騒音計の指示値と測定値は違う
梅雨らしい天候が続きますね。
雨が降ると道路騒音はどのように変化するのでしょうか。
一例ですが、弊社の測定事例から見てみましょう。
下のグラフは、雨天と晴天の2つのデータを比較したものです。
1回目の測定中に雨が降ったため、翌週の同じ曜日に再測定を行いました。
測定日と天候は異なるものの、それ以外の条件は全く同じです。
水色の線は雨天時(1回目)、ピンクの線は晴天時(2回目)のレベルです。 グラフ下部は雨天時の降水量を示しており、晴天時には降雨がありません。
降雨のない時間帯のレベルは、ほぼ同じように見えます。測定日が異なっても、それ以外の条件が同じであれば、レベルは同じであることが分かります。
5時台に雨が降り始めますが、レベル差が表れるのは 3時間後の 8時台からです。 弱い雨が続くことで水たまりが発生し、水しぶき音が発生するまでに至ったのが 3時間後ということなのでしょう。
降雨によりレベルが上昇した後は、晴天時とのレベル差が一定に見えます。 この場所では、水しぶき音によるレベルの上昇は約 5dB程度のようです。
次は周波数違いを見てみましょう。
500Hz以下はほぼ同じですが、1kHz以上は明らかに違います。 車の水しぶき音といえば「びしゃー」という音が想像されますが、この音の成分は概ね1kHz以上であるということが分かります。
まとめ
1mm以下の弱い雨であっても、水たまりができるとレベルが上昇することがわかりました。 この場所でのレベルの上昇量は約 5dB程度でしたが、デシベルで 5dBの上昇は、音のエネルギーが 3倍になったことを意味します。 つまり、水しぶき音により道路騒音のエネルギーが 3倍に上昇したという事がいえます。 これでは、雨の日には水しぶき音が支配的になってしまうのも仕方ありません。
お客様から「どの程度の雨で中止になりますか?」とお問い合わせを頂くことがありますが、降水量や降水確率により判断するのは難しいです。 雨天時の測定は、雨の量はもちろんですが、少量であったとしても路面状況や周囲の雨音にも気を配って、適正な測定が行えるかを判断しなければなりません。