「ビザ(査証)」と「在留資格」の違い
「芸術ビザ」別名「アーティストビザ」をご存じでしょうか?
芸術ビザは、日本の在留外国人の総数約360万人に対して、626人しか持っていない非常に珍しいビザです。(2024年6月時点:入管庁)
今回はこの珍しいビザの詳細と取得するための要件を解説します。
芸術ビザとは
芸術ビザとは元々、芸術分野で国際交流を推進し日本における同分野の向上発展を目的に、芸術家を受け入れるために設けられた在留資格です。
収入を伴う芸術上の活動をおこなうことができるとされています。
具体的には…
・創作活動をおこなう
作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、著述家、写真家など
・音楽、美術、文学、写真、演劇、舞踊、映画その他の芸術上の活動について
指導をおこなう者
収入を伴うとは
芸術ビザは就労ビザのひとつです。
そのため日本で活動している期間(在留期間)はその活動で収入を得なければなりません。
これは、活動の結果として金銭など財産上の利益の収受を伴うことを意味しています。
同じ"芸術上の活動"でも異なるビザ
同じ芸術上の活動であっても
・収入を伴わないもの → 文化活動ビザ
・大学などで芸術上の研究の指導や教育をおこなう → 教授ビザ
・興業の形態でおこなう(オーケストラの指揮者など)→ 興行ビザ
ビザの種類が異なりますので申請の際には注意が必要です。
芸術ビザの取得要件とは
芸術ビザの要件とされるものは主に2つです。
①芸術家または指導者として相当程度の業績があること
相当程度の業績とは…
例として展覧会への入選歴や該当する活動での入賞歴などを意味します。入選歴の回数や展覧会の規模等の明確な指標は公表されておりませんが、申請人の過去の活動内容や経歴は重要な審査ポイントとなるでしょう。
②芸術上の活動のみにより安定した生活を営むことができると認められること
安定した生活を営むことができるとは…
芸術ビザの場合には業務委託契約等で活動するケースが多いかと思います。
ローンなどを組む際に会社員の方は審査が通りやすいように、就労ビザの審査でも安定して十分な収入があるかは重要なポイントになります。
業務委託契約等であっても就労ビザを取得することは可能ですが、会社員の方よりもやや不安定な状態とみられるため、額面上の収入はある程度多いことが望ましいでしょう。
申請方法と必要書類について
海外から招へいする場合(在留資格認定証明書交付申請)
海外から新規で呼び寄せる場合には、日本にいる代理人(協力者)がその住居地を管轄する出入国在留管理局に申請をおこないます。許可後、在留資格認定証明書(COE)が交付されますので本人のもとへ国際郵便で送ります。
在留資格認定証明書が手元に届いたら現地の日本大使館または領事館でビザの発給申請をおこないます。無事にビザが発給されたら日本に入国をします。到着した空港で在留カードを受け取ることができます。
必要書類
・在留資格認定証明書交付申請書
・顔写真(タテ4㎝×ヨコ3㎝)
・返信用の封筒(簡易書留用の切手を貼ったもの)
・活動の内容を明らかにするもの
➤契約に基づいて行う場合:内容、期間、地位及び報酬の記載があるもの
➤契約に基づかないで行う場合:収入の見込み額を記載した文書(その活動から生じる収入について)
・過去の業績を明らかにする資料:入賞や入選歴、目録、報道されたことがある場合にはそれがわかる資料、関係団体からの推薦状等
芸術ビザへ変更する場合(在留資格変更許可申請)
本人の住居地を管轄する出入国在留管理局に変更申請をおこないます。申請書を含む必要書類を持参します。
許可後、連絡がありますので新しい在留カードの交付手続きをおこないます。
必要書類
・在留資格変更許可申請書
・顔写真(タテ4㎝×ヨコ3㎝)
・在留カード及びパスポート(提示)
・活動の内容を明らかにするもの
➤契約に基づいて行う場合:内容、期間、地位及び報酬の記載があるもの
➤契約に基づかないで行う場合:収入の見込み額を記載した文書(その活動から生じる収入について)
・過去の業績を明らかにする資料:入賞や入選歴、目録、報道されたことがある場合にはそれがわかる資料、関係団体からの推薦状等
芸術ビザを延長する場合(在留期間更新許可申請)
本人の住居地を管轄する出入国在留管理局に更新申請をおこないます。申請書を含む必要書類を持参します。
許可後、連絡がありますので新しい在留カードの交付手続きをおこないます。
必要書類
・在留期間更新許可申請書
・顔写真(タテ4㎝×ヨコ3㎝)
・在留カード及びパスポート(提示)
・活動の内容を明らかにするもの
➤契約に基づいて行う場合:内容、期間、地位及び報酬の記載があるもの
➤契約に基づかないで行う場合:収入の見込み額を記載した文書(その活動から生じる収入について)
・課税証明書・納税証明書(直近年度のもの)
専門家に相談を
取得難易度の高さから芸術ビザを持っている方はほとんどいません。申請を検討されている方はビザ専門の行政書士などに相談することをおすすめします。
就労ビザ専門 行政書士法人35
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