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現実的な遮音対策

浦山英樹

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今回は外部騒音に対する、現実的な遮音宅策についてお話したいと思います。

遮音対策は、やみくもに行うのではなく、目標とする室内騒音値を事前に設定することが重要です。 目標値が決まったら、測定した外部騒音との差から、仮設定対策量を決めます。

環境基準によれば、幹線道路に近接した空間(道路境界線から 20m の範囲)の室内騒音基準値は、昼間 45dBA 以下、夜間 40dBA 以下となっています。
そこで室内騒音 40dBA 以下を目標値に設定したとして、外部騒音が 70dBA であった場合、遮音に必要な仮設定対策量は 30dBA となります。

日本建築学会の実務的騒音対策指針では、仮設定対策量 30dBA 程度を満たすには、高度な遮音構造が必要としています。



前回の計算結果を踏まえると、T-2の組み合わせが最低条件となります。



更に快適な睡眠を求めると、WHOでは「夜間の連続的な暗騒音の LAeq は 30dBA 以下にとどめるべき」としています。 そのため、仮設定対策量を 40dBA と設定すると、通常の二重サッシや一般的な外壁構造では遮音が難しい場合が多く、配置計画や平面計画あるいは道路側の対策などが必要となります。 これは現実的な遮音対策とは言えません。

少し妥協して仮設定対策量を 35dBA にした場合、二重サッシと給気口の遮音対策で対応できそうです。 つまり、外部騒音が 70dBA の環境では、室内騒音を 35dBA 程度に抑えることが、現実的な遮音対策の限界であると言えるでしょう。

外部騒音が 70dBA とは、どのような環境なのでしょう。
弊社が実施した調査によると、都内の主要な幹線道路では、70dBAを超える場合があります。





75dBA程度の空間において、現実的な遮音対策量として35dBA程度を設定した場合、予想される室内騒音は40dBA程度となります。 この値は、環境基準における室内騒音基準値と一致します。

それでは、WHO が推奨する暗騒音(30dBA以下)を満たす事は可能なのでしょうか。
都内であっても、閑静な住宅街では、夜間の外部騒音が 50dBA を下回ります。



ここまで静かな環境であれば、一般的な遮音対策でも、十分な余裕をもって 30dBA 以下を達成できるでしょう。


いかがでしたでしょうか。
今回は、現実的な遮音対策について考えてみました。
ご紹介した遮音対策量は、あくまでも仮の設定です。 十分な遮音計算を行うことで、より有利な遮音条件が見つかる場合もあります。 そのため、まずは現状を調査して、実現可能な仮の設定対策量を決めたうえで、遮音計画を進めていくことが望ましいと考えます。

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