ベトナム人を日本で雇用するための学歴要件とは?

萩台紘史

萩台紘史

テーマ:就労ビザQ&A

日本の在留外国人を国籍別でみるとで2番目に多いベトナム。(2024年末時点)
1人あたりの名目GDPは約4,500ドル・10年間で1.8倍と発展著しいですが、今後もしばらくは就労目的での来日が見込める国の1つです。
今回はそんなベトナム国籍の方を学歴で雇用する場合の注意点について解説します。

日本の就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」が求める学歴

ベトナムの学歴を評価する前に、まずは日本の就労ビザ、特に多くの専門職が対象となる「技術・人文知識・国際業務」ビザの基本ルールを押さえましょう。

原則:「大学卒業+学士号」がグローバルスタンダード

ベトナムの学歴を評価する前に、まずはこのビザを取得するには、原則として「大学を卒業し、学士号(Bachelor’s Degree)を取得したこと」が求められます。これは、専門業務を遂行できるだけの基礎知識や論理的思考力があることの客観的な証拠と見なされるからです。日本の大学はもちろん、海外の大学も含まれます。また、日本の短期大学(短期大学士)や専門学校(専門士)卒業も、同等以上の教育として認められます。日本の就労ビザ、特に多くの専門職が対象となる「技術・人文知識・国際業務」ビザの基本ルールを押さえましょう。

条件:「専攻と職務の関連性」が必須

ただ大学を卒業していれば良いわけではありません。就労ビザは、学んだ専門性を日本社会で活かしてもらうためのもの。そのため、大学での専攻と日本での仕事内容の間に関連性があるかが審査されます。
(例)文学部卒の方がITエンジニアとして申請しても、専門性が異なると判断され許可が下りない可能性が高くなります。

例外:学歴を満たせない場合の「実務経験」

学歴要件を満たせない場合でも、「技術・人文知識」分野で10年以上、「国際業務」分野で3年以上の実務経験があれば、ビザを取得する道も残されています。ただし、過去の全ての会社から具体的な業務内容が記された在職証明書を揃える必要があり、証明のハードルは学歴よりも高くなります。

ベトナムの「大学」と「短期大学」、ビザ審査での評価の違い

ベトナムの高等教育機関である「大学(Đại học)」と「短期大学(Cao đẳng)」は、日本のビザ審査において、その評価に明確な違いがあります。

大学(Đại học)卒業で「学士号」を持つ場合

ベトナムの大学(Đại học)を卒業し、「学士号(Bằng Cử nhân)」などを取得している場合、その学歴は日本の4年制大学卒業と「同等」と見なされるのが一般的です。そのため、学歴要件は問題なくクリアできると自信を持って主張できます。審査の焦点は、学歴そのものよりも「専攻と職務内容の関連性」となります。

短期大学(Cao đẳng)卒業の場合

ここが最大のポイントです。ベトナムの短期大学(Cao đẳng)卒業は、日本の「短期大学」卒業と同等と見なされ、学歴要件を満たす可能性は十分にあります。しかし、「Đại học」のように自動的に認められるわけではありません。

日本の審査官にとって、教育レベルや内容が多種多様な「Cao đẳng」を一律に評価するのは困難です。そのため、申請者側が「卒業した学校が、日本の短期大学に相当する正規の高等教育機関である」ということを証明する必要があるのです。

「短期大学(Cao đẳng)」卒でビザの許可率を上げる方法

学歴の「同等性」を客観的な資料で証明する

卒業証明書(Bằng Tốt nghiệp Cao đẳng)だけでは不十分です。日本の短大卒と同等であることを証明するために「立証パッケージ」を準備しましょう。まず、学校の公式案内やWebサイトの抜粋を提出し、あなたの母校がベトナムの正規の高等教育制度に位置づけられていることを示します。次に、ベトナム教育訓練省(MOET)による認可リストなどを添付し、公的なお墨付きを証明します。最後に、詳細な成績証明書やシラバスを提出し、教育内容の専門性の高さを具体的に可視化します。

専攻と業務の「より密接な関連性」を主張する

大学卒の場合よりも、専攻内容と仕事内容が「直結」していることを、より具体的に主張する必要があります。採用企業に協力してもらい、作成する「雇用理由書」の中で「〇〇という専門科目を履修したからこそ、当社の△△という専門業務が遂行できる」と論理立てて説明します。

ベトナムの教育制度に精通した専門家を頼る

最も危険なのは、情報が不十分なまま手探りで申請してしまうことです。ビザ申請の専門家である行政書士は、過去の膨大な事例から、「Cao đẳng」という資格の価値を、日本の審査官が納得するように説明するノウハウを持っています。専門家の知見は申請の成功確率を飛躍的に高める投資です。

就労ビザ専門 行政書士法人35
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萩台紘史
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萩台紘史(行政書士)

行政書士法人35

企業・個人問わず、就労ビザ申請に特化しています。年間350件超の申請実績があり、複雑な案件でも豊富な経験を有します。特定技能外国人の登録支援機関としても認定され、ワンストップで外国人雇用をサポート。

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