騒音計の指示値と測定値は違う
偶数丸めをご存じでしょうか。
データを扱う業界では常識なのですが、殆どの方はご存じないかもしれません。 今回はそんな超マイナーな、だけれど一部の人には大人気な(?)、数値の丸めのお話をしたいと思います。
測定結果や計算結果を表示する際、桁数と丸めの方法が指定されます。
例えば、環境基準などは【四捨五入した後に整数表示する事】と規定があります。
そのような規定がない場合は、JIS Z 8401 規則A に従い丸めを行います。
規則Aとは、いわゆる偶数丸めの事です。
丸める桁が”5”より小さいなら切り捨て、”5”より大きいなら切り上げ、ちょうど”5”の場合は、一つ上の桁が偶数なら切り捨て、奇数なら切り上げとなります。
12.25 → 12.2 5を切り捨て
12.35 → 12.4 5を繰り上げ
規則A (偶数丸め)には、一連のデータを処理する時、丸めによる誤差が最小になるという特徴があります。
データ(丸めなし) 12.25+12.35=24.6
規則A(偶数丸め) 12.2+12.4=24.6
規則B(四捨五入) 12.3+12.4=24.7
例えば、JIS A 4706 では、サッシの音響透過損失実験値を整数に丸めて等級線と比較するのですが、この時の丸めは規則Aを用います。 遮音計算では多くの音響透過損失を用いますので、それが規則Aで処理されたデータならば、計算誤差を最小限にすることが出来ます。
規則Aと規則Bの丸めをエクセル関数で表すと以下の通りになります。
規則A(偶数丸め)
=if(mod(abs(A1)*10^桁数,1)=0.5,even(abs(A1)*10^桁数-0.5)/10^桁数*sign(A1),round(A1,桁数))
規則B(四捨五入)
=round(A1,桁数)
セル(A1)の数値を参照しています。
桁数は、小数点第一位で丸める場合は”1”、整数で丸める場合は”0”を指定します。
いかがでしたでしょうか。
今回は数値の丸めについてご紹介させていただきました。
あまり頻繁に使う事はありませんが、計算中に小数点以下が微妙に違ってくるといった場合は、大体これが原因である事が多いです。
ちなみに、JIS Z 8401 (数値の丸め方)は、規則Aと規則Bの説明しかなく、紙はたったの3枚しかありません。(本文1枚、解説2枚) 私が所有している中では、最も薄い JIS規格です。