備機器(キッチン、浴室など)のメーカーや仕様を教えてください。
- 住宅の省エネ性能やエコ対策について説明してください。
- アレルギー対策や健康に配慮した建材はありますか?
- 防音性能について具体的な対策は?
- 建材や設備のメンテナンス頻度と方法を教えてください。
- 保証やアフターサービスはどのようになっていますか?
- 自然素材や地域材の使用について具体的な提案がありますか?
予算の中で「自分たちの拘りはどこにあるか」をまとめる必要があります。
この質問の中ではい、なんでもできます。なんでも拘ってます!は当然「高い」ということになりますよね。
この質問をする上で、考えて欲しいのは、自分たちもその質問に答えることです。
1・断熱、気密、省エネ、エコ対策、耐震、耐久などの関心はどこまであるの?2・防音、自然素材などまで気にするの?
3・設備やデザインにどこまで拘るの?予算は度外視で行く?
4・保証とかアフターとかどこまで気にするの?
まずは家族全員の答えをまとめてから、質問をしていきましょう!
【予算、資金計画に関する質問】
- 建築費の概算や予算目安を教えてください。
- 見積もりにはどのような項目が含まれますか?
- 工事途中で追加費用が発生する可能性は?
- 支払いスケジュールや条件を教えてください。
- 頭金の金額やタイミングについての目安は?
- 住宅ローンの相談や金融機関との連携は可能ですか?
- 予算内で理想の家を実現するための工夫や提案は?
- 補助金や優遇措置など利用できる制度はありますか?
- ランニングコスト(維持費)について教えてください。
- 費用削減が可能なポイントや選択肢を教えてください。
資金の質問は、やっぱり追加費用の予防です。なんでもできますはお金をかければになるので、マストの金額と建築費に含まれている性能と仕様をよく確認することです。
新築であれば注文住宅で、坪50万円なんていうのは難しいですよ。
そこそこの性能で坪100万円前後は基本、そこから希望がプラスされていきます。もちろん土地の形状や他の条件で開発費用も代わり総予算も変わります。最高を求めず、そこそこバランスがよいものを求めるのでしたら、目安は坪100万前後。予算ありきなら、逆にその金額で何ができるか?と聞いてしまうのもよいでしょう。
資金計画をどこまでお手伝いいただけるのかを聞いて、できなさそうなら、FPやローンの専門会社を使うなど、自力でなんとかできますので、資金計画ができないからって候補から外さないでくださいね。
【打ち合わせやコミュニケーションに関する質問】
- 打ち合わせの頻度や具体的な進め方を教えてください。
- 担当者との連絡方法や連絡可能な時間帯は?
- プラン変更や要望はどの段階まで対応可能ですか?
- デザインやコンセプトの共有方法について教えてください。
- 決定事項や進捗状況の管理・共有ツールはありますか?
- プロとしてお客様の希望に対してアドバイスをする際の基準は?
- 意見が食い違ったときの解決方法や対応策は?
- 打ち合わせの記録や議事録はどのように管理していますか?
- コミュニケーションを円滑にするために、お客様が心がけるべきことは?
- お客様の要望を正しく伝えるためのアドバイスをください。
特にここは実は大事な質問です。商品がよくて、予算がOKでも、打ち合わせのやり方でかなりストレスがかかることがあります。工事の工程表は作成されますが、打ち合わせの工程はあまり深く考えていない会社が多いです。もちろんスケジュールはお知らせされますよ。
打ち合わせは3回、次に申し込み、契約、その後コーディネーターが付いて、色決めします!とか。
でも3回で決めるためには3回で気に入るプランがでないといけないし、キッチンメーカー回っているうちに、サイズや商品を変更したくなったらどうするんですか?気になる性能を質問したら、確認しますといったまま1ヶ月が経っているとか本当によくあるんですよ。営業はいいこと言って、設計やコーディネーターに担当が変わったら話が違うとかね。そうならないように、相性も含めてここはよく聞いてください。
【現場の管理に関する質問】
- 工事中の現場管理や監督の体制について教えてください。
- 品質管理や施工チェックの方法は?
- 現場の進捗報告はどのように行われますか?
- 施工ミスやトラブルが起きた際の対応策は?
- 現場での安全対策や近隣への配慮について教えてください。
- 工事期間中の現場見学や立ち合いは可能ですか?
- 現場作業員との直接コミュニケーションは可能ですか?
- 工期が遅れそうな場合の早期対応策や予防策は?
- 工事完了後の点検や検査の内容を教えてください。
- 現場の整理整頓や美化管理についてどのように取り組んでいますか?
ハウスメーカーさんなら比較的ここはマニュアルがしっかりあるので心配しなくてもいいかもしれません、ただローコストな工務店やハウスメーカーは当然ローコストなので、下請けさんもローコストな業者が請け負っているかもしれません。そうなると、建築現場が気になるところです。どう管理しているのかを営業や設計が答えられないところは、実際に建築中の現場を覗きにいったほうがいいですね。
建築中は隣近所にご迷惑をおかけすることになるので、お引越し後の住みやすさにも影響しちゃいますからね。
「住宅会社と上手にコミュニケーションを取るコツ」
まとめ
住宅づくりで大切なことは、住宅会社と施主の双方が「何を求めているか」「何が可能か」を明確に共有することです。多くのトラブルやクレームは、実はコミュニケーションの行き違いや思い違いから生じています。
私は常々感じています。
私が間に入ると、工務店さんや職人さんから「藤木さんのお客さんはみんないい人ですね!」という言葉をよく耳にします。もちろんお客様は素敵な方ばかりですが、実際は私が「通訳」として双方の気持ちをきちんと伝えているだけなのです。
双方が気持ちよく楽しく家づくりを進められることが理想ですよね。例えば、ものづくりのプロでも、段取りや進め方が少し苦手なだけで「ダメな人」と評価されてしまうのはとても残念です。私も以前、自分の家の無垢の床を自ら貼ってみたことがありますが、まっすぐ貼るのがいかに難しいかを身をもって感じました。一生懸命やっても、大工さんに笑われてしまうほどの仕上がりでした。だからこそ、プロの技術を尊敬し、大切にしたいと思っています。
家づくりを成功させるためには、お互いの意思疎通が何よりも大切です。その上で、もし条件の全てが一致しなくても、自分にとって優先順位の高いポイントがフィットしていれば、あとは自分でカバーできる部分を見つけることも大切です。
もちろん、住宅建築にも「ソムリエ」的な人もいます。面倒なことはやっぱりプロを使うことも大事です。まずはそんなソムリエを探すという選択もありますよ!
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