騒音計の指示値と測定値は違う
今回は集合住宅など同一建物内部における各住戸間の騒音対策について説明したいと思います。
前回は東京都の環境確保条例で資料を活用するお話をしましたが、この条例の冒頭には以下の注意書きがあります。
この基準値は、次の場合は適用しません。
1.集合住宅など同一建物内部における各住戸間の騒音・振動
2.航空機、鉄軌道、船舶、建設工事
3.個別に騒音または振動の基準が定められた次の事項
工場・事業場の規制
建設作業の規制
拡声機の使用制限
音響機器の使用制限
深夜営業等の制限
【2】と【3」は別の基準があるので、この条例では取り扱わないとしています。
【1】の「集合住宅など同一建物内部における各住戸間の騒音は対象外」については、ご存じない方が多いのではないでしょうか。
じつは東京都の条例だけではなく、環境基準や騒音規制法においても、同一建物内で発生する騒音に対応する基準は設けられていません。
マンションなど集合住宅内で発生する騒音問題の対策について
同一建物間の騒音トラブルは条例や規制基準の対象外なので、罰則などの法的措置は取ることができません。 先ずは身近なところから相談する事をおすすめします。
1.集合住宅の管理会社や管理組合へ相談する。
まず最初に行うべき対策は、集合住宅の管理会社や管理組合へ相談することです。
張り紙等での注意喚起など、住民間のトラブル対策を行ってもらえます。
2.区市町村等の窓口に相談する。
管理会社や管理組合への相談で解決に至らない場合は、地方公共団体の公害苦情相談窓口に相談してみましょう。 政府広報オンラインでは、騒音に困ったときは、気軽に公害苦情相談窓口を利用する事をすすめています。
総務省ウェブサイト 公害苦情相談窓口(東京都)
地方公共団体の公害苦情相談窓口では、住民の苦情をお聞きし、必要に応じ、現地を調査したり関係機関とも連絡を取り合って、改善に向けた指導や助言を行うなど、苦情の受付から解決まで一貫して取り組んでいます。(総務省ウェブサイトより)
3.弁護士に相談する。
騒音トラブルが感情的な問題となり、解決が難しいと判断した場合は、弁護士に相談することもできます。 法律に基づいた様々な対応を期待できます。
騒音測定の重要性
どのような対策をとるにしても、単に「うるさい」と訴えるだけではなく、定量的な資料を作成し、騒音の被害状況を客観的に示すことが重要です。 相談先の担当者も資料を見れば実態を把握しやすく、スムーズに話が進むかもしれません。
今回の一連のコラムで紹介した測定資料は、騒音問題の解決に向けた重要な資料となります。
是非ご活用いただき、騒音問題の解決にお役立てください。
ご自身での測定が難しい場合は、弊社のような専門家に依頼することをおすすめします。
騒音問題でお困りの場合は、お気軽にご相談ください。
状況に応じて最適な測定方法をご提案いたします。
同一建物内部における各住戸間の騒音測定は、「計量法第107条の対象外」となるため、計量証明書の発行はできません。 計量証明書が発行できないからといって、測定精度が低くなるわけではありませんが、計量証明書のような法的な効力を持たない事をご留意ください。