騒音計の指示値と測定値は違う
騒音に係る法律・条例について、特にお問い合わせの多い事柄についてまとめてみました。
環境基準には罰則の規定がない
環境基準とは、私たちの健康に生活する上で、維持されることが望ましいとして定めた行政上の目標です。 騒音の発生を規制したり、罰則の規定はありません。
罰則という事であれば、騒音規制法で規制基準が定められています。
騒音規制法で罰則の対象となるのは、指定地域内の特定工場・事業場と特定建設作業
特定工場・事業場とは騒音規制法で定める特定施設を設置する工場・事業場で、特定建設作業とは騒音規制法で定める特定作業を行う建設作業の事をいいます。 指定地域は各都道府県知事が指定する地域です。 これらの地域で特定工場・事業場を設置する場合や、特定建設作業を行う場合は、事前に届出が必要です。
騒音規制法には自動車騒音と深夜騒音等も含まれますが、どちらも騒音規制法による罰則はありません。 深夜騒音については地方公共団体が地域の実情に応じ必要な措置を講ずる事としています。
騒音に係る法令等の規制基準は、外部の騒音レベル
騒音に係る法令等の規制基準は外部騒音です。 室内騒音ではありません。
室内騒音の基準は昼間45デシベル以下、夜間40デシベル以下
騒音に係る環境基準では、幹線道路に近接した空間の基準値として昼間70デシベル以下、夜間65デシベル以下を設定していますが、これに対する備考として、「個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準(昼間にあっては45dB以下、夜間にあっては40dB以下)によることができる。」としています。 つまり、幹線道路のような交通量の多い道路であっても、室内の騒音レベルは、昼間45dB以下、夜間40dB以下と考える事が出来ます。 そして、その適用範囲は、2車線以下は道路端から15メートル、2車線を超える道路は20メートル(車線とは上下線合わせた車線数)としています。 それ以外の空間の室内騒音基準値はありませんが、WHOなどでは快適な睡眠のためには、暗騒音を30dB以下、個々の発生音については45dB以下にとどめるべきとしています。
東京都の環境確保条例では日常生活における騒音の基準値を定めている
環境省では、一般家庭のピアノやクーラー、家庭用ヒートポンプ給湯機等から発生する騒音、集合住宅でのバス・トイレの給排水音、自動車のアイドリング等の通常一般の生活行動に伴って、居住環境(住宅内及び住戸まわり)において発生するものを指して「生活騒音」としています。
集合住宅の各住戸間の騒音は適用外
東京都の環境確保条例では、日常生活に適用する騒音の規制基準について、「集合住宅など同一建物内部における各住戸間の騒音」は適用しないとしています。
快適な睡眠のためには、暗騒音30dB以下が望ましい
「環境騒音のガイドライン」に関するWHOの報告資料では、睡眠妨害の項目で、「快適な睡眠の為には、夜間の連続的な暗騒音の LAeq は30dB以下にとどめるべきである」としています。 また「個々の発生音についても45dBを超えるような騒音は避けるべきである」と付記されています。
いかがでしたでしょうか。
簡単ではありますが、特にお問い合わせの多い事柄についてご説明させていただきました。 環境省や東京都環境局のウエブサイトでは、さらに詳しい説明がありますので、ご興味のある方はぜひ調べてみてください。
環境省(環境基準)
https://www.env.go.jp/kijun/
環境省(騒音規制法)
https://www.env.go.jp/air/noise/low-gaiyo.html
東京都環境局(日常生活の騒音・振動の規制)
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/noise/noise_vibration/rules/300200a20220907112602077.html