アパート・マンション経営の法人化について

三枝秀行

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テーマ:賃貸経営に関する情報



不動産の賃貸経営を個人で行っている方でご所有のアパート・マンションの法人化を考えている方は多いのではないでしょうか。
近年、大手の不動産事業者や相続専門の税理士がアパート・マンション経営の法人化を推奨していることもあり所有物件の法人化をするか否かの判断に迷うのは致し方ないと思います。
 アパート・マンション経営の法人化とは本人や家族が設立した株式会社や合同会社などの法人に収益不動産となるアパートやマンションの所有権を移してその法人が事業主体となって賃貸経営をすることです。
 一般的にはアパート・マンション経営の法人化をするには年間の賃料収入が1,000万円以上または所得が900万円以上ある場合がボーダーラインといわれていますが、賃貸経営の事業規模は5棟10室以上が目安となっているためにそれ以上の規模ならば様々なメリットが享受できます。
 法人化最大のメリットは節税効果であり個人では最大45%の累進課税ですが、法人税率は中小企業だと約23%前後のため所得が大きいほど節税効果も大きくなります。
さらに法人で賃貸経営すると個人事業よりも交際費・車両費等の経費が使えることや将来の相続に備えて個人資産を軽減する観点でも家族を役員に就任させて法人から家族へ役員報酬を支払うことができるのもメリットの一つです。
その一方で法人の設立費用や毎年の決算申告書の作成等による税理士報酬の負担や社会保険料は毎月の給与で徴収する保険料と同額の会社負担分の保険料を納入しなければなりませんので、このような経費は思っていた以上に負担になるケースもあります。
 ここではアパート・マンション経営を法人化するメリットとデメリットをまとめてみましたので、所有物件の法人化を検討されている方は参考にしてみて下さい。
◎法人化のメリット
①節税効果が期待できること
 ・賃貸経営を法人化すると賃料収入に対して法人税が課税されます
個人の所得税は累進課税のため賃貸経営の所得が高額になるほど所得税の負担も大きくなりま      すが、法人税率は累進課税の所得税と比べて法人税の適用税率が低くなることから節税効果が
期待できます
②家族への給与支払いができること
 ・家族を法人の役員にすると法人の賃料収入を役員報酬として分配できるので、所得を分散
することができます 
将来的にも法人が収益物件の所有者になることで個人の保有財産を減らすことになることから
相続税を軽減できるような対策にもなります
③経費計上の幅が広いこと
 ・個人事業主の経費はほぼ使えませんが、法人にすると接待交際費や車両費、通信費等が経
費にしやすくなります
▼法人化のデメリット
①設立・維持コストがかかること
 ・法人の設立費用や毎年の法人の決算書や法人税申告等の税理士のサポート費用が発生する
こと
②不動産の名義変更に税金がかかること
 ・不動産の移転に伴い、登録免許税や不動産取得税がかかります
③損益通算ができないこと
 ・法人の赤字を他の個人所得と相殺することができません
 上記のようにアパート・マンション経営を法人で行うには色々なメリットやデメリットがありますので慎重に検討することです。
 最後になりますが、パートやマンションの収益物件を法人化するポイントとしては金融機関からのローンが完済されているアパートやマンションの建物のみを法人名義にすることです。
 また、収益物件を法人化した建物の修繕計画をしっかり立てて実行することにより建物の維持管理の向上や空室率が低くなることにもつながります。
昨今の設備機器や資材の価格上昇、人件費高騰による建物修繕にかかる費用負担は今後も増大していくのは間違いありませんので、これらの点を考慮しなければ安定した賃貸経営は望めませんので、法人化するには様々な角度から検討することが必要不可欠です。

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専門家

三枝秀行(相続コンサルタント)

株式会社三枝エステート

相続に備えての事前対策と相続発生後の相続手続までサポートします。遺言書の作成、認知症等のリスクによる家族信託、不動産の有効活用や資産の組換え等の賃貸経営全般をサポートします。

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