騒音計の指示値と測定値は違う
葉山町は、山と海に面した美しい町であり、古くから高級住宅地としても知られています。 そんな葉山町の砂浜で、波の音を測定したことがありました。 今回はその時のお話をご紹介させていただきたいと思います。 波の音の測定目的は、新しく建築が予定されているリゾートマンションの遮音設計を行うためです。
波の音は一般的には騒音ではありませんが、建物の立地条件によっては、建物内部で大きな音として聞こえる可能性があります。 WHOによりますと、『快適な睡眠のためには、夜間の連続的な暗騒音の LAeq は 30dBA 以下にとどめるべきである』としています。 波の音は絶え間なく続く音であり、連続的な暗騒音として考えられることから、夜間の室内における波の音は 30dBA 以下が望ましいと考えられます。
測定時期は12月中旬で、海の季節としては完全にオフシーズンでした。 海辺には、サーフィンや散策を楽しむ人々が数人いましたが、とても静かな印象でした。 この時期が選ばれたのは、1年を通して平均的な音の状態を表すために、オフシーズンの方が長い期間を占めるからです。
時間帯によってレベルが上昇していたのは、海風の影響でさざ波が立っていたためです。 時々人の声も聞こえますが、測定値に影響するほどではありませんでした。
波の音の大きさを比較するために、南麻布の住宅街での測定結果を付記しました。 波の音が意外と大きいことに驚かれるのではないでしょうか。 むしろ、南麻布の住宅街は静かすぎると言えるかもしれません。
確かに、騒音レベルを比較すると、南麻布の方が葉山町よりも静かなことは明らかです。 しかし、葉山町の波の音は、とても穏やかで心地よいと感じられます。 海にそれほど興味がない私でさえそう感じるのですから、海が好きでここに住まわれる方にとっては、全くうるさく感じられないのではないかと思います。
今回の測定結果に基づく遮音検討において、就寝時間帯の波音対策は、最小限の防音対策で十分であると判断されました。 今後ここに住まわれる方々の穏やかで健やかな生活を心よりお祈り申し上げます。
追記
弊社のHPでは、葉山町の他に箱根強羅、芦ノ湖畔の測定結果も比較しています。 ご興味のある方は是非ご覧いただければと思います。
https://www.sokutei.biz/1254/