資格外活動許可の書き方について
競馬中継を観ていると外国人騎手の活躍が目立ちますが、競馬の世界では騎手以外にも多くの外国人の方々が就労していることはご存じでしょうか?ここでは競走馬の世話や調教を担う外国人厩務員について解説します。
外国人厩務員の急増
「競馬」は関係者が非常に多いスポーツです。
騎手、調教師、厩務員、生産牧場、育成牧場、装蹄師、競走馬獣医師…
その他にも競馬関係の仕事はありますが、そのほとんどが人手不足です。
特に厩舎(調教師が競走馬を管理する施設)や牧場に勤める厩務員は、早朝からの業務で休日が少ない、都心部からのアクセスが悪いなどの理由で、求人を出しても問い合わせすらないのが現状のようです。
そのため地方競馬では2018年からエージェントを通しての外国人厩務員の採用を開始し、2024年9月時点で厩務員として働く外国人は約350人にのぼります。
これは地方競馬の厩務員全体の15%にあたります。
外国人厩務員の主な国籍はインドをはじめ、フィリピン、ベネズエラ、ウズベキスタンなどの競馬が盛んな国々です。
外国人厩務員を採用しているのは地方競馬のみ
日本は多くの国際レースが開催される競馬先進国であり、馬券の売上は世界一と言われています。日本で競馬を開催しているのは、日本政府主催の中央競馬(JRA)と、地方公共団体主催の地方競馬(NAR)です。
中央競馬(10ヵ所)
函館、札幌、福島、新潟、中山、東京、中京、京都、阪神、小倉
地方競馬(15ヵ所)
門別、帯広、盛岡、水沢、金沢、浦和、船橋、大井、川崎、笠松、名古屋、園田、姫路、高知、佐賀
厩務員は「技能ビザ」
厩務員として従事するための在留資格は「技能」になります。
取得要件は
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動
動物の調教に係る技能について10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む。)を有する者で、当該技能を要する業務に従事するもの
母国で10年以上の実務経験があることを在職証明書等で証明する必要があります。1日でも欠けていると不許可となります。
大学などで動物の調教、馬学等の科目を専攻していた期間も含めることができます。
「技能」ビザの必要書類
在留資格認定証明書交付申請
・申請書:1通
・顔写真:1葉
・返信用封筒:1通
※ 返信用の切手を貼ったもの
・四季報の写し(カテゴリー1の場合)
・直近年度の法定調書合計表(カテゴリー2・3の場合)
・給与支払事務所等の開設届出書(カテゴリー4の場合)
・直近3ヵ月分の給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書(カテゴリー4の場合)
・従事する業務内容を証明する所属機関の文書:1通
・職務経歴書:1通
・在職証明書:1通
・労働条件通知書又は雇用契約書:1通
・登記事項証明書:1通
・直近年度の決算書:1通
在留資格変更許可申請
・申請書:1通
・顔写真:1葉
・四季報の写し(カテゴリー1の場合)
・直近年度の法定調書合計表(カテゴリー2・3の場合)
・給与支払事務所等の開設届出書(カテゴリー4の場合)
・直近3ヵ月分の給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書(カテゴリー4の場合)
・従事する業務内容を証明する所属機関の文書:1通
・職務経歴書:1通
・在職証明書:1通
・労働条件通知書又は雇用契約書:1通
・登記事項証明書:1通
・直近年度の決算書:1通
在留期間更新許可申請
・申請書:1通
・顔写真:1葉
・四季報の写し(カテゴリー1の場合)
・直近年度の法定調書合計表(カテゴリー2・3の場合)
・給与支払事務所等の開設届出書(カテゴリー4の場合)
・直近3ヵ月分の給与所得退職所得等の所得税徴収高計算書(カテゴリー4の場合)
・パスポート及び在留カード:提示
・住民税の課税証明書:1通
・住民税の納税証明書:1通
家族と暮らすことも可能
実務経験が10年以上必要となれば、その間に結婚し子供が生まれた方もいるでしょう。「技能」ビザで在留する外国人は、母国にいる配偶者と子を日本に呼んで一緒に暮らすことができます。
日本有数の馬産地として知られる北海道の浦河町では、インド人厩務員とその家族をあわせると300人以上のインド人が暮らしているそうです。
配偶者と子は「家族滞在」ビザを取得して在留することになります。
最後に
競馬が開催されている国はたくさんありますが、日本のようにギャンブルとスポーツの両面で支持を得ているのは稀だそうです。そんな日本競馬を支える外国人厩務員の存在はレース前のパドックでも確認できます。
今や様々な業界で人手不足が叫ばれ、外国人の労働力が必要となっています。
今回のように、意外な分野で活躍する外国人がどんなビザで働いているのかな?と興味を持つことも、これからの多文化共生社会で役に立つかもしれません。
就労ビザ専門 行政書士法人35
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