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模様替えで騒音対策

浦山英樹

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フローリングよりも絨毯、ブラインドよりもカーテンを使ったお部屋の方が、室内騒音が下がる事をご存じでしょうか。

絨毯やカーテンそのものには、遮音効果は殆どありませんが、これらを用いることで、室内の吸音率が上昇し、室内の残響時間が短くなります。  その結果、音の混濁感が減り、室内騒音が低下します。 一つ一つは僅かな効果しかありませんが、これらが複合的に作用する事で、大きな効果を期待できます。

例えば、一般的なマンションの場合、洋室と和室では、和室の方が 1dB 程度のレベルが低下します。 和室の方が1dB程度低下するのは、畳が優れた吸音材として機能するためです。畳の表面は凹凸が多く、空気を多く含む構造をしているため、音波を吸収しやすく、室内の反響音を減らす効果があります。

同じような理由で、絨毯を敷いたお部屋でも 1dB 程度レベルが低下します。
更には、ベッドやソファーなどの調度品やカーテンを設置したお部屋では、3dB 程度もレベルが低下します。

これまでのコラムで度々お伝えしていますが、騒音レベルが 3dB 減少するという事は、音のエネルギーが半分になる事を意味します。 それが調度品だけで実現できるなんて不思議な感じがしますが、この考え方は遮音設計の世界では一般的で、中には調度品を個々に設置した場合のレベルの変化といった実験データもある程です。

また、目的は違いますが、オーディオを趣味とされている方の世界では、昔から当たり前のように用いられている手法で、壁の所々に吸音率の違う素材を設置する事で、部屋の音環境を変化させ、スピーカーから出る音の明瞭度を上げたりしています。

では、どのようなお部屋が最も防音効果があるかと言いますと…
じつのところ、お部屋の大きさや構造、外部騒音のレベルや周波数特性などによって様々で、どの方法が最も効果的であるかは千差万別というしかありません。

しかしながら、厚手のラグマットや絨毯、カーテン、ソファーやベッド・家具・絵画などの調度品を設置したお部屋は、何もないお部屋に比べて確実にレベルが減少する事がわかっています。 しかも -3dB程度も効果があるのです。

これまで度々お伝えしていますが、騒音レベルが 3dB 低下するという事は、音のエネルギーが半分になることに相当します。 これは、人が感じる音量としては、約半分に聞こえる程度です。

最近は何もないすっきりとしたお部屋がはやっているようですが、様々なライフスタイルや好みに合わせて、お部屋の雰囲気は変化します。  もし、「何となく居心地が悪いな」とか、「うるさいほどではないけど音が気になる」といった事をお思いでしたら、音環境の改善も視野に入れ、思いきって模様替えをしてみてはいかがでしょうか。 気分も変わって、更に室内騒音の低減も期待出来るかもしれません。


補足


弊社では、デベロッパーや建材メーカーからの依頼を受け、これまで多数のマンションの室内騒音測定を行ってきました。 お客様への引き渡し前に、遮音設計が意図した効果を発揮しているか、そして目標とする室内騒音基準値を満たしているかを検証するため、室内騒音の測定を実施しています。 具体的には、部屋に何も置かれていない状態、つまり「素の状態」で測定を行います。

測定対象は、全戸を対象とする場合もありますが、多くの場合は部屋の種類ごとにランダムに部屋を選定して測定を行います。 また、モデルルームとして使用されている部屋を対象に、家具や調度品がある状態とない状態での騒音測定を行うケースもあります。 この際、興味深い結果が得られました。家具や調度品がある状態では、必ずと言って良いほど、何もない状態と比べて約3dBの騒音レベルの低下が見られたのです。

この結果は、私にとっても非常に興味深いものでした。 室内に家具や調度品を置くだけで、これほど騒音が低減するとは、直感的には意外に思えます。 しかし、数多くの測定データから、この事実が裏付けられたことで、室内環境の改善に、家具や調度品が重要な役割を果たしていることを実感しました。

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