海外から外国人を呼び寄せるには
在留資格「技術・人文知識・国際業務」で在留している外国人は2024年6月時点で約39万人と、在留外国人全体のおよそ10%、技能実習生についで2番目に多い就労ビザとなっております。
省略して「技・人・国(ぎじんこく)」
とも呼ばれています。
「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務とは?
「技術」に該当する業務とは?
大学等で理系科目を専攻、または長年の実務経験の過程で修得した専門技術的な知識等を有していなければ行うことのできない業務です。
例:システムエンジニア、プログラマー、研究者、建築家など
「人文知識」に該当する業務とは?
主に文系の学術上の素養を背景とする専門的知識を必要とする業務です。
例:事務、経理、マーケティング担当者、人事担当者など
「国際業務」に該当する業務とは?
外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性に基づく専門的な能力を必要とする業務です。
例:翻訳、通訳、語学講師、海外取引、広報、宣伝など
「技術・人文知識・国際業務」の要件とは?
以下、それぞれについて申請人が次のいずれにも該当していることと定められています。
申請人が自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とする業務に従事しようとする場合は、従事しようとする業務について、次のいずれかに該当し、これに必要な技術又は知識を修得していること。ただし、申請人が情報処理に関する技術又は知識を有する業務に従事しようとする場合で、法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する試験に合格し又は法務大臣が告示をもって定める情報処理技術に関する資格を有しているときは、この限りでない。
学歴での申請
・当該技術若しくは知識に関する科目を専攻して大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けたこと。
・当該技術又は知識に関連する科目を専攻して本邦の専修学校の専門課程を修了(当該修了に関し法務大臣が告示をもって定める要件に該当する場合に限る。)したこと。
つまり学歴で申請を行う場合には
- 大学を卒業し学位を取得していること(短期大学でも可)
- 日本の専門学校を卒業し専門士を授与されていること
- 大学と同等以上の教育を受けたこと
これらの要件が求められます。
大学 | 短期大学 | 専門学校 | 日本語学校 | |
---|---|---|---|---|
日本 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
海外 | 〇 | 〇 | △※ | × |
※ 卒業した海外の専門学校が高等教育である場合(いわゆる大学と同等以上の教育機関を卒業している場合)には要件を満たしている可能性があります。
※ 日本語学校の卒業は学歴要件を満たしません
実務経験での申請
学歴がない場合には実務経験での申請が可能です。
要件は以下の通りです。
・10年以上の実務経験(大学、高等専門学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)を有すること。
・申請人が外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事しようとする場合は、次のいずれにも該当していること。
・翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務に従事すること。
・従事しようとする業務に関連する業務について3年以上の実務経験を有すること。ただし、大学を卒業した者が翻訳、通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りではない。
つまり該当する業務について10年以上の実務経験(学校で当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む)が必要になります。
また、国際業務については3年以上の実務経験が必要です。
雇用契約が必要
日本の企業や公共団体、個人事業主などとの雇用契約がなければ申請ができません。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動
雇用形態は委任、委託などでも構いませんが、継続的な契約が求められます。
給与について
外国人だからといって、日本人よりも安い報酬で雇用することはできません。
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。
同じ業務に従事している日本人と同等額以上でないとなりません。
※最低賃金を下回っている場合には不許可になる可能性が大きくなります。
「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は?
「技術・人文知識・国際業務」ビザの在留期間は、5年、3年、1年、3ヵ月のいずれかとなります。
現場で働くこともできるの?
専門知識やスキルを必要とする業務に従事する外国人を対象としていますので、建設現場での単純作業や工場のライン作業など、専門知識やスキルを必要としない業務は、原則として認められていません。
最後に
「技術・人文知識・国際業務」で在留している外国人は非常に多く比較的なじみのあるビザではありますが、知識があいまいなまま申請を行うことは非常に危険です。要件を満たしていない場合には申請が不許可になるだけではなく、その後の入国や在留にも影響が出る可能性があります。
何か不明点や不安なことがある場合には専門家に相談することをオススメいたします。
就労ビザ専門 行政書士法人35
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