在留カードの見方とは?
インターネットで世界中の求人を探すことが出来る現代において、近年では「観光ビザ(短期滞在)」で訪日して直接日本の企業を訪ねて内定を得るケースも増えています。
このような場合すぐに日本で働くことはできるのでしょうか?
短期滞在とは
出入国在留管理庁によるところ、短期滞在とは以下のことをいいます。
本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
主に観光、親族・知人訪問、商用などの目的で、最大90日間(※)日本に滞在するためのものです。そして、多くの訪日外国人観光客がこの「短期滞在」を利用して日本を楽しんでいます。
※国・地域によって最大日数は異なります。
現在71の国と地域の方はパスポートがあれば特段手続きを経ることなく「短期滞在」で日本に入国できます。(2024年11月現在)
ビザ免除国について
その他の国・地域の方はあらかじめ最寄りの日本大使館・総領事館で「短期滞在」の発給申請を行い、許可が下り次第日本に来ることになります。
短期滞在で就労はできない
冒頭の“「短期滞在」で訪日し内定を得た”というケースであってもそのまま就労することはできません。アルバイトとして働くことも認められていません。
「短期滞在」では就労することが認められておりませんので、在留資格認定証明書交付申請を行って許可が下り次第、再び日本に来ることになります。
就労ビザへの変更はできない
「短期滞在」で日本にいる間に就労することができないのであれば、そのまま就労ビザに変更をすればよいのではないか?と考える方もおりますが、それもできません。
「短期滞在」と「就労ビザ」では目的が全く異なるため単純な変更は認められず、新たに在留資格認定証明書交付申請を行う必要があります。
なるべく早めに就労ビザを取得するには
「短期滞在」で日本にいる間に在留資格認定証明書交付申請を行うことは可能です。この方法であれば、許可が下り次第、速やかに日本に再入国し、就労を開始することができます。
就労ビザの要件と必要書類
ここでは、就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」について説明しています。
該当する業務の内容
「技術・人文知識・国際業務」で従事できる業務については以下のように定められています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
「技術」に該当する業務とは
システムエンジニア、プログラマー、技術開発、精密機器の設計など
大学等で理系科目を専攻、または長年の実務経験の過程で修得した専門技術的な知識等を有していなければ行うことのできない業務
「人文知識」に該当する業務とは
事務、経理、会計、人事労務、コンサルティングなど
主に文系の学術上の素養を背景とする専門的知識を必要とする業務
「国際業務」に該当する業務とは
翻訳、通訳、語学講師、海外取引、広報、宣伝、デザイン編集、商品開発など
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性に基づく専門的な能力を必要とする業務
技術・人文知識・国際業務ビザの要件
以下、それぞれについて申請人が次のいずれにも該当していることと定められています。
申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を有する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
学歴要件について
・当該技術若しくは知識に関する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
・当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
つまり学歴で申請を行う場合には
- 大学を卒業し学位を取得していること(短期大学でも可)
- 日本の専門学校を卒業し専門士を授与されていること
- 大学と同等以上の教育を受けたこと
これらの要件が求められます。
大学 | 短期大学 | 専門学校 | 日本語学校 | |
---|---|---|---|---|
日本 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
海外 | 〇 | 〇 | △※ | × |
※ 卒業した海外の専門学校が高等教育である場合(いわゆる大学と同等以上の教育機関を卒業している場合)には要件を満たしている可能性があります。
※ 日本語学校の卒業は学歴要件を満たしません
実務経験について
・10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
・申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
・翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
・従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない。
つまり該当する業務について10年以上の実務経験(学校で当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む)が必要になります。
また、国際業務については3年以上の実務経験が必要です。
※翻訳通訳業務、語学講師については、大学を卒業していれば実務経験は不要
必要書類について
※「技術・人文知識・国際業務」の在留資格認定証明書交付申請で必要な書類です。
- 在留資格認定証明書交付申請書 1通
- 顔写真 1葉
- 返信用封筒 1通※ 返信用の切手を貼ったもの
上記以外に必要となる書類は会社(所属機関)のカテゴリーによって異なります。
【就労ビザ申請】会社(所属機関)のカテゴリーとは?
期限とルールを守る
「短期滞在」で就労することは不法就労罪となります。
また、在留期限を過ぎて日本に在留する「オーバーステイ」は不法滞在となり、強制退去や再入国禁止などの厳しいペナルティを受ける可能性があります。
「短期滞在」で就職活動を行うような場合は、これらのルールを守りましょう。
就労ビザ専門 行政書士法人35
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