騒音計の指示値と測定値は違う
今回は騒音を測定した値(データ)を集計していきたいと思います。
定常騒音・変動騒音の場合
定常的な騒音の場合は、その指示値を読み取るだけで簡単です。 しかし、実際に測定してみると、どんなに定常的に聞こえる音であっても、騒音計の指示値は僅かに揺れます。 ゆれの変動幅が1dB以上ある場合や判断が難しい場合は、時間的に等間隔で読み取った測定値の算術平均を求めます。 測定数は騒音の状態によって変わりますが、変動幅が5dB以内か以上かは測定してみないと分からないため、50回法に従って50回測定しましょう。
演算機能のない騒音計が主流だった頃は、50回法という測定方法が行われていました。 3人一組になり、一人がストップウォッチを見て5秒毎に測定者の肩をたたき、測定者はその時の指示値を読み上げ、もう一人が記録していきます。 これを50回連続して行う測定方法です。
独りで測定を行う場合は、騒音計の指示値をスマートフォンなどのビデオ機能を使って撮影することをおすすめします。 動画をスロー再生すれば、簡単に5秒間隔の指示値を読み取れます。
注意点として、その音が対象の音であるか確認しながら指示値を読み取りましょう。 対象の音でない場合は、そのデータを飛ばして次のデータを読み取ります。
読み取った50個のレベルの変動幅(最も大きなレベルと小さなレベルの差)が5dB以内であれば、50個のデータの算術平均値を求めます。 5dB以上である場合や曖昧な場合は、90%レンジの上端値を求めます。 時間的に等間隔で読み取ったデータの90%レンジの上端値を、時間率騒音レベルの上端値(LA5)といいます。
間欠騒音・衝撃騒音の場合
衝撃音の場合は、衝撃音の最大値を読み取っていきます。 読み取り数が50個になれば測定終了です。 読み取った最大値の変動幅(最も大きなレベルと小さなレベルの差)が 5dB 以内であれば、50個のデータの算術平均値を求めます。 5dB以上である場合や曖昧な場合は、最大値の90%レンジの上端値を求めます。
記録の取り方
初めての方でも簡単に報告書を作成できるように、測定値の記録用紙を作成しました。
下記のURLにある弊社の記事からダウンロードできます。
記入例や記入時の注意点などの説明もありますので、ぜひご活用ください。
弊社ウェブサイト(騒音測定の記録用紙)
90%レンジ上端値の求め方
専門知識がなくても90%レンジの上端値を求めるための記録用紙を作成しました。
下記のURLにある弊社の記事からダウンロードできます。
記入例や記入時の注意点などの説明もありますので、ぜひご活用ください。
弊社ウェブサイト(90%レンジ上端値の求め方)
測定結果について
騒音規制法(条例)における測定結果の求め方には、「算術平均値」と「90%レンジの上端値」の2種類があります。 どちらを採用すればよいかは騒音の状態によって変わりますが、曖昧な場合はレベルの高い方を測定結果として採用して問題ないでしょう。
理由として、レベルの変動幅が小さい場合は算術平均値の方が大きくなり、変動幅が大きい場合は90%レンジの上端値の方が大きくなるためです。 どちらかレベルの大きな方を採用することで、必然的に騒音の状態に合わせた評価結果になります。
まとめ
今回は少し難しいお話になってしまいましたが、ご理解いただけましたでしょうか。
騒音測定は現地での測定も大切ですが、このデータを集計する作業が最も手間のかかる作業になります。 しかしながら、基準値と比較するための重要な条件ですので、がんばって挑戦してみてください。
もちろん、ご依頼いただければ測定にお伺いいたします。
必要であれば証明書も発行できますので、ぜひご検討ください。