騒音の特別区域をご存じですか?
皆さんは、騒音計の表示値が、実際の騒音状況を正確に表していると思っていませんか? 実は、騒音計の表示値と、私たちが知りたい「実際の騒音レベル」には、大きな違いがあるのです。 今回は、その違いについて、専門的な知識を交えながら詳しく解説していきます。
騒音計の表示
騒音計は、私たちの耳では聞き取れないような細かい音の振動を感知し、数値に変換してくれます。 しかし、騒音計の表示は、その瞬間の「音の大きさ」を示しているに過ぎません。
なぜ、表示値と実際の騒音レベルに違いが生じるのでしょうか?
それは、騒音というものが、常に一定の大きさで鳴り続けているわけではないからです。 例えば、車が通り過ぎるときや、工場の機械が作動するときなど、音の大きさは刻々と変化します。 このように絶えず変化する騒音を正確に測定するため、JIS Z 8731(環境騒音の表示・測定方法)では、騒音のサンプリング周期を 100ms 以下としています。 これに対し騒音計の表示は、人間が視認しやすいよう1秒程度に間引かれています。 そのため、表示値は瞬間的な値であり、実際の騒音状況を完全に反映しているわけではありません。
特に衝撃音のような最大値(LA.max)は、騒音のレベル変動にとても敏感です。 演算周期が短いほどレベル変動への追従性が良くなるため、騒音計で表示される値は、実際の最大値よりも少し小さくなる傾向があります。
実際の騒音評価
環境基準や法律で定められた騒音の評価では、騒音計の表示値だけでなく、一定時間における平均的な大きさや、最大の大きさ、変動の仕方などを総合的に判断します。
等価騒音レベル(LAeq)
一定時間における騒音エネルギーの平均値。騒音の全体的な大きさを表します。
90%レンジの上端値(LA.5)
測定値の90%が下回るレベル。騒音のピークレベルを表します。
これらの値は、騒音計が測定した大量のデータを元に、計算によって求められます。 つまり、騒音計の表示値は、この計算を行う為のデータの一部に過ぎないのです。
測定環境の影響
さらに、騒音の測定には、周囲の環境も大きく影響します。例えば、壁や建物から音が反射して、測定値が大きくなってしまうことがあります。 このような場合、測定者は専門的な知識に基づいて、この反射音の影響を補正する必要があります。
まとめ
騒音計の表示値は、騒音の状況を把握するための、データの一部に過ぎません。 正確な騒音評価を行うためには、騒音計の測定データだけでなく、測定時間、測定環境、評価基準など、様々な要素を考慮する必要があります。
つまり、騒音計の表示値だけをみて、騒音を評価する事は出来ないのです。
騒音問題は、私たちの生活環境に大きな影響を与える問題です。 騒音計の仕組みを理解し、正しい知識に基づいて騒音問題に取り組むことが大切です。