空き家投資は地方が狙い目|借り手がつかないは思い込みだった

沼尻敏

沼尻敏

テーマ:不動産投資



「地方の物件なんて、借り手がつかないでしょう?」。地方の空き家活用についてご相談をいただいたとき、いちばん最初に言われるのがこの一言です。不動産投資を始めたい、安定した投資先を探したいという方ほど、地方の戸建てには慎重になられます。

私はこの十数年、数々の繁盛店やクリニック、マンションの空間づくりに携わりながら、空き家・空き店舗の再生に力を注いできました。その経験から申し上げると、地方の空き家活用は、いま最もチャンスが眠っている分野のひとつだと感じています。

なぜ「借り手がつかない」という思い込みが生まれるのか。そして、なぜ私は逆に「地方こそ宝の山」と考えるのか。今日はその理由を、実際の現場の感覚も交えながらお話しします。

なぜ今、「地方の空き家」活用がチャンスなのか

多くの方に驚かれることなのですが、実は地方ほど戸建て賃貸の「供給」が極端に少ないのです。

賃貸住宅のデータは、そのほとんどがアパートやマンションのものです。戸建て賃貸はもともと市場に出回る数が少なく、統計にすら表れにくいほど希少だと指摘されています(出典:全国古家再生推進協議会、2025年)。「借り手がいない」のではなく、「貸している人がそもそも少ない」というのが実態に近いといえます。

地方は持ち家文化が根強く、戸建てを賃貸に出すという発想自体が少ない地域が多くあります。だからこそ、適切にリフォームされた安くて住みやすい戸建てを用意すれば、競合がいない場所に需要が立ち上がります。広い空間でのびのび暮らしたいファミリー層、ペットと暮らしたい方、音を気にせず過ごしたい方など、戸建てならではのニーズは地方にも確かに存在します。

競合が少ないということは、楽に賃貸経営ができるということでもあります。私はこの状態を、誰も気づいていない「ブルーオーシャン」だと考えています。次々とアパートやマンションが建ち、新築でさえ空室が出る時代に、わざわざ供給過多のエリアで戦う必要はありません。

私が独立して空き家の再生に注力し始めたのも、リサーチを重ねるなかで「空き家の数は増え続けているのに、戸建て賃貸として活かされていない」というギャップに気づいたからです。問題の裏側には、いつもチャンスが隠れています。

地方特有のニーズを見極めるポイント

地方の物件を見るとき、私が真っ先に確認するのが「駐車場」です。

地方の生活に、車は欠かせません。だからこそ、駐車場は地方の戸建てにおける最大の武器になります。たとえ庭を潰してでも駐車スペースを2台分確保できれば、家賃アップと早期入居の両方を同時に狙えます。これは、土地が広い地方物件だからこそ取れる戦略です。

都市部の物件が10〜20坪ほどなのに対し、地方都市では20〜50坪と土地が広いことが多いと言われています。広い土地は、複数台分の駐車場だけでなく、ファミリー向けの庭や法人需要への対応など、都市にはない幅広い活用の余地を生みます。

私はこの「四方よし」という考え方を、仕事の根っこに置いています。四方よしとは、自分(投資家)だけでなく、入居者・工務店・地域という関わる全員が幸せになる仕組みのことです。入居者はデザイン性の高い住まいを手に入れ、オーナーは資産を形成し、工務店は安定した仕事を得て、空き家が減ることで地域の治安も良くなります。関わる全員が喜ぶ形を設計することこそが、地方の空き家活用を長く成功させる秘訣だと、私は実感しています。

一例ですが、以前、相続した昭和中期の家屋を売却しようとされていた方がいらっしゃいました。ご本人に飲食店を開きたい想いがあると伺い、「ご自身の家で開けば家賃もかかりませんよ」とご提案したところ、快く受け入れてくださいました。木彫りの欄間など良き古さを残しながら改装し、和の情緒あふれる懐石そば店に仕上がりました。

空き家は、見方を変えれば「もう一度活かせる資産」です。私はこれまで飲食店やクリニック、マンションなど数々の空間をプロデュースしてきました。その引き出しがあるからこそ、その土地・その建物ならではの一番良い活かし方を、オーナーと一緒に探していけるのだと思っています。

やってはいけない「価格と工事」の判断ミス

ここまでお読みになって「地方は面白そうだ」と感じていただけたなら嬉しいのですが、ひとつだけ、必ずお伝えしておきたいことがあります。

それは、「いくらで買えばいいか」「どこを直せばいいか」の判断を誤れば、どんなに良い物件でも投資は破綻するということです。空き家活用の失敗の多くは、物件価格の高さそのものよりも、リフォーム費用のかけすぎや、相場に合わない買い方から生まれます。

そこで私たちが大切にしているのが、「家賃から逆算する」という試算の考え方です。家賃から逆算する試算とは、売主の希望価格から考えるのではなく、リフォーム後に取れる相場家賃を起点にして、「いくらまでなら買って良いか」を先に決めるやり方のことです。

先に相場家賃を正確に見極め、そこから希望利回りとリフォーム費用を差し引いて購入上限額を出す。この式に合わなければ、どれだけ魅力的に見える物件でも、勇気を持って見送ります。築年数の古い建物では、耐震面も精査し、どこまで補強するかをオーナーと話し合いながら進めます。感覚や勢いではなく、数字で線を引く。それが、安定した収益を守るための私の流儀です。

「どこを直すか」も同じです。きれいにすること自体が目的ではなく、その家賃で貸すために必要な工事を見極めることが大切です。取れる家賃に見合わない過剰なリフォームは、利回りを下げるだけ。逆に、入居者に選ばれるための工夫(例えば、写真映えする見せ方や暮らしやすい間取りへの調整など)には、しっかり手をかけます。このメリハリこそが、私が長く現場で培ってきた判断軸です。





・安定した投資先を探している
・これから不動産投資を始めたい
・地方の空き家・相続物件の活用に悩んでいる

このようなことでお困りの場合は、お気軽にご相談ください。

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Mybestpro Members

沼尻敏
専門家

沼尻敏(空間デザイナー)

株式会社商空間企画

収益物件に適したさまざまな空き家や空き店舗の紹介、デザイン性の高い空間への再生により、資産形成を後押し。相続物件の相談も対応。オーナー、入居者、工務店、地域「四方良し」の空き家の有効活用を推進します。

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